第十六話 4人でクエスト
シグルドは私の従者になった。
けれども、シグルドは戦闘用に特化したロボットだ。従者にしておくのはなぜかもったいない。
なので、私のパーティーメンバーとして扱うことにした。
ギルドで申請を行い、シグルドを登録する。一応、魔剣士として登録(もちろん、ロボットということは伏せてある)。これで、私のパーティーメンバーは4人となった。
4人になると、高難易度の依頼を受けることが可能になる。
もちろん、受けるためのライセンスも必要だ。
私はS級ライセンスを所持しているので、基本的には自分の判断でクエストを受けることができる。
けれども、エミリアはC級、エリザはB級、シグルドは登録したばかりなのでD級(最下位)だ。
制限のあるクエストもあるので、なるべくならライセンスの等級を上げておきたい。
そんな思いが通じたのか、今回は都合よく、それが可能なクエストを見つけることができた。
そのクエストは、達成すれば全員がA級扱いとなる。さらに、失敗しても文句を言われない。
ただし、難易度は高く、命の保証はないというお約束のおまけつきだ。
そのクエストの内容は……クリスタルドラゴンの角の採取。
クリスタルドラゴンとは、一度やりあっている。
余計な邪魔が入って嫌な思いをした記憶があるが、それはまた別の話だ。
だが、うまくやつをおびき出すことができれば、私のパーティーの戦力で事足りるはずだ。
エミリアは、まだレベルが低いが、馬鹿の一つ覚えのように、回復補助をマスターさせている。十分使えるレベルだ。
エリザに関しては、戦い慣れしているので問題ないだろう。
シグルドだが……彼はまだ未知数だ。何しろ、古代のロボットだ。おそらく、何か内なる力を秘めているに違いない。それを見極めるためにも、今回のクエストには同行させるつもりだ。
ギルドで馬車と御者を手配した。今回は3つ山を越えなければならないので、何かと荷物も多い。
馬車の前で装備の確認をする。
「みんな、準備はできたか」
「「「できました!」」」
「よし、じゃあ出発だ!」
私たちは、馬車へと乗り込み、クリスタルドラゴンの住む地へと足を向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
二つ山を越えたあたりで一日が過ぎた。
キャンプをして、次の日の朝、また出発する。
緑の多い山から、岩だらけの山へと景色が変化した。
ここからは、クリスタルドラゴンの縄張りだ。
御者が馬車を止めた。どうやら運んでもらえるのはここまでらしい。御者は馬車を降りて、私たちに挨拶にくる。
「私はここまでです。一応、明日の昼ごろまでこちらに待機しております。もし、それまでに戻れないようでしたら……」
「ああ、その時は帰ってくれて構わない。まあ、クエストは必ず達成して時間までには必ず戻ってくるから心配はいらないがな」
「頼もしい限りです。私も一人で山を越えるのだけは、勘弁願いたいものです。山賊に狙われたら大変ですからねぇ、こちらも命がけですよ」
そう言うと、御者は馬車の中で休憩を始めた。
「それじゃあ、行ってまいりますわ」
「い、行ってきます!」
エリザとエミリアは御者に挨拶をして馬車を離れた。
シグルドは、私の後ろにピタッとついてきている。
まるで後ろは任せてくれと言わんばかりだ。
もちろん、任せてもよいのだが、後ろから襲われるワクワク感がなくなってしまうのは、ちょっとだけ寂しい気もする。
装備を整え、ドラゴンの巣へと向かう。
巣は、山頂の火口付近だ。
山は火山だが、すでに死火山となっており、噴火することはない。
けれども、ギルドでは、この地域を第一級危険区域に指定している。
第一級危険区域は、何が起きても自己責任とされる区域だ。
原因はもちろん、クリスタルドラゴンに間違いない。
クリスタルドラゴンは火成岩をエサとしている。
特に黒曜石の豊富な火成岩を好むらしい。
そして、この地域の火成岩は、黒曜石を多く含んだものが多い。
なので、クリスタルドラゴンのたまり場になっているのだ。
うかつに近づけば、縄張りを守ろうとするクリスタルドラゴンの群れに袋叩きにされて最高の気分を味わえる……そんな、天国に近い場所。
私たちは、そんな危険なクリスタルドラゴンの地へ、あろうことか、その角を採取するために、火口へと向かったのだった。




