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リセマラして頑張る異世界奮闘記  作者: フルーツポンチ侍
7/12

金髪碧眼JK

「すいません調子乗ってました。異世界舐めてごめんなさい」



そよ風にも掻き消されそうな弱々しい声で俺は、図に乗ってしまった事への懺悔を述べた。



全身筋肉痛で、なおかつ汗でずぶ濡れになったシャツが気持ち悪い、何に対して俺がここまで追い込まれているのか…それは地面から無限に湧き出てくる“蛙たち”にだ。


数時間ほどこの草原をあてもなく歩いたが目新しいものは何もなく、その代わりだと言わんばかりに陸大蛙が土の中から出てくる。


この数時間の間で、すでに討伐した陸大蛙の数は30は超えているはずだ。


レベルもすでに22、この数時間で一気に20も上がってしまった。


でも…もう流石に………限界だ。



『数時間前のあの威勢はどこに行ったんですか?トップを取るとか言ってたのにこんな程度でもう根をあげるんですか?』


「こんな程度って…この魔剣で戦うのメッチャ疲れるんだぞ!! それをもう30回戦もしてるんだから仕方ないだろ?」


「それはあなたの容量が悪いからです。蛙と戦うたびにオーバーキルばかり、もっと加減して戦わないとダメです」



加減…と言われてもそれができるなら苦労はない。


俺自身は加減しているつもりなのだが、この魔剣を振るたびに地面ごと蛙を消し飛ばしてしまう。


このオーバーキル具合を改善すれば疲労も今の3分の1ぐらいに抑えられるらしいが、なにせ戦うのはもちろん剣を握るのも初めてな俺には、もう少し経験が必要のようだ。



ボコボコボコボコッ!!



近くの土が盛り上がって地面がめくれ上がる。


これが陸大蛙が出てくる合図。


最初は心臓が飛び出るぐらいにビックリしていたが、30以上経験したのでもう慣れた。



「またかよ!! なんでこんなに出てきやがる!!」


『今は孵化のシーズンなので仕方ありませんよ。むしろ今年は例年に比べて少ないぐらいです。次の蛙が出てくる前に討伐してしまいましょう』


「クソッタレがぁぁぁ!!」



限界寸前のボロボロな肉体を無理やり起こし、手に持った魔剣グラムで蛙に斬りかかる。



ズバババッボッカァアン!!



安定のオーバーキル具合で討伐を終えた。



「はぁはぁ………我が生涯に一片の悔いな………し」



そんな捨て台詞とともにまた地面に倒れこんだ。



『大丈夫ですかー動けそうですかー』


「………もう無理です動けません」


『またオーバーキルでしたね。まあ最初に比べれば幾分かマシですが………』


「まあ最初に比べれば確かにな………あれ?」


最初の討伐の事を頭で振り返ってみると、ある事を思い出した。


それは、俺が蛙と睨み合っていた時に聞いた誰かの叫び声の事である。



『どうかしましました?』


「いや…最初の蛙と睨み合っていた時に声がしたんだよ。何処からともなく『きゃあああああ』って」


『この近くに民家はありません。そしてこの孵化の時期にここに近づく地元民はまずいません。おそらく他の“プレイヤー”だと思われます』


「マジで!? 声が聞こえたって事はその時近くに居たんだよな。もしかしたらまだそう遠くない場所にいるかもしれない」


『そうですね。では【魔力探知】を発動して対象の居場所を索敵しましょう』


「【魔力探知】!? 確かに俺の能力の中にそんなものがあった気もするが…どうやるんだ? 教えてくれよ」


『ハイ、まず私を天高くかざしてできるだけ大きな声で【魔力探知】と叫んでください』




「またそれかよ!!!!」



ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー



あの恥ずかしい行為をしたのか…その判断はみんなの想像にお任せしよう。


そんなこと俺の口からわざわざ発表する事じゃない…恥ずかしいしな。



「居た!! 【魔力探知】成功だ!!」


まあ、【魔力探知】の能力が発動しているという事は…そういう事なのだが。



ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー



草原を駆け回り、俺は1人の少女を見つけた。


辺りに他のプレイヤーの魔力の気配はないので先刻聞いた叫び声はあの子ので間違いないだろう。


金髪碧眼の美少女だった。


サラサラの金髪が腰まで伸びている。


顔立ちからしておそらく日本人ではないだろう。


西洋系…あの透き通るように白い肌とブルーの瞳が日本人にはない魅力を醸し出している。


紺色のブレザーを着ていてスカートは短め、格好からしてJKなのだと推測できるがそれにしても…



「マジかよ…メッチャ可愛いじゃん!!」



興奮して思わず声が出てしまった。


声が聞こえてしまったのか、少女は俺の方に振り向いてきた。


とっさの判断で地面に伏せて隠れる。



「……………気のせいかしら?」



距離が少しあるのでハッキリとは聞き取れなかったが、どうやら気づかれてはいないらしい。


魔力の気配は近づいてくる事なくゆっくりと離れていった。



「あっぶねえ、見つかるところだったぜ」


『何をやっているんですか。興奮して声が出ちゃうとかどこまでド低脳なんですか?』


「あれはしょうがない。あんなに可愛い女の子生まれて初めて見たぜ…タレントって言われても違和感が無いなあれは」


『まあでもこれはラッキーでしたね。悪側なら仲間に…善側なら“殺し”ましょう』


「とりあえずいきなり殺すとか物騒な提案はやめましょうね」


『何ですか…ひょっとしてビビってるんですか?』


「ビビって当然…むしろビビってなかったらダメだろ。人を殺す事を躊躇して何が悪い!?」


『いいですか、この世界に召喚されたからには殺し殺されは当たり前なのです。綺麗事を言っていたら殺されるのはあなたですからそれは肝に命じておくように』



スマホさんはそう言うが今の俺には納得できない、そしてこれから先もその理屈に納得なんてしてはいけないとも思った。


「スマホ…お前にも俺から一つ忠告してやる。人の命は一つだけ…ゲームみたいなリセマラはできないんだ。だから、殺す事を当たり前だとするのは考え方として下の下だ。それは肝に命じておくように」



『…………とりあえず彼女の後を追いましょう。見失って仕舞えば元も子もありませんから』








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