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リセマラして頑張る異世界奮闘記  作者: フルーツポンチ侍
2/12

0.001%への挑戦

「なんだよこのアプリふざけてるだろ!!」



発狂寸前の俺の声が、一人暮らしの寂しい部屋に響き渡る。


キチガイだなんて思わないでまず俺の話を聞いてほしい。



リセマラを開始して2時間あまり、その回数は既に500回近く、ひょっとしてもう500回を超えたぐらいだと思う。


それなのに…それなのにだよ。



星6どころか!

星5すら!!

一度も!!!

出てないんだが!!!!



約500回のガチャを経て、そのうちの9割ほどが星3で、残りの1割ほどが星4だった。


つまり、今のところ星5と星6の割合は共に0割なのだ。


もっとすんなり出るもんだと思っていた。


まさかこんなに出ないものだなんて微塵も思ってなかった。



「もうなんなんですかねぇ…一向にアプリを始められないんですが………てか、ガチャの“出現確率”どれぐらいよ?」



こういったアプリのガチャは大抵、どのレア度がどれぐらいの割合で出現するのかわかるようになっている。


このガチャにも小さく“出現確率”の文字が表示されていた。


小さすぎて今の今まで気づかなかったが………


あまりにもレアキャラが出ないので、それに気がついた瞬間そこを勢いよくタップした。



ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー



ガチャ出現確率一覧



星☆☆☆ 95%


星☆☆☆☆ 4.9%


星☆☆☆☆☆ 0.099%


星☆☆☆☆☆☆ 0.001%




ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー



「…………………………」



ガチャの確率を見て発狂の一つでもしてやろうと思ったが、その声すらも出なかった。


そして、星3しか出ないわけだと納得してしまった。


星5が出るのは0.099%…1000回に1回出るか出ないかぐらいの確率だ。


この時点で設定ミスを疑うレベルだがもっと問題なのがその次だ。


星6の確率が0.001%…10万回やってやっと一体出るかというものだ。


もうこれに関しては運営側が、ユーザーに星6を出させる気がないのではないかと思う。



何この確率の鬼設定…宝くじかよ!!



「ハハッ…上等じゃないですか、こうなったら意地でも星6をゲットして運営に勝利してやるよ!!」



そう意気込んで…タップ! タップ!! タップ!!!



「なんだろう、今回は心なしか演出が豪華な希ガス(引くたびに言ってる)!!」



さあレアキャラよ…来い、来い、コイ、鯉、恋………来い!!


テレッテッテレーーー♪


ーーーーーーーー

ーーーーーーーー



ゴブリン


レア度:☆☆☆


体力 30


攻撃力 50


防御力 28


素早さ 30


魔力 15


賢さ 5



【怪力 Lv.1】



ーーーーーーー

ーーーーーーー



「……………………」



俺は無言のまま惰性なタップを再開した。



ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー




既に思考は停止し、惰性的にスマホをタッチし続けていたその時…


果ての見えないリセマラ地獄は、何の前触れもなく終わりを告げる。


それはリセマラを開始して“50時間”ほどが経過した直後の出来事であった。



ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー



魔剣騎士


レア度:☆☆☆☆☆☆


体力 450

攻撃力 480

防御力 520

素早さ 498

魔力 460

賢さ 440



【剣技 Lv.MAX】


【カリスマ性Lv.MAX】


【魔力探知 Lv.4】


【対聖剣◎】


【龍殺し】


【初期装備:魔剣グラム】



ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー



俺のスマホの画面はここで止まっている。


重いまぶたをこすり何度も確認したが、何度確認しても星の数は6個で間違いなかった。


6つの星が光り輝き、俺の努力を讃えるように祝福のファンファーレがスマホから流れている。



「うそ…やったのか………リセマラ………終了だぁぁぁぁぁあ!!」



リセマラを開始して丸々二日、ついに俺は運営のクソ設定に勝利宣言を上げることができた。


正直、途中何度も諦めかけたが、今の達成感から考えればあの時に諦めず続けてよかったと思う。



しばらくの間リセマラ終了の余韻を味わった後、俺は“リセマラ終了”をタップした。



『お疲れ様でした。このキャラクターで冒険を始めますか?』



“はい” “いいえ”



“はい”に決まってるだろ。


なんせ最高レア度のキャラクターなんだからな…ザマァミロ運営!!


長時間のリセマラで性格が悪化した俺はそう吐き捨てて、運営への恨み辛みを込め“はい”をタップした。



『了解致しました。抽選の結果、貴方は月宮(ツキミヤ)メアリー様とのペアに決定しました』



ペア?


ああなるほどな、このアプリは協力プレイができるのか。


月宮メアリー…名前からして女の子だな。


いや…もしかしたら“ネカマ”の可能性もあるが、まあゲーム内ではネカマも女の子も関係ないか。



『異世界は危険がいっぱいです。命を大切に…くれぐれも無茶はしないようにお願い致します』



危険も何も“たかがアプリ”だろ?


命を大切に?


無茶はしない?


命がけの冒険なんて燃えるじゃないか…それに冒険には無茶はつきものさ………それで死んだらコンティニューをすればいいだけの話だ。



『それでは…良き異世界ライフを』



その文章を読み上げた瞬間…


体全体が凄まじい閃光に包まれて、俺の意識はそこで途切れた。






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