胎児の追憶
初めてのオリジナルなので温かい目でお願いしますー
ゆらゆらふわふわぽかぽか
まぶたの開かない俺が感じられることはこれだけだ。ただこの感覚だけが俺という存在が思考していることを確かにしてくれる
そんなことを思い続けてどれほどの時間が過ぎたのかはわからない。最初の数十分はできたがすぐに猛烈な眠気に襲われてそのまま意識が落ちてしまったために、それからは数えていない。ドミノを中途半端なところで崩してモチベーションが落ちてしまったとでも考えればいい
そんなふうに時間の概念も曖昧になってしまうほどに俺は闇の中で漂っているが、不思議と退屈に押しつぶされるような感覚に襲われたり、嫌気がさすようなことも無い。むしろずっとこのままでもいい、そんな気分になってくるのだから
そういえばどうして俺はここにいるのだろうか?
この暖かさのなか、久しぶりの感情に思いを馳せるとしよう
俺には死んだ時の記憶がある。と言ってもその瞬間ではなく死ぬんだな、と思ったときまでしか覚えてないのは幸いなのか否かは言うまでもない
事故で死んだのではなく俺が死んだ理由は病気だ
医者の先生曰く、原因も治療法も不明というものらしい。その後も何か言っていたような気がするが、治らないのなら興味は無かったし、時間が限られているのなら自分のしたいことがしたかった
それからの一日一日はとても輝いていた。一分一秒が何よりも楽しかった。ずっとこのままでいたいと思ってしまうほどに
そして俺の意識は妹と「また明日」そう言葉を交わしたのを最期に終わっている
あぁ、そんな事を考えているうちに眠くなってきた
本当に今の俺はここにいるのだろうか