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page 20



ランナーズボアを何とか退治した俺とヤシャは、とっととアイテムの回収を行ってマルクのいる森の道に戻る事にした。

その際、ヤシャに回復魔法(ヒール)をかけて貰って減っていたHPの回復を行った。

何気にこのゲームを始めてから初の魔法である。

ちょっと感動した。


マルクにメールを送り、アイテムの回収を始める。

アイテムはランナーズボアから剥ぎ取った物だけじゃなく、最初に奴が食べていたと思われるキノコの様なもの、その中から喰われていない物と周辺に生えていた薬草類を採取した。

アイテムの回収を終えた俺達は、マルクの気配を辿って森の道へと戻っていった



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「2人とも、お疲れ様。大丈夫だったかい?」


戻ってきた俺達にマルクが労いの言葉をかけてきた。


「ああ、なんとかな。ダメージも食らいはしたけどもう回復もしてあるし、問題ない」


「しかし聞いてた以上に強かったな。マルクの言う事聞いといてよかったわ。今の俺達であれに正面から突っ込むとか自殺以外の何でもなかったわ」


マルクにヤシャが笑いながら返事を返す。

ヤシャの言う通り、アイツはやたら強かったな。

攻撃も強烈だったし、体もかなり頑丈でしぶとかった。

しかも林に隠れてヒット&アウェイで攻撃してくるとかキツ過ぎるだろ。加速してるから攻撃ははえーしいてーし。

再攻撃まで時間が有るから回復出来るけど奴の突進攻撃モロに食らったら下手すると1発で町に戻るはめになるぞ。

今日の初狩りがあれとか酷すぎる。

………あれがここの平均とか言われたらやだなぁ。


「…………実は、そのランナーズボアの事何だけどさ。あれってホントにランナーズボアだったのかな?」


俺が嫌な事を考えて渋い顔になっていると、マルクが突然そんな事を言い出し始めた。


「何言ってんだよ、そもそもあれをランナーズボアだって言い出したのはお前じゃないか」


そんなヤシャの言葉に対してマルクは、


「いやそうなんだけどさ。なんかさっきの奴って僕の知ってるのと違うんだよね。僕がβテストの時に戦った奴はあんなにしぶとく無かったし、林に隠れて攻撃なんて器用な真似するモンスターじゃ無かったんだよ」

と、応えた。


「でも俺が近くで見た限りじゃ、アイツは間違いなくランナーズボアだった。俺がランナーズボアを直接見たのは今日が始めてだが、掲示板に貼られてた画像と違いは無かったぜ?」


マルクの言葉にヤシャが反論して返す。

しかしマルクは納得出来ないのか、その表情は曇ったままだ。

俺は、ランナーズボアの存在を今日初めて知ったので何も口に出せず、2人が話している間は黙って意見をきいていた。

続く2人の会話を聞きながら、俺はある事をふと思い出した。


「そういえばアイツから取れたアイテムを見てくれないか?俺じゃ珍しいかわからないけど、2人ならなんかわかるかも知れない」


そう言って剥ぎ取ったアイテムを取り出して2人に見せた。

取れたアイテムは、爆走猪の毛皮、煽動者のたてがみ、爆走猪の肉、爆走猪の牙、爆走猪の魂石の5つである。

それらを見た2人は、その中のあるアイテムに反応した。


ヤシャがそのアイテムを手に取った。


「この爆走猪の魂石ってのは聞いた事無いな。レアドロップみたいだけど、これが有るから異様に強かったのか?」


「他はランナーズボアの普通のドロップ品だね、どれも見た事がある物ばかりだ。……やっぱり、さっきの奴が特別強かっただけなのか」


「モンスターの仕様が正式になる時に変更されたってだけかもしれないぞ?こいつ一体だけじゃまだなんとも言えないだろ、もっと数揃えないと」


「……それもそうか」


最後の俺の意見に同意する2人。

結局、この話の結果としては、なんで奴が強かったのかは情報不足のため不明。

結論は一先ず棚上げとし、情報収集してから再度検討しようという事で決着した。

話が一区切りしたので、俺達は再び移動を開始して獲物を探す作業に戻った。


そうして俺達は、その後も隠密を多用した狩り(不意打ちや待ち伏せ)を続けていた。

さっきの奴のような妙に強いモンスター等に遭遇することもなく暫くは問題なく進んでいたのだが、途中で俺の木槌に異常が見つかった。

どうもランナーズボアにカウンターをしたのがまずかったらしく、耐久値が大幅に減っており木槌の頭部に罅が入っていたのだ。

それで3人で話して仕方なく、今日の狩りの時間を少し早く切り上げる事となった。


……やっぱり木槌じゃ限界があるなぁ、そろそろ鉄に変えないとまずいかもな。


帰り道、生えている薬草類を採取しながらは真剣に武器の強化について考えていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


町に戻った俺達は、休憩と食事をとるために露店で各自好きな物を購入した後、落ち着ける場所を探した。

幸い、狩りを早く切り上げたせいもあって町に人がいない時間だったため、そういう場所を見つけるのも簡単だった。


ベンチに座って食事をとりながら3人で今日の狩りについて話し合った。

各自の意見や感想、気が付いた事を出し合いながらそれを纏めていく。

今日わかったのは、

 ・パーティーによる連続の不意打ちは一応出来る。

 ・敵が戦っている間は敵の察知範囲が小さくなり、不意打ちが成功しやすい。

 ・隠密中は集団で行動しても、バレる確率は一人の時と余り変わらない(ように感じた)

と、こんな感じである。

他にも不意打ちした時の感触の違い等の意見も出ていたが、まだまだ未確定な情報は結論を保留している。


アイテムの分配や食事も終わり、そろそろ解散しようという流れになった。


「いやでも、今日は大変だったけど面白かった。参加して正解だったな」


「俺もパーティー組んだのって初めてだったから色々新鮮だったな。取れたアイテムも見た事無い物ばかりだし。」


「2人がそう言ってそう言ってくれてよかったよ。一応情報は共有出来るけど、2人にとってそれが利益になるかわからなかったから。その言葉を聞くとホッとするよ」


マルクが笑いながらも、ホッとしたように語った。


「また機会があったら呼んでくれよ。出来る限り協力するからさ」


「そうさせてもらうよ。じゃあ今日はここで解散で。2人ともお疲れ様」


「おつかれ~」

「お疲れ様」


そこでパーティーは解散となり、俺達はそれぞれ町に散って言った。


その帰り道、頭の中に響く電子音。

メニューを開けて見るとどうやらマルクからのメールのようだ。

今さっき別れたばかりでどうしたのだろうか?

そう思いながらも、取り敢えず届いたメールを開いてみた。


『さっき別れたばかりのメールですまない。頼みたい事と目の前では言いにくい事があったので送らせて貰った』


冒頭の文章の内容に思わず首をひねる俺。

一体どんな用件何だろうか?

続けてメールを読んで行く。


『前に会った時から凄いアンバランスで目立っていたから気にはなっていたんだけど、





        どうして足の防具をつけてないんだい?』




………………………………………………あっ。


自分の足を見て、そんな間抜けな声が口から零れた。

恥ずかしくて、顔から火が出そうだった。

指摘されるまで完全に忘れてました。(作者が)

深く反省しています。

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