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page 4




蜘蛛との戦闘を終えた俺達は、蜘蛛からの剥ぎ取りをした後、次の獲物を求めて森を進んでいた。

蜘蛛から取れたアイテムは、黒蜘蛛の甲殻、蜘蛛の糸、蜘蛛の肉の3つ。 てゆうか蜘蛛の肉って……。


また、進みながらアイテム採取も忘れずにしておく。

森にあったのは、?薬草、?毒草の二種類が採れた。

剥ぎ取るアイテムと違って、採取できるアイテムは、鑑定しないと名前が分からないようだ。

鑑定は戻ってからにしよう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



歩いていると再び気配を感じ、その方向に進んで行く。

目標の場所に到着するとそこには3匹のブラックスパイダーがいた。


「またこいつかよ…。しかも多いし…」


「仕方ないだろ、この森で出てくるのは、こいつとグレイウルフだけだし」


二種類だけ?森なのに?


「少なすぎじゃないか?」


「もっと奥に行けば他にもいるけど、ここら辺だとその二種類だけだな」


そう言いながらキーラスとエミリスが前に出る。


「じゃあ行ってくるぞ」


「ちゃんと後ろから見てなさいよ。」


言い終わると同時に2人が剣を抜き、ブラックスパイダーに向かって走って行く。

チラッとしか見えなかったが、2人はどちらも違う剣を持っていた。しかも両方ともどう見ても初期支給の剣にはみえなかった。

なんて妬ま、もとい憎らしい。


2人の接近に気付いたブラックスパイダーが向きを変え、2人に向かって行く。


先にエミリスがその場に到着、剣を振り上げ、





ザワッ

「ーーッ!!」

俺の感覚に何かが入り込んできた。


バッ、とその方角、ーー俺の後方を見るが何も変わった物は見えない。

だが、俺の感覚が正しければ何かが確実にこちらに真っ直ぐ向かって来ている。


「おい!後ろから何か向かってくるぞ!!」


2人に呼び掛けてみる。が、


「今忙しい!!なんとかしなさい!!」

「悪い!!ちょっと待っててくれ!!」





「マジかよ…!」

クソッ、俺1人でかよ。

焦りながらも木槌を横に構え、身体強化を発動して何かを待ち受ける。

そうしている間にもどんどんこちらに近づいてきている。

心臓がバクバクしているのを感じる。




ガササッ

突然、俺の前方一直線上に何かが出てきた。


それは一匹の狼だった。

全身を灰色に染めた狼、多分あれがグレイウルフだ。


敵の姿を確認した俺は少し前傾姿勢になり、武器を持つ手に力が篭っていく。



グレイウルフは直ぐに俺を見つけ、俺目掛けて駆けだした。そのスピードは恐ろしく速い。

どんどん俺との距離を縮めている。




俺まであと一歩という距離でグレイウルフは跳ね飛び、ーーー飛び掛かってきた!




「うわぁッ!!」


突然飛び掛かかってきたグレイウルフに驚き、反射的に木槌で前方を凪ぎ払った。


直後、


ドゴォンッ!!


その一撃がグレイウルフに直撃、その轟音と共に相手の体を吹っ飛ばした。


「ギャウン!」

吹っ飛ばされた敵が体を地面に叩きつけられる。


だが俺はそんな敵の様子など目もくれず、木槌が発した蜘蛛の時とは明らかに違う轟音と衝撃にただただ呆然としていた。







「何してんの!!とっとと追撃!!」


その言葉にハッ、と我に帰る。

前を見ると奴がなんとか体を起こそうとしている。


「う、うおおぉぉぉ!!」


そうはさせまい、とグレイウルフに向かってダッシュ、急いで接近する。



そしてギリギリ奴が立ち上がる前に俺は攻撃が届く距離まで接近、木槌を奴目掛けてに降り下ろす。


ドゴン!


攻撃が命中すると、さっきとは違う感触が木槌から伝わってくる。

その攻撃がトドメだったのか、グレイウルフはその場で崩れ落ちる。

そして、そのまま完全に沈黙した。


グレイウルフが動かなくなったのを確認した俺は、ほっとしてそのままその場に座りこんだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おい、大丈夫か!!」


座りこんだ俺にキーラスが心配そうに駆けよってくる。


「まあ、なんとかな」


「悪かったな、お前1人でグレイウルフの相手させちまって」


「あ、今のやっぱりそうなんだ」


「アイツってHPは低いけど速くて攻撃も強いから結構キツイんだよ」


「確かにかなりの速さだったな」


「ま、何にしても無事に倒せたわね。これならグレイウルフは1人でも大丈夫そうね」


「勘弁してよ。あんなのたまたま、ってそうだ」


そう言いながらメニューを開く。やっぱりな、 ヘルプの文字が光っている。


「どうかしたのか?」


「グレイウルフに入れた最初の攻撃だけなんか感触が違かったからちょっとヘルプを確認したんだ」


ヘルプを開き、増えた項目を確認する。


「なんかあったのか?」


「えっと、"カウンターについて"ってのがあるな」


俺はそのままカウンターの項目を読んでいく。

そこに書かれていたのは、


・カウンターが成功した攻撃は最終ダメージが1.4倍になる。

・カウンター攻撃時に取得できるスキルの経験値は、通常攻撃の1.2倍となる。

・ただ相手の攻撃が体当たりに類似したものの場合、その威力によっては余波ダメージがこちらに入る

・このヘルプはカウンターを成功した人にだけ出現する。


となっていた。


「へぇ~、そんなのあったのか」


「今までに見た事ないのか?」


「俺はないな。エミリスは?」


「私も。前情報にもなかったし、新しく追加されたのね」


そういうとエミリスは何か考えだした。

どうしたんだろうか?

エミリスに声を掛けようとする前に、キーラスが俺に言った。


「ゼン、それより早く剥ぎ取り済ましちまえよ」


「あ、忘れてた。剥ぎ取り剥ぎ取り、と」


俺は倒れ伏しているグレイウルフに近付き、解体用ナイフを取り出して、その体に当てる。

すると目の前に手に入ったアイテムが表示される。


手に入ったのは、灰狼の毛皮、灰狼の牙の2つか。


解体を終えた俺は立ち上がり、2人に呼び掛ける。


「解体終わったぞ」


「よし、じゃあ移動するか。ほらエミリスもいくぞ」


キーラスがそう呼び掛けるが、エミリスはこちらの声が聞こえないかのように反応しない。

まだ何か考え込んでいる。

俺はそんなエミリスに話しかける。


「おいエミリス、一体どうし」


「そうだ、そうしよう。これが一番いいわ」


突然、エミリスが顔をあげてそんなことを言い出した。

顔をこちらに向け、さらに言葉を続ける。


「ゼン、今日のアンタの訓練方法を思いついたわ」


まずい、凄い目が輝いてる。

俺の経験上、姉ちゃんがあの目してる時は大抵ろくな事がない。

主に姉ちゃんに楽しく、俺に苦しい方向で。


「ど、どんな方法を思いついたのでしょうか、お姉様」

口調が少々おかしくなりながらも何とか姉ちゃんにその方法とやらを聞く。

本当は聞きたくないが、聞かない事にはどうしようもない。

そんな俺の様子を気にかける事なく、姉ちゃんは俺に向けてこう言った。


「アンタ今日1日、ずっとグレイウルフとタイマンね」


「いやちょっと待ってくれ。」

何言ってんのこの人。



俺に提案を止められた姉ちゃんは不満顔である。


「何よ、何か問題でも?」


「有るに決まってるだろ。寧ろ問題だらけだ!」


「そうだ、幾らなんでも無理がある」


俺に続いてキーラスも否定の声を上げる。


「何処が無理なのよ?」


「まず、今のゼンじゃ1人でグレイウルフは無理だ」


「さっき倒したわよ。」


「それはたまたまカウンターが決まったからだ、毎回あんなに上手くいかない」


「だからこそ、今ここで訓練をやるのよ」


「?」

……どういう事だ?


「いい?コイツの【闘金槌】にはアーツがないから攻撃力で他に劣るの。何時でもカウンター位成功させられる様じゃないと、いざって時に攻撃力が足らなくて護身にもならないじゃない」


うわ、なんか正しく聞こえる。

反論しにくい。


「だけどなぁ……」「やっぱり危ないような……」


俺達は姉ちゃんに対して、未だ煮え切らない態度を隠せないでいる。

そんな様子を見た姉ちゃんは、俺達に向けてこう言った。


「それとも何?アンタ達、


  あたしになんか文句あんの?」



……………こうして俺達の今日の行動指針は、長年培われた力関係によって強制的に決定された。





次回で初日は終了です。

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