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プロローグ2

すいません、まだゲームに入りません。





ミーンミンミンミンミン ジジジジジ


窓越しに聞こえるこの季節に特有の騒音であり、又は風物詩とも言われるセミの鳴き声。


ゴォーーーーー

ウィ~~~~~ン


部屋の温度涼しく保つために冷風を吐き出し続けるエアコンから発生する風の音と駆動音。


カチッ カチッ カチッ カチッ


正確に時を刻む時計の針の音


ーーーーーカラン


時々鳴る、麦茶の入ったコップを溶けた氷が中から叩く音


カキカキカキカッ カキカキ

カッカキカキ カキカッカキ


テーブルの上で絶えず動き続ける二本のシャーペンによって聞こえる文字を書く音


それが今俺の部屋で聞こえてくる全ての音で、朝からずっと変わらずなり続ける音だった。



だがーーー


カッカッカキカッカキ カキカッ

カキカッカッカキーーーーーー


突然、片方の文字を書く音がシャーペンの動きと共に止まり、それに気付いたもう片方、というか俺も手の動きを止め顔を上げた。

俺の視線の先には顔を下に向けた体制の男がいた。

その男、高野秀樹はゆっくりと顔を上げながらこちらを見てーーー


「・・・あふん」


ーーーーそんな奇声を発しながら、力尽きた様にテーブルの上に突っ伏した。

秀樹のそんな姿を見ていた俺、樋口 誠は思わず溜め息をついた。


本日日時 7月22日 正午


ARO開始まであと5日

両親が出掛けたため俺達以外誰もいない家の中。

俺達は未だにゲームとは全く関係のない、夏休みの課題の消化作業に明け暮れていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「こら寝んな、まだ今日のノルマは終わってないぞ」

「無理、ホントにこれ以上無理、 何この拷問」

「これくらいでなに言ってんだ、三日間完徹してやるより遥かに楽だろが」

俺は泣き言を言い出した秀樹に向かってそう言い放つ。


「あれは夏休みラストで後がないっていう状況と、楽しかった夏の思い出があってこそのブーストなんだよ…」


今のコレとは全然違う、とブツブツ不満を吐き出し始めた。



「てか、さすがにハイペース過ぎる。なんでそんなに飛ばすんだよ?」


「だってお前、AROが始まったら1日中ログインしっぱなしにするつもりだろ」

課題どうすんだ、てな感じの視線を秀樹におくると、


「 そんなのやりたくても出来ないだろ、そういう仕様なんだから」

なんて、言葉が返ってきた。










え、仕様?










「まさかまだ箱すら開けてなかったとは…」


そう言いながら俺にジト目を向けてくる秀樹対して、俺は視線を合わせない様にしながらメットの入った箱を開け、同梱されていたメットの取説とゲームの仕様書を取り出す。


「渡されたら中身の確認と書類を読むくらいしろよ」

「おっしゃる通りでございます。」

「ったく。 ほら、仕様書の"プレイ時間について"って項目のページ見てみろ」


俺は言われるがままに教えられたページを読み出す。 そこにはプレイ時間の制限と時間超過によるペナルティーが書かれていた。

簡単にまとめると

・プレイ時間は1日最高8時間

・それを越えると強制ログアウト+ペナルティが発生する

・連続プレイ時間が8時間を越えても強制ログアウト+ペナルティが発生

・ペナルティの内容は30時間のアクセス禁止


となっている。


「8時間って結構長いな」

「これなら課題やる時間はとれるだろ。どうやったって8時間以上はプレイ出来ないんだし」

「でも、秀樹だしなぁ…」

「大丈夫だって!なんだかんだいってお前のおかげで課題もかなり終わってるし」

「そうだなぁ…」

「そろそろAROの情報集めもさせてくれよぉ~。今日までお預け食らってたんだからぁ~」

「わかったわかった、やる量はへらすよ。 でも開始するまで出来るだけこなしていくからな」

「え~」

「えー、じゃない。 とりあえず昼過ぎだし飯にするぞ」


昼飯と聞いて喜ぶ秀樹の奴を尻目に台所に向かおうとした、ちょうどその時、うちの中に来訪者を告げるチャイムの音が響いた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「ングッングップハー、ご馳走さま! いやー、朝から何にも食べてなかったからラッキーだったね」

「どうもお粗末さま、姉ちゃん急に帰って来たからビックリしたよ。 どうしたんだよ突然」


今俺の目の前で飯を食い終わった後の麦茶を飲み干している女性、俺の姉こと樋口(ひぐち)夏代(なつよ)は今年から大学生であり、それを期に一人暮らしを始めたために会うのも数ヶ月ぶりだった。


「誠もせっかくARO一緒に始められそうなのに、毎日勉強ばっかりして何にも準備してないって聞いたから、

こっちで集めた情報をまとめた物を持ってきたのよ」


姉はなんでもない様にそういった。

ん?ちょっと待て


「"せっかく一緒に"?"聞いた"?どういうことだよ 」

「あれ?秀樹君から聞いてないの? 私もβテスターだったのよ」

だから最近連絡とるようになったの、と俺に告げる我が姉。 何それ聞いてないんですけど

いったいどういうことだ、と視線を秀樹に向けると奴は


「ん?言ってなかったっけ?悪い悪い、完全に忘れてたわ」

あっはっは、と実にイイ笑顔で笑いながらそんな事を言いやがった。 イラッ


「……デザート没収……」

「ちょ、やめて!俺のスイカちゃんを持って行かないで!!」

「残念!! 君のスイカは消えてしまった!!」

「イヤァァァ!!」

「こんなもの、こうしてやる!!」

「ギャーーー!!」


悲鳴をあげる奴の目の前で、デザートのスイカを見せつける様にバクバク食ってやった。 姉はそんなバカな事している俺達を見て、その横で呆れていた。


その後は姉の来訪により現時点でのまとまった情報が手に入った事で、予定を変更して俺への軽いゲームの説明とまとめ資料を元にした検討会が行われた。

さらに資料が揃ったため、翌日から勉強を再開し開始まで課題とにらめっこする日々を過ごした。



そしてゲーム開始当日、ついに俺達のゲームが始まるーーー





こんな少ない文章なのに、書くのに2日かかってしまった……。


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