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オキザリス-色のない城-  作者: 木之下 朔
第1番 「ゆっくりと苦しみをもって」
5/6

第4話 嫌がらせの怪物

あるところに。


王都中央より、街を馬で一日と歩いて三日、

離れた森の奥に城がありました。


この城には優秀な使用人が多く。城内外と、どこを見ても

素晴らしく整っておりました。もちろん庭も美しく、

色とりどりの珍しい鳥がやってくるほどでした。

それはとても綺麗な城でした。


 ――ただひとつ、欠点をあげるのならば。

この城の主人のよく回る口でした。


 この城主。普段の公式の場ではきちんとした言動なのに、

お酒の入る夜会などのパーティーになった途端に口が軽くなり、

思ったことや他人の痛いところを調子よく軽快に喋ってしまうのでした。


それこそ、善悪の区別もなく……。


自分の口が取り返しのつかない事をするとは思って

いなかったのです。




 城主の名前はアルフレッド・レアルタリア伯爵。

愛想を尽かして出て行かれた奥様の名前をメアリーと

言いました。


その日はこの国の王妃様の姉上様をお呼びして舞踏会が開かれていました。

レアルタリア伯爵は例に漏れず酒を飲み口が軽やかでした。

そしてその口で、言ってしまうのです。



 「    ? 」



誰にも聞き取れない言葉で、しかし確かに言いました。

すると、視界がモノクロになってしまうのでした。

レアルタリア伯爵は王妃様の姉上様に言ってはいけない事を

言いました。

その反動で伯爵家ごと呪いを被ることになったのです。


それは不思議な魅力を持った呪いを……。


しらないうちに怪物〝ヴェクサシオン〟もさまよう城になりました。

この怪物は眠ると繰り返し悪夢をみせました。



アルフレッド・レアルタリア伯爵は奥様がばらける夢を、

〝840回〟みせられました。



 しんみりと水気が広がる大地と、

城を囲む森の深緑が空の闇と混じり、色味を増すのでした。



雨が降ると気持ちが沈んだり、たまに楽しかったりします。

太陽の光を浴びることが一番好きですが。

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