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リセマラして頑張る異世界奮闘記  作者: フルーツポンチ侍
11/12

3位&8位の強パーティー

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー


それは理想とかけ離れた最悪の目覚めだった。


後頭部に広がる鈍い痛みとまるで鞭打ちのようになった首、まったく最悪としか言いようがない。



痛い………凄く痛い………とにかく痛い。


やはり頭から落ちたのが悪かったか…まあ生きてるだけまだマシだがな、そこはさすが異世界ファンタジーというだけのことはある…俺の肉体も頑丈に作り変えられていて何よりだよ。



……………はぁ。



ため息が漏れた。


頑丈に作り変えられた自身の体には感服するばかりだが、やはり目覚めとして最悪な事に変わりないので“ため息”を吐いてしまうのも致し方無い事だろう…いや、このため息はそれだけの事で出たものじゃない。


こんな危険しかない異世界で今後生きていかなければならない事への不安…


そもそもこんな事態に巻き込まれる要因でもある自分の向こう見ずで適当な性格に対する幻滅…


その他諸々の感情が入り混じったため息だ。


ああ…意識を失う前の出来事は全部夢で、目を開けたらいつもの小汚い1人部屋なんて事はないのだろうか。


まあ…ないだろうな。


目を閉じていても分かる、この鼻を突き抜ける草の青臭さと土の泥臭さから、ここが俺の部屋でないことぐらい十分過ぎるほどに分かりきってしまう。



あれ…でもこの匂いは………



草と土の匂いの中に、わずかに甘い匂いを混じっている。


花…微かに香るその甘い香りは花の香り。


強い香りではない、この全身を包み込むような土草の匂いに比べれば鼻をかすめる程度でしかないわずかな香り。


しかしだからこそ、香りがわずかであるからこそ気に止まったのかもしれない。



いい匂いだな…近くに花でも咲いているのかな………



花の有無…そんなたわいない事を確認するべく俺は、重く閉じた瞼をこじ開けた。




久々に開いた瞼、俺の眼に最初に映ったのは青々と眩しい空…ではなく、それに勝るとも劣らない程に碧い眼をした金髪の美少女だった。


少女を目にした時、童貞で数年来女の子と話していない俺はネットで見たある文献を思い出す。



【女の子からは甘い花の香りがするらしい】



『そんな事あるのか?』と疑っていたが、どうやらその文献であったことは本当のようだ…めっちゃいい匂いがする!!



ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー



「ああやっと起きた!!」


うるせえ…起きて早々鼓膜が破れるところだったじゃねえか。


てかこの方、あの化け物じみた強さのJKじゃないですか。


敵なのか味方なのか…それはさておきこの状況………


後頭部に感じる弾力のある感触…俺が横たわっていてそれに少女が覗き込んでいるという状況から察するに………“膝枕”。


膝枕ひざまくらとは、2人のうち片方が正座又は正座に近い体勢で膝を折り、もう片方がその膝に頭を乗せて体を横にすること又はその体勢の事を言い、それは異性との愛情表現に用いられる禁断にして伝説の行為なのだ。


「よかったぁこのまま起きなかったら私は罪悪感でおかしくなるとこだったわ」


「なにこの状況…有り難い限りだけど逆にそれが怖いわぁ」


「いやぁアタシの能力に巻き込まれて頭を怪我しちゃったわけなんだし、地面より膝枕してあげた方が痛みも和らぐかなぁと思って」


「なにそのクソビッチな理屈、もっとまともな考え方を持ちましょうね〜」


「残念ながら私はまともだしビッチじゃないから!! 」


残念ながら地面と膝枕を天秤にかけてる時点でまともまともではないんだよなぁ…


「ビッチじゃないならなんだ、今時のJKは見ず知らずの男に膝枕してしまうのか? それが当たり前なのか!?」


「それは怪我をさせちゃった罪悪感があったから…悪いなぁと思って…」


「お、おう…確かにそれは…まああれだ、殊勝な心がけだな」


思いの外ピュアな返答にドキッとしてしまい会話が辿々しくなってしまった。


「だから…ほ、本当にアタシはビッチとかじゃないからね!!」


必死だな…まあそこまで必死に言ってくるなら本当にビッチじゃないのだろうな。


まあ、この子がビッチであろうがなかろうが俺には関係ない…俺は人と関わりあうのが苦手だからな。


だからこそ引きこもりで友達がいないわけだが………


「わかったよ…そこまで必死ならそういう事なんだろう。まあ俺にとってはお前がビッチだろうがそうでなかろうが関係ない事だし興味も無い事だがな」


「人の事をビッチ呼ばわりしてその塩対応は酷くない!? 」


こちらの世界でもなるべく馴れ合いはしたくない…だからこその塩対応だ。


面倒ごとにならないように、関わりあって他人に興味を持ってしまわないように…



「まあいいわ、アタシの事をビッチ呼ばわりしないだけマシだわ」


「別に俺のビッチ発言とか無視すればよかったじゃねえか。それならここまで会話が広がらなかったわけだし…」


「いや…だって私…しょ、処女…だからさ、ビッチとか勘違いされるのはちょっと嫌だったから…」


「…………………」


頰を赤く染め上げて恥ずかしそうにそう述べた。


その様子を見ていると、こっちまで顔が熱くなってくる。


俺がもっとお盛んな男子だったら襲ってるぞ…いや、たとえ盛っていても襲う勇気なんてないけど………



『いやはや仲良く会話できているようで何よりだ。【ペア】としての相性がどうなのか心配だったがそんな必要はなかったようだ』


男の声…機械的な発音のその声は彼女のスカートのポケットから聞こえてくる。


『そうですね、引きニートでコミュ障気味なのでうまくいくか不安でしたが、初コンタクトが上手く言って何よりです』


その声に同調するように俺のポケットに鎮座するスマホさんもそう喋り出した。


てか、引きニートのコミュ障気味で悪かったな。



『この方の名前は“月宮メアリー”、この状況ょからわかるとは思いますが無論敵ではありません。むしろ、今我々が最も心を許していい存在と言えるでしょう』


月宮メアリー…その名前には覚えがあった。


召喚される前に見た一つの情報が俺の頭に思い出される…


「そういう事、私はメアリー…お互い助け合ってこの世界で勝ち残りましょう」



月宮メアリー…それは召喚前に抽選で決められた俺のペアの名前である。



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