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プロローグ



「一緒にゲームしようぜ!」


HR終了直後の放課後、号令が終わるなり俺の目の前にいるクラスメイト兼友人である高野(たかの)秀樹(ひでき)は俺、樋口(ひぐち)(まこと)にそう言いながら顔を近付けてきた。コイツとは小学校の時から友人で、母親同士が同級生であったために家族ぐるみでの付き合いがある。


「なんだいきなり。 てか、昨日散々俺んちでやっただろ。あと顔近い」


俺はそう言いながら秀樹の顔を押し戻した。ちなみにやっていたのは秀樹が何処からか本体ごと持ってきた某サル捕獲ゲームの初代である。 ラストステージで最後の一匹が見つからず、ミニゲームに逃げてしまったが。


「俺が言ってんのは古いのじゃなくて新しいやつ」

「新しいサルゲー?」

「違う違う、 ついこの間発表されただろ」

「・・・ああ、もしかしてAROの事か? そういやお前βテスターだったんだっけ?」

そう聞く俺に、秀樹はおう!と返した。




-ARO- 正式名称 Another reality online


このゲームはつい最近正式サービス開始日時が発表された今世間で話題となっているファンタジー系のVRMMOである。

十一年前、初めてVRMMOが発表されて以来、様々な種類のゲームが登場した。 当然ファンタジー系の物も多くかなりの数が世に出ている。

そんな中、なぜ今時珍しさのないファンタジー系のゲームであるこのAROが世間を騒がせているのか?

理由は色々あり、AIをキャラやモンスターに使っているらしい、今までの物よりもかなり自由度が高い、等があるが、一番大きいのはーー


「本当なのか、現実の一時間をゲーム内の時間で八時間にできるって言ってたけど」


ーーそう、この一点の要素にある。

AROの完成と共にこの仕様が発表された事で、ゲーム業界だけでなく一般世間にまで衝撃を与えた。

当初、この技術に関して多くの疑問や不信感があらわにされたがそれに対して開発者側は様々な実験データやテスト時の使用者達の臨床検査の結果を開示、その安全性の証明を行った。


そうこうして嫌が応にもゲームに対する期待も高まってきていた時、AROのβテスターの募集がかけられた。


募集人数100名、それに向けて日本中のゲーマー達の応募が殺到した。

そして、その狭き門を通過した人達の中に秀樹もいた。



その秀樹は俺に、


「実際やってみたが本当だった。ゲーム内で半日以上いたのに試しに戻ってみたら二時間経ってなかったからな。 あれはマジでびびったわ。 中身もかなり楽しめそうだ」

「おお」

「だからさ、お前もARO始めようぜ!」

「そりゃあ俺だってできればやりたいさ。でもやっぱどう考えても無理だろ。専用VRメットどうすんだよ、もう予約一杯だったぞ」


AROはその性質上、他のゲームとの互換性がないため専用のVRメットが必要だったが第一次販売では個数制限がかけられ、その予約も開始して1日足らずで全て埋まった。 俺も手に入れようとしてダメだった大勢の内の一人である。


「それなら大丈夫だ、もう一個確保してある」

「マジか!でもどこで?」

「βテスターの中で家族とか友人とかのために欲しい人のために開発会社が別枠で8個用意して抽選したんだ。で、昨日当選の通知と一緒にメットがきた」

「マジかよ・・」


俺は驚きながらも運の良すぎるコイツの事が少し心配になった。


「大丈夫かお前、幸運のしわ寄せがきて車とかに引かれたりするなよ」

「おいバカやめろ、怖いからマジやめろ、ホントに事故に遭ったらどうする気だ」

「まあ、それは冗談としても」

「おいぃ・・」

「とにかく、ありがとな。 俺βも予約もダメだったから正直かなり嬉しい」

「感謝しろ感謝しろ、・・・まあもうすぐ夏休み入っちゃうし、休みの間このゲームの話題で盛り上がれないのはつまんないっていうのもあるんだけどな」

笑いながらそういうコイツは本当に人がいいと思う。


「 よっしゃ!そうと決まれば後は情報収集しながらサービス開始を待つばかりだな。 今年の夏休みはARO三昧だ!」

「お前夏休みの課題とか忘れてるだろ。 大丈夫かよ」

「大丈夫だって!なんとかなるって!」

そういって、去年の夏休みラスト三日間を寝ずに過ごす羽目になった事実は完全に忘却さ

れているらしい。


「そうやってなんとかなった事ないだろ。・・・なぁ、サービス開始って何日からだっけ?」

「7月27日からだな」

「んで今日が15日か、・・よし秀樹、この後俺んちいくぞ」

「お、情報集め一緒にやるか?」

「夏休みの課題をやるんだよ」

「うぇ~、なんでだよぅ~」

途端に嫌そうな顔に変える秀樹。 ほんとに勉強嫌いだなコイツ。

「どうせやらないだろお前は。今からどんどんやっていくぞ、課題自体はもうでてんだから。 それとも後に残してゲーム時間減らすか?」

「ぐ・・、仕方ないな。 これも全てはゲームに溺れる夏休みのために!」

「お前ダメ人間の台詞だぞ、それ」

「うっさい。で、開始までにどれだけ課題進めるんだ?さすがに全部って訳じゃ」







「え、全部やるぞ」







「・・・zenbu?」


「全部」


「・・・why?」


「どうせお前、やらないから」


「・・・oh」


本日、7月15日

ARO開始まで11日

こうして俺の夏休みのAROに明け暮れる日々は、まず友人と課題を消化する事から始まった。




ついに投稿してしまったっ!

なんとか書いていきたいと思いますのでどうぞよろしく!

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