第二話 エルフかもしれないモンスターが現れた
誤字脱字があればお教えいただけますと幸いです。
ふわりと緩くウェーブがかかり、日の光を反射してキラキラも輝く金色の髪。
しかし、大半は血と異臭を放つ何かでガチガチに固まっている。
前髪で片目を隠しているものの、まるでデ○ズニー映画に出てくるプリンセスの様な美しい顔立ちで、宝石の様に美しく光を反射するエメラルドグリーンの目。
しかし、口の周りには吐瀉物らしきものが盛大についており、顔のあちこちに血や緑色の粘液がくっついている。
スラリと長い手足、鎧の合間から雪のように白く絹のようにきめ細やかな肌。
しかし…まぁとにかくゲロやら血やら粘液やら全身もう酷い。
長々と描写をしたが、つまりは大変な美少女が残念な格好をしていると言う訳だ。
普通であれば残念な姿に驚くだろう。
だが、見た目貴一が驚いたのはその長い耳だ。
「これは…ファンタジーの代名詞、エルフですか?」
と呟くもののほんの一瞬逡巡した後、貴一は身を翻し全速力で駆ける。
彼の頭にあったのは、間違いなく面倒が迫っているということだ。
その見た目から、トラブルに巻き込まれやすい彼は危機察知能力が突出していた。
エルフ(?)の見た目は血まみれなので、ぱっと見本人に怪我があるように見える。
だが、よく見るとそれは本人の血ではなくどこかの誰かの血なのだ。
なにせ彼女が着ている白銀の鎧は全く破損がないのだから。
それを見抜いた彼は、襲われる危険性も考慮し逃げ出すことを決めた。
背後から「○△$#%!%$#!」と謎の叫び声が聞こえるが、貴一はとにかく逃げに徹する。
逃げる事にはそれなりの自信を持っていた貴一だが、エルフ(?)の気配と謎の叫び声は一向に距離が開かない。
傍からみれば、ちょっとしたホラー映画だ。
追いかける方も追いかけられる方も見た目が怖いという但し書きがつくが。
とはいえ、見た目が怖いだけで少なくとも貴一はただの人間なので体力の限界がある。
貴一の後ろから一際大きな叫び声が聞こえ、トムとジ○リーばりの激しい追いかけっこの終わりが見えた。
エルフらしき何かが、貴一に追いつき首根っこを捕もうとする。
しかし、タイミングが悪かった。
貴一が反転してどうにか逃げ切ろうとしていたタイミングだった為、お互いに真正面からぶつかる。
貴一が男でそこそこ筋力があっても反転したタイミングだったが故に力が入らず、エルフ的な奴は金属鎧(しかも実は魔法補正あり)なので、当然正面からぶつかってもエルフと思わしき人物が押し勝つ。するとどうなるか。
エルフっぽい血塗れ鎧が、貴一を押し倒した形となる。
状況が状況なら非常にエロチックな体制なのだが、ヤ○ザと全身モザイクで構成されているが故に見た目のエグさは18禁三歩手前だ。
貴一は金属鎧によって体に受けた衝撃とあまりの異臭に気を失い、エルフの様なサムシングは貴一の恐ろしい顔が迫ったショックと疲労により気を失った。