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私の神様  作者: 赤ずきん
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私の神様Ⅱ

 次の日アローゼは約束通りやってきた。

 今日は晴天で昨日の雨が嘘のようだった、夕焼け空が綺麗に広がつていた。

 教会の入り口まで来ると、アンジェロが先に来ていたのが見えて、大きく手を振りながら走り出した。あ

 「アンジェロー!」

 「やぁ」

 「ごめんね、待たせちゃった?」

 「そんなことないよ、アローゼこそ、そんなに走って大丈夫かい?」

 「え? それって?」

 キョトンとした顔を見せたアローゼをみて、またしても焦りながら自分の掘ってしまった墓穴を埋め直す。

 「あ、いや、何でもない何でもない、気にしないで」

 「う、うん」

 二人で祈りをあげた後、アローゼが不意に質問を投げ掛けてくる。

 「ねぇ? アンジェロ?」

 「? なんだい?」

 「前にいっていたよく遊んでたって言う女の子は? そのこの事好きなんでしょ?」

 いきなり言われたその言葉に頬を赤く染めながらわたわたとするアンジェロを見て、クスクスと笑いながら、答えを待つアローゼを見て先程より頬を染める。

 「な、なんで。そんなこと聞くの?」

 「その後、どうなったのか気になって、良いじゃない、たまには、告白したの?」

 「で、出来ないよ! 僕なんか……」

 「なんで? アンジェロは優しくて話してて楽しいわ」

 「無、無理だよ……」

 「んーー、ねぇ、誰よその子! 私が恋のキューピッドになれたらなぁ」

 アローゼのその言葉に空を見上げながら、何かを考え始めるアンジェロを見て疑問に思う。

 「? アンジェロ? どうしたの?」

 「え? い、いや、何でもない……僕は今のままが良いんだよ」

 「うーん、そうなのかな? でも好きなんでしょ?」

 「うん、でもきっとその子は優しいから僕が好きだなんて言ったら悲しくて泣いてしまうと思うんだ」

 「……悲しい?」

 よく分からないが世の中にはいろんな理由があるのだろうとあまり深くは突っ込まないようにすることにした。

 「それにね……アローゼ、僕はその子とまた、話せるだけで嬉しいんだよ」

 アンジェロの優しい笑顔を見て、何故か頬を染めるアローゼはいつもより鼓動が早くなるのを感じていた。

 「アローゼ? 大丈夫?」

 「え? な、何でもないわ♪ そういえばアンジェロはどこに住んでるの? 昨日私先に帰っちゃったし、ここの町?」

 慌てて話題をそらそうと突発的な質問を投げ掛けるが、アンジェロはそれにもちゃんと答えてくれた。

 「僕もここの町だよ、丁度丘の下にあるあの煉瓦の家なんだよ」

 そう言いながらアンジェロは一つの家を指差した。

 「!? 私も! 私もその近くなの! だったら別々に帰らずに一緒に帰りましょう?」

 「え、あ、でもそれは……」

 アンジェロが何かを言おうとしたとき、誰かが駆けって来る音が近づいてきた。

 「誰かしら?」

 「さぁ」

 音の近くなる方を見ていると一人の青年が手を振りながら走ってきていた。

 「おーい! アローゼ!!」

 「イーグル!?」

 「?」

 アローゼは驚きながら近寄るとその青年は息を切らしながらアローゼの近くへと走り寄ってきた。

 「はぁ、はぁ、……全くあんまりココに来るなって先生に言われただろ? 最近体調がいいからって……」

 「あら、心配してくれてるの?」

 「あったりまえだろ!」

 「ふーん、珍しいのね」

 「なんだよ、その言い愚は……」

 あぁだこうだと話をしているなかアンジェロは茫然とその姿を眺めていた。

 「ほら、とにかく寒いんだから、さっさと帰るぞ!」

 「……えぇ!? でも……」

 ちらりとアンジェロの方を見ると、アンジェロはにこりと微笑み手を振った。

 「体が冷えたらいけないから、ほら、上着持ってきたから行くよ」

 手を引っ張られ振り向く様にアンジェロに片方で手を振りながら別れを告げると、二人の姿は見えなくなっていった。



 二人が見えなくなって暫くしてアンジェロはその場に座り込み空を見上げる。

 すると深くため息を吐き、ぼそりと呟いた。

 「良かった……」

 そう呟くとアンジェロはまた協会に入っていった。



 ――――――――次の日

 いつものようにアローゼはやって来た、だが入り口の前にはアンジェロの姿は無く、昨日あんな別れ方をしてやっぱり怒っているのかもとがっくりとしていた。

 (……会って謝りたいな)

 そう思いながら礼拝を済ませ、その場を後にする。

 昨日教えてもらった家まで行ってみたいと思ったが、昨日一緒に帰ろうと提案したら言葉に詰まっていたし、でも会って謝りたいなと色々と考えながら丘を降りていると、梺に着き結局家に伺うことにした。

 洋風の煉瓦の家の門の前でもイヤホンを押すか押さないかと悩んだ挙げ句ついに勇気を出してイヤホンを押した。

 ピーンポーン

 「……」

 誰の声もしないことに内心ホッとしながらその場を離れようとしたとき、プツッと切り替わる音がし女性の声が聞こえた。

 「はーい、どなた?」

 いきなり声がしたため慌てながら返事をしてしまった。

 「あ、あの、アンジェロいますか? 私アローゼって言います」

 取り敢えず自己紹介をすると、急にイヤホンが切れて玄関が開くと、中から美人な茶髪の女性が出てきた。

 「アローゼちゃん!? どーしたの!? こんな寒い日に出歩いても大丈夫なの!?」

 そういって抱きついて来る女性にビックリして胸の中で焦りながらも声をあげた。

 「あ、あのーー! アンジェロいますかー!?」

 だが、その名前を聞いた女性はアローゼを離すと涙を見せた。

 「そうなの……やっぱり本当だったのね……」

 「……え」

 「アローゼちゃん? 今日は一層寒くなるみたいだから、早くお家に戻った方が良いわ」

 「あの、私おねぇさんと会ったことありますか? あと、アンジェロは」

 「アローゼちゃん……実はね……」

 その場で少し話をし、内容を聞いて驚いた表情を見せながらアローゼは一気に走りだした。

 「そんな……」

 女性はひき止めようとしたが、それも虚しくアローゼの姿は消えていった。

 (もう一度協会に行ってみよう!)

 息が切れて目眩もしてきたが、とにかく協会を目指した、走ってはしって坂道を駆け上がっていく。

 「はぁはぁ、アンジェロ!!」

 大きく名前を呼びながら協会に入るとそこには先程居なかった、アンジェロの姿があり、驚いているようだった。

 (良かった……)

 本心からそう思っているとぐらりと視界が揺らぐ。

 「アローゼ大丈夫!?」

 「良かったわ……」

 「え?」

 一言だけ残すとアローゼはその場に倒れ込んだ。

 いきなりの事で慌てながら必死に手を伸ばすアンジェロはその手を止めた。

 「……アローゼごめん……」

 その手はアローゼの手をするりと透けてアローゼに触れる事すら出来なかった。

 「……ごめん……」

 悔しくて涙が込み上げて来る、泣いてる場合じゃない事は分かっているのに。

 そんなとき勢いよく扉が開き、イーグルが入ってきた。

 「アローゼ! 大丈夫か!?」

 倒れているアローゼに走って近より、アローゼを抱き抱えると、急いでその場を去っていった。

 そんな様子を見ることしか出来なかったアンジェロは涙を拭いて、神に祈りを捧げていた

 「アローゼの神様……どうかアローゼをお守りください……」

 どれくらい祈りを捧げただろうか辺りが真っ暗になり、彼は立ち上がった。

 「僕がアローゼを元気付けないと……でもどうやって」

 悩んでいると日差しが少しだけ顔を覗かせ、その光と共に暖かい光がアンジェロを包み込んだ。




――――――一方その頃アローゼの家では、お医者さんも帰ったあと、アローゼ一人だけで家のベッドで横になっていた。

 まだ少しだけしんどいため今日は協会に行けそうにないと残念そうな顔をしていた、もしかしたらもう、アンジェロには会えないような……そんな気もしていた。

 ため息をつくそんなとき、神様に頼んだ、「またアンジェロに会えますように」と。

 そんなときどこからか声が聞こえた。

 「アローゼ」

 「!?」

 ビックリして声がした窓の方を見ると、窓に映ったのは空から振ってきた花だった、その花を見たときなにかがアローゼの頭を過った。

 ずっと思い出せなかった昔の記憶

 《あ、みてみてー、寒いのにお花が咲いてるよ、アンジェロ!》

 《うわ、可愛いね》

 《あぁあ、このお花で空を飛んでみたいなぁあ》

 《えぇ、そんなの無理だよ……》

 《えぇえ!?》

 そんな幼いときたわいもない話をしていると、クラクションの音が二人を襲った。

 そんな記憶を取り戻したアローゼは勢いよく窓を開けた。

 そこには、中に浮いたアンジェロがにこりと微笑んでいた


 「アンジェロ!!」

 「ごめんねアローゼ、こんなことしか僕にはできないけど」 

 そういって立ち去ろうとするアンジェロををアローゼは引き留めた。

 「アンジェロ! 私……アンジェロの事が好き!」

 「!?」

「こうなる前に本当は言うべきたったの……何で私こんな大切な人を忘れていたんだろうって……だから」

 アローゼの瞳から涙が見えたその時、アンジェロは微笑みながらこう答えた。

 「僕もだよ、でもそんなに悲しまないで、ちゃんと僕はいるから……」

 「……ありがとう」

 そういってアンジェロは消えていった。

そのあとあすぐにイーグルが部屋を開けて驚いた表情を見せて入ってきた。

 「さっき窓の外に花が落ちていったけど……」

 「私の神様が来てくれたのよ♪」

 そういってアローゼは最高の笑顔を見せた。

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