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page 10



食事を終えた俺達は、まだ裏路地を歩いていた。

食事の代金はセット二つで1600zと少し高めだったので自分で払おうとしたのだが、マルクがさっさと2人分払ってしまっていた。



「悪いな、紹介してもらった上に代金まで」


「元々僕がお詫びで奢るために連れてきた店だからね。別に気にする必要はないよ。

それに色々話せて楽しかったし、新しくわかった事もあったから」


お金にも困ってないしね、と何でもないように言うマルク。

そこまで言われて何か言うのも失礼だな、ここはその言葉に甘えさせてもらおう。

一応礼は言わせてもらうが。



「ありがとう、マルク。今日は御馳走になった」


「どういたしまして。あ、そうだ」


何か思い付いた様子でマルクが足を止める。


「ん?どうした?」


「ゼンが良ければなんだけど、僕とフレンド登録しないか?」


「アドレス交換か。別に大丈夫だけど、なんでそんな大げさに?」


「ほら一応君からしたら僕は後ろをつけてきた不審者な訳だし。少し不安で」


まあ確かに言葉にすると、その通りだな。

別に今さら何か疑ってる訳じゃないけどな。



「もう気にしてないよ。キチンと謝ってくれたし、その上この店の紹介に奢ってまでもらったしな。むしろこっちからお願いしたい」


そう言ってお互いメニューを呼び出して操作、フレンド登録の為のゲーム内アドレスを交換する。

交換を終えると再び表通りへと足を進める。


「しかし、大変そうだな」


「なにが?」


「いや、武器のスキル上げ。剣と弓で二つ持ってるから」


俺の言葉に納得しながらも、マルクはそれを否定した。

曰く、戦闘系プレイヤーはだいたい皆こんな感じ、だそうだ。


「もしかして、魔法スキルも取ってたりするのか?」


「え?」


俺がそう聞くとマルクは不思議そうな顔をした。まるで、俺が何か変な事を言っているみたいだ。

そんなに変な質問か、コレ?


「なんだよ、俺変な事いったか?」


俺のその台詞に黙りこみ、何かを考えるような仕草をするマルク。なんか目の前でされると不安になるな。

そんな俺の不安をよそに、考え込んでいたマルクは顔を上げるとそのまま俺にむける。



「ゼン、公式サイトの掲示板とかチェックしてる?」


「そう言えば知り合いとスキルの相談してからは、自分に関係ある所しか見てないな」


自分のやりたい事決めたら、必要な事は姉ちゃんの持ってきた情報で事足りたから特に深く漁ったりもしてない。

そもそも、持ってきた資料も多すぎて自分に関係ある所しか読んでない。

それをマルクに伝えると、納得顔で頷いていた。



「確かに情報が多いとそうなるよね。見てると面倒臭くなってくるし」


「で、どこら辺がおかしかったんだ?」


「戦闘系スキルについてだね。βテストの時から仕様変更されたんだ。」


「へ~、具体的には?」


「防具以外の戦闘系スキルの取得制限ができたんだよ。魔法・武器は合わせて二つしか取得出来なくなったんだ」


「えっ?武器だけじゃなくて魔法も?それだと武器なしでも一人最大2属性までって事になるぞ」


魔法には属性があって、それぞれが別のスキルとして存在している。属性の種類は火・水・土・木・風の5つでそれぞれに違った特徴がそなわっている。

取得制限が掛けられたとなると魔法使い専門でいこうとしているやつには痛手だろう。パーティーを組んだとしても、1属性使えるやつが2人いたら居る意味が薄れてしまう。



「魔法は少し複雑で装備した武器によって取得できる魔法の数が変わるらしいんだ」


「らしいって?なんかフワフワした言い方するんだな」


「実は、まだどの武器にいくつ装備出来るかはよくわかってないんだよ。杖装備だと3つ、その他の武器だと一つ取得出来るのは分かってるんだけど、現時点では進化後の武器の可能取得数までは調べようが無くてね。元々、この情報も公式の情報が全くないからプレイヤー達が自分で調べた物だし」


「あっ、もうそうゆう情報はサイトに出てるんだ」


「皆、規定睡眠時間はログアウトしてるからね。初日でも色々情報も出てくるもんさ。ゼンも公式サイトとかは、定期的にチェックしといた方がいいよ」


そう言うとマルクは再び歩き始めた。

しかしいかんな、俺今日人に教わってばかりだ。次にログアウトした時に少しは自分でも調べないとな。会話してる時にこれ以上変な事言うのは恥ずかし過ぎる。


俺達は表通りに出るとそこで別れ、俺はそのまま宿屋に向かった。

宿屋に着いた俺は、次の日に売る為に今朝と同じ防具を作成。

それを終えるとすぐにベットに横になりログアウト、二日目を終えた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ログアウトした俺は、ベットから出るとパソコンを起動、公式サイトの掲示板をまず調べる。

そう言えばもらった資料によく見る攻略サイトの名前とか書かれてたな、そっちも覗いておこう。


カチカチとマウスを鳴らしながらページを開いて、読んで、閉じてを繰り返していく。

まだ二日が終了したばかりだからか、書き込みの量は多いのに出てる情報は昨日今日に聞いた物がほとんどだ。NPCについても何も書かれておらず、攻略サイトの方も大して変わらない内容であった。


ただ、生産者が上げたスレッドを見た時に少し気になった事があった。

書き込みの数は他より少し少ない位の量なのだが、書き込んでいる人は他と比べると半分を下回っている数しかいないのだ。

これはどういう事だろうか。


(もしかして、このゲーム生産者の数少ないのか?)


しかし、そんな事あるのだろうか?マルクの話を聞く限り他のゲームから移ってきてるプレイヤーも多く居るだろうし、実際ネットでも生産者やるって言ってた人はかなりいたって秀樹からも聞いている。そんなに数が少ないとは思えない。


それとも他に理由があって、わざと書き込んでいないのだろうか?

何か表に出したくない情報があってそれを隠しているとか。


(………いや、それはないな。まだ二日しか経ってないのにそんな隠したくなるような情報がホイホイ出てくる分けないだろ。だいたい書き込みの人数が少ない理由になってないし。

でも、だとしたらなんでだ?どうも理由がはっきりしない)


頭の中に自分なりの仮説を立てては、自分でその仮説を否定する。

思考をループさせながらも、他に何かないかとネットの情報を漁り続ける俺。


その後も次にログインする時間一杯まで情報漁りを続けたが、結局大した成果は得らなかった。


考える事にも疲れてきていた俺は、その疑問は一旦

横に置いておく事に決め、ゲームを再開するためにベットに向かった。

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