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page 13




3日目を終えてログアウトした俺は、規程睡眠時間で休憩を入れ、ゲーム内時間で朝8時に入れるように時間を調節して再びログインした。


ログインして先ず始めに取り掛かったのは、昨日に引き続き、木材での武器の作成作業だった。


但し、今日作るのは弓ではなく木槌である。


元々、鉄を買うまで槌を弄るつもりは無かったのだが、装飾によりスペックが上昇出来る事がわかったので、まず木槌で挑戦してみる事にしたのだ。

この武器作成は、まだ良く分かっていない装飾の検証もかねている。

だがそのまま作っても初期の木槌が出来上がるだけだ。

初期の武器には手を加えられないので、自分なりに少し形を変えてみるつもりである。


作業台に着き、まずは木槌の作成を開始する。



1、まず始めに、複数の硬い方の木材から頭部、柄、くさびの3つの部分を大まかにり出す。

柄の部分は初期の物の1.8倍くらいの長さにする。


2、初期の木槌と比べて頭部を一回り細く、柄の部分は切断面が楕円形になるように太く削る。

くさびは柄の楕円形と横幅を合わせて細長い三角柱に整形する。


3、それぞれの部分にやすりをかける。


4、頭部に柄と同じ楕円形の穴を開け、貫通させる。

柄の片端にくさびより小さなV字形を書いてその部分を切り取り、そこから切り込みを入れる


5、頭部の穴に切り取った方から柄を押し込む。


6、頭部に柄を差した状態で動かない様に台に固定し、くさびを切り込みに当て、叩いて最後まで押し込む。



これで元となる武器は完成である。


「よし出来た。木工が上がったお蔭か、だいぶ物が作り易くなったな。」


初めて木槌を作ったが、作業の流れの良さからスキルの上昇を実感する。

では、先ずは新しい木槌の性能を確認してみるとしよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


見習い鍛冶師の長柄木槌



ATK +9


品質 5


未熟な鍛冶師が扱う武器。

柄の変更で少し扱い易くなった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



この木槌を元に装飾していく。


「さて、ここからが本番だ!」


声に出して気合いを入れる。

今回の装飾も灰狼の素材を使って行っていくつもりだ。

というか、素材がもうこれしかないだけなのだが。

まあ、弓との違いを比べるには丁度いいので、さっさと作業を開始する。


7、木槌の頭部に灰狼の毛皮を張り付けていく。

この時、木槌の打面とその縁には付けないでおく。


「っく、やっぱここは難しいな……」


一つ一つの工程をゆっくりと慎重に行っていく。

やはり木槌の工程よりも、明らかに作業の難易度が上がっているのがわかる。

少しでも気を抜くとミスしそうになるのを感じながら、それでも手を止めず、丁寧に作業を続けていく。



8、残しておいた縁に、打面の円を十方で囲む様に灰狼の牙を取り付ける。取り付ける部分は牙に合う様に削り、牙の歯先は打面に向く様にする。

上下の牙には長い犬歯を使う。

この作業を両面に行う。


9、牙に角が出るようにやすりをかける。



「っふぅ~~、きっつ~~。取り敢えず、今はこんな感じでいいだろ」


仕上げのやすりがけが終わり、安心から一気に肩の力が抜けていく。

木槌を作るよりも疲れ具合が酷く感じられた。

気になってメニュー画面を確認すると、スタミナが2割近くも減っていた。

その減り具合に驚きつつも、一先ず今、出来た物を確認してみる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


見習い鍛冶師の長柄木槌(灰狼装飾+2)



ATK +13


品質 4


未熟な鍛冶師が扱う武器。

取り付けられた灰狼の一部から

少量だが力が槌に流れ込んでいる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー



「う~ん、今度は+2が付いたか……」


表示されたステータスを見て、思わず首を傾げてしまう俺。

取り敢えず素材の量を増やしてみただけなんだが、何故か上がってしまった。


素材を付ける量が増えればその分上がるのか?

弓に使ったのは牙2つと毛皮1枚、これが+1。

今使ったのは牙4つと毛皮6枚、これが+2。

数が関係するのは確かだと思うが、武器が違うせいかどうも比較しにくい。


「どうせなら+1が出れば比べ易かったんだがなぁ……」


思わずそんなボヤきが口から出てしまう。

昨日装飾した感じから、まさか+2が出るとは思わなかったのだ。


いや、悪い事では決してないのだが。

ただ俺としては今は+1の方が色々とよかったというだけで。



ま、なんにしても装飾の検証はここで終わりだな。

今使った素材で、ホントに木材以外のものは使い果たしてしまった。

また狩りに行って集めてこないといけないな。


次の検証では、武器に付ける素材の数を変えて見るとしよう。

次で何かわかればいいんだがな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



一部を除く素材を使い切り、これ以上の検証が出来なくなったので、今日の作業を終える事にした。

木材はまだあるが、これは次回の装飾する用に残しておこう。


俺は、作業に使った道具やら木材やらを片付けながら今日の予定をぼんやりと考えていた。


「……そういえば、俺まだこの町の中ってあんまり見て無いんだよな」


ふと、そんな事が頭に浮かんだ。

思い返して見ると、俺がこの町で行った場所はそれほど多くない事に気が付いた。

まあ、現実じゃまだ1日経ってないから当たり前なんだが。


このエントマには複数の施設が存在する。

その中にはβテスト時には開放されていなかった施設もいくつかある。

俺が今まで行った事のある施設は、

道具屋、防具屋、武器屋、共同鍛冶場、宿屋

の5ヵ所で、全て最初から開放されていた施設である。教会は中に入ってないのでカウントしていない。

まだ行っていない施設は、

教会、表通りの料理店、訓練所、ギルド、図書館

とある。

また、教会と図書館はテスト時に開放されなかった施設でもある。

当然、施設に関しての情報もほぼ無いに等しい。



「情報も出てない事だし、一回見て回るのも悪くないか」


クエストの情報もありそうな施設だし、全くの無駄って事にはならないだろう。


そう思って部屋を出ようとした丁度その時、ピピピピッ、と頭の中で聞き覚えのある音が響いた。

音声チャットの呼び出し音だ。

メニューを開き、相手を確認する。


「通信者は……マルクか。」


相手を確認して、チャットを開く。


「もしもし、マルクか?」


声を掛けるとマルクの声が聞こえる。


『やあゼン、今ちょっといいかな?』


「ああ、大丈夫だ。」


『よかった、少し聞きたいんだけど明日暇かい?』


「?どっちの明日だよ?」


『現実でのさ。どうかな?』


特に予定もないのですぐに答えを返す。


「多分、大丈夫だと思う。何するんだ?」


『うん、一緒に森に狩りにいかないか?』


「一緒に?」


『そうだよ。隠密で試したい事があって、その実験も兼ねて。ゼンにとっても悪くない話だと思うよ』


隠密の実験か……。

なんか面白そうだな、人と一緒の狩りも一度やっておきたいし。


「分かった、狩りは2人でやるのか?」


『いや、もう一人僕の知り合いの隠密持ち入れて3人になる予定だ』


「分かった。時間は?」


『現実時間の1時に広場に集合で』


「了解、じゃあ明日」


『また明日』


そこでチャットを閉じる。

人と一緒の狩りか、なんかわくわくするな。

上手く出来るか不安だけど。


マルクからの話に少々の不安を感じながら、俺は改めて部屋から町に繰り出して行った







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