みんな一度は体験したことがありそうな怪奇現象
短編の息継ぎに短編を書く
こんばんは麦酒です、これは俺が今まで体験した怪奇現象です
と言っても、自分に霊能力が有るわけではないので、みなさんもどれか一度は体験した経験があるでしょう、もしなかったとしても、いずれ経験する機会があると思います
では、ちょっと不思議な経験談をご笑覧ください
【べとべとさん】
休日の昼下がり、俺は独身寮へと続く長い直線道路を歩いていた、買い物袋を持って一人で歩いていた
道も半ばに差し迫った辺りで、何気なく後ろを振り返ると、遠くに同期の友達が一人歩いて来るのが見えた
その時なぜ自分が後ろを振り返ったのかは分からない……もしかすると……そこに居たのかも……
数分後、未だ道の途中でふいに聞こえた靴音
カツ……カツ……カツ……
自分の歩調より少しだけ早い靴音、少しずつ近付いて来るのがわかる
カツ……カツ……カツ……
俺は後ろの友達が追い付いたと思って、少しだけ歩くスピードを緩めた
カツ………カツ………カツ……
すると後ろの靴音も少しだけ遅くなる
何で?と疑問に思い立ち止まると靴音が消えた
疑問に思いながら振り返る
……最初に見た時と同じ、遠くにこちらに向かって歩いて来る友達が見えた
靴音が聞こえるはずが無い距離に居た
それからしばらく経って、「べとべとさん」と言う怪奇現象の存在を知った
ただ背後から足音だけが聞こえるだけの妖怪、「べとべとさんお先にどうぞ」と言えば聞こえなくなる無害な存在
あれ?俺は、お先にどうぞって言ってないけど……まさかまだ後ろに居たりしないよね
あの後恐くなった俺は友達を待ってから一緒に帰った
幸運にもそれ以降は靴音を聞いていない
【迷い路】
知らない道で迷う事はあっても、毎日通ってる道で迷う事は無いですよね……普通は
これは3回ほど体験しました
一度は子供の頃に家の近所で、ミカン畑に迷い込みました
広い畑で、美味しそうなミカンがいっぱい成ってたのを覚えています
ただ……親に聞いても、近くにミカン畑など無いと言われ、探しても二度と行けなかったのですが
三度目は会社への通勤途中でした、車を運転していたら、ついさっき曲がった交差点が目の前にまた現れたのです
寝ぼけていたのだろう?と言われたら言い逃れ出来ませんが、なんとなく損をした気分になりました
そして二度目は、独身寮時代に友達と三人で帰ってる時に迷い込みました
友達がカメラを買ったので、三人で写真を撮りながら毎日通る会社と独身寮を繋ぐ田舎道を歩いていました
両脇に田んぼが広がる田園風景でした、いくつもの写真を各々が気の向くまま撮っていました
ふと道の脇を見ると、お地蔵さんが小さな社に祀られてるのに気付きました、腰くらいの大きさの小さなお地蔵さんですが、お供え用なのか、手のひら大の石の円盤がお地蔵さんの前に備え付けてあるのが印象的でした
友達にお地蔵さんがあるからカメラ貸してと言って、写真を撮りました……確かに写真を撮ったのです、友達にもお地蔵さんがあるのを教えたのです
独身寮へ帰ってカメラを確認したのですが、お地蔵さんの写真はありませんでした
友達に聞いても、お地蔵さんなんか見てないと言われる始末
俺が写真を撮ったと思われる順番の場所には、1本の木の写真が写ってました……誰も撮った覚えがない写真でした
翌日通勤途中に歩きながらお地蔵さんを探しましたが……当たり前のように見つかりませんでした
お地蔵さんは道祖神とも呼ばれ、境界を守る神様でもあるらしいです
ならば俺は、この世との境界を踏み外しかけたのでしょうか……
【予約されてませんよ】
冗談みたいな話なんですが、俺がお店に予約の電話をすると、3回に1回は予約されたのを忘れられます
だから俺はこれを怪奇現象だと思うようにしています……そう思わないとやってられませんし、電話対応してない店員さんに当たりそうになるから……
でもさすがに、やっと取れた長期休暇で、北海道旅行を旅行代理店に頼んだのに忘れられた時は切れました
【悪夢】
みなさん同じ夢は見ますか?俺は高熱が出た時だけいつも同じ夢を見ます……
スチームパンクというジャンルがあります、蒸気と鉄の無骨な世界
これはそんな夢です、そんな世界を知らなかった子供の頃から見る夢です
轟音を鳴り響かせながら巨大な鉄柱が降って来る
今居るのはいくつもの鉄のパイプで作られたかのような、直径十メートルは軽く超える大きな穴の縁
穴は鉄の壁に囲まれて、そこにもパイプが血管のように張り巡らされている
そして遥か上空から穴へと巨大な鉄柱が降って来る、轟音を響かせ、何本も止めども無く
夢の中で俺は走る、壁に設置されてる鉄の階段を、上へと
上へ上へと駆け上がる、いつの間にか1つだった穴が2つへと増え、鉄柱を2本同時に降って来るようになる
上へ上へと駆け上がる、穴の数がその都度増える、降って来る鉄柱も……その轟音も……
駆け上がった、どこまで登ったか分からない
ただ……景色が唐突に変わる
騒がしかった轟音は消え去り、世界は白一色に染まる
真っ白い世界に1本の木が植わっている、その周りだけ芝生で緑の空間がある
芝生には白いテーブルとティーセットが置かれ、一人の女性が倚子に座りこっちを見ている
真っ白いワンピースを着た女性、顔が見えてるのに顔がわからない、髪型すらも
毎回そこで夢は覚める、彼女と喋った事は無い、席に座った事も
以上が俺のちょっと不思議な体験談でした、どうせ創作だろ嘘松乙と思われる方も多いと思いますが、実体験です
知り合い等の会話や雑談板等でこの話をすると、意外と似た経験をされた方が多いのも事実です
なにより霊能力など皆無の俺が経験した話なので、これまで怪奇現象と無縁だったとしても、誰しもが経験してもおかしくない現象だと言えます
いえ、こんなのが子供騙しだと思えるような事が、起こっても不思議じゃありません
なぜなら、現実は小説より奇なりなのですから
一番怖かった体験は、運転中に激痛が走ったと思ったら、ズボンの中に10センチのムカデがいた事です