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page 33

最近忙しく更新が遅れてすみませんでした。

これ以上遅れるのも嫌なので短いながら書いた分を投稿します。

短くてすいません(泣)

カーン カーン カーン カーン カーン



町の南東部にある大工屋、その中庭に存在する小さな鍛冶場に音が響く。


中を覗けば男が一人、火の入った炉の前で金槌を奮っているのが見えるだろう。

鉄を金槌で打つ度に火花が周囲に飛び散る。

そんな中でも男の視線は炉で熱せられた鉄にのみ集中しており、鍛冶場に存在する他の物には目もくれていない。

そしてまた、鉄に向かって男に握られている金槌が奮われる。


カンカンカンカンカンカン


だが先程とは違い、今度の打ち方は小さく細かい。

よく見れば打っている鉄も小さな物へと形が変わっているのがわかる。


男が金槌を細かく打つ事によって鉄が一つの形……一本の釘へと整えられていく。

そして打ち終わると横に置かれた道具を使って釘を近くの水桶に浸けた。


その瞬間、未だ高温の釘が桶の水を蒸発させ水蒸気がそこに立ち込める。

熱い水蒸気の煙の中、だが男は動じる事無く釘を水桶から取り出すと道具で掴んだまま出来た釘を観察した。

男は少しの間見つめていたが、ホッと安心したように息を吐くとその釘を桶の横に出来た釘の山の上へと積み重ねた。


丁度その時出入口から、


「おーい、終了時間だ。上がっていいぞ~」


そんな別の男の声が聞こえてきた。

鍛冶場の男、つまり俺はその声に反応してゆっくりとした動作で立ち上がると、


「………やっと、おわった……」


そうポツリと呟いた。

五日間 、1日の作業が約11時間。

大体、計55時間の間をこのクソ熱い鍛冶場に籠りきりでずっと過ごしていた事になる。

つまり、俺が何が言いたいのかというと、




なんかもう、いろいろ限界です。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「とりあえずこれで依頼した仕事も終わりな訳だが、今日までよく頑張ってくれたな」


大工屋正面の出入口。

依頼者である大工屋の主人らしき男は、笑いながらそう言ってきた。


「今日までに出来る限りの量を作ってはみたけど、あれ全部で足りるのか?」


「心配いらんよ。あれだけありゃあ不足分の補てんには十分過ぎるってもんだ」


俺が不安に思っていた事について質問するが、男は俺の不安を否定する。

男いわく、元々常備していた分と今日までに俺が作った分を合わせれば今回の仕事に必要な量は確保出来る、との事だ。


「いや、大丈夫ならそれでいい。なんせここで聞かされた仕事内容が『大量に釘を作れ』だったからな。ちょっと不安だったんだが、とりあえず今回の依頼が達成出来たっていう事でいいんだよな?」


「ああ問題ない、あんたはこっちの依頼を十分にこなしてくれた。安心してくれていいぞ」


「それを聞いてホッとしたよ」


俺は男の言葉を聞いて、苦笑しながらそう言った。

今はかなり軽く言っているが、作っている時は本当に不安だったからな。

本当なら最初に最低限の量を聞いておくべきだったのだが、要求品質の高さに驚いてそれ所じゃなかったからな。

作っている間も同様だ。

むしろ作業中の方が焦りが強くて他の事を考えている余裕が無かったかもしれん。


「それとほれ、こいつが今回の報酬だ。五日分で合わせて45000z入ってるから確認してくれ」


そう言いながら俺にお金の入った袋が渡された。

渡された袋の中を確認しながら俺は男に話しかける。


「45000zって事は1日あたり9000zか、なんか高くないか?」


えーと確か、ネット情報だと生産関係のギルドクエストの一回あたりの報酬が高くても5000zだった筈だ。

そう考えるとやはりかなりアップしている。


「そんな事はないぞ。こっちからも色々な条件をつけてる訳だし、せめてこれくらいは払わんとな」


疑問を抱いた俺に対して男なんでもないようにそう答える。


………まあ確かに受ける為にまず【装飾術】みたいなスキルが必要とされてる分、クエストとしての難易度、というかランク他よりも高いと言えなくもない。

それを考慮に入れると、この金額も妥当っちゃ妥当なのか。


「あとはこの紙をギルドに持っていけ」


「これは?」


「クエスト完了証明書だ。これをギルドに提出してクエスト完了になる。こいつの提出を忘れるとギルドから失敗認定されて違約金を徴収されるから気を付けろよ」


「うげっ、それ本当かよ」


その言葉に俺は思わず表情を歪めながら男から受け取った用紙を見つめる。

しかし何でそんな面倒な仕組みにしてるんだよ、疲れてるからこっちは出来る限り早く宿で休みたいってのに。

でも行かないと違約金がなぁ……。


「まあ、何はともあれお疲れさん。機会があればまた会おう、え~と」


「ゼンだ、そういやまだお互い名のって無かったな。あんたは?」


「俺はラーグだ。それじゃあな」


そう言って大工屋の男こと、ラーグは作業場に戻って行った。

俺はその背中を見送ると、


「………………はぁ、俺も行くか」


溜め息を吐き出しつつもギルドへと向かうべく、疲れた体動かして大通りに向けて歩き出した。

いつまでもここに居てもしょうがないしな。









そしてその夜、ゲームに参加しているプレイヤー全てに同じ内容のメールが配布された。



それは新しい町の発見を知らせる物であった。

【鍛冶】Lv12→28

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