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ギルドボス  作者: 蟹谷梅次
第一章 破壊金風児/シャボラ解体
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第一話 追放されたのでギルドを作ろう

「ワバリ。お前を追放する」

「押忍! はっ?」


 追放されちゃったぜ。

 追放をされたという事は、もうなんも無いぜ。


 俺はギルド【銀王】に所属する冒険者だった。


 ギルドというのは、色々な職を持つ人間を束ねて迅速かつ円滑に商業的な利益を出すためのシステムを持つ組合組織である。


「これからどうすっかなぁ」


 という事を考えて、俺はある一つの妄想を頭に浮かばせた。俺自身でギルドを作ったらなんかめっちゃ良い感じになるんじゃねぇの?


 俺は天才だと思った。

 だから、すぐに資金調達を始めた。


 まずはギルドの拠点を得るべきなので、その金だ。


 俺には家があるが、俺の家は駄目だ。あそこはボロ家だからいけない。そもそも家だから「そういう用途」ではない。ボロ家っていうのはボロ家のままくちていくべきだ。何かに転用するような、「生半可な生き方」を家に強制するのは「よろしくない」と俺は思う。


 つまり、俺は「そういう用途で作られた建物」で事を始めるべきだ。


 不動産屋に行き、物件を調べると、俺の貯金全額──五百万ベル──に少し毛が生えた程度の値段で二階建てのビルを買えるらしい。


 キープさせてもい、俺は金を稼ぎ始めた。

 手早く金を稼げる仲間を今のうちに集めておくべきだと存じる。


 俺は現場しかしらないずぶの素人だから【銀王】のボスのような経営なんかは無理だけれど、とりあえず数名の長くらいにはなれるかもしれないから……まぁ、なんとかなるだろうという浅慮を敢えて背負い直す。


「というわけで、君たちに俺の仲間になってほしいんだよ〜」

「まぁ、別に良いんだけどよ。……金欲しさに賭博師を仲間に入れようってなるのは違うんじゃねぇのかな?」

「俺たちは別に良いんだけど、金を稼ぐとなって鉄火場に来るのは本当に気持ち悪いぞ、お前さんは」

「気持ち悪くていいからとりあえず二百万くらい稼いでおくんなまし〜」

「えー。だってお前、俺たちが此処でお前に指紋渡しちゃあ、お前のそういう駄目なところに金輪際ずっと付き合っていくことになるんだろ、弟はよくても兄である俺が嫌だなぁ」

「じゃあ、付き合いきれないとなったらさっさと出ていってもいい。理屈も付けない。契約書もなしで良い。なんでもするからさ!」

「なんでもねぇ……何ができんの? お前ちょっと身分証見せろ」


 身分証の三ページにはその個人が持つ色々な資格などが記されている。俺は賭博師の兄弟・アラスとシゲムに黒い表紙の身分証を見せる。


「ほぉ~ふむふむ。ジョン・ジャム・ワバリ。二十三歳。小型・大型の船舶免許……。小型飛行機免許。銃砲刀剣類取扱免許の一級。調理師免許。保育士免許。初等・中等の教員免許。司法修習修了。……お前警察学校も出てんのかよ。お前こんだけ道あってなんで冒険者なんていう人間の腐ったような事やってたんだよ」

「冒険者が一番楽しそうだったから……」


 俺は教職員学校を出た。三年制で、そのうちにある程度の資格は得ることができる。保育士免許だとか、教員免許だとか。だから、俺思うんだけど、この資格とかってあんまり信用ならんぜ。

 その他は取れそうだったから取っただけ。


「俺はいいと思うけどなぁ、兄貴」

「…………なぁジョンさんよ。お前俺の弟を見てどう思う?」

「え〜?」


 俺はシゲムくんを見る。俺の五歳下で、十八歳。


 そもそも、この兄弟は基本的に俺より歳が下だ。十九歳と十八歳。年子ってやつだね。俺は彼らより歳がいくらか離れているからお兄さんの視点に立ってしまう。


 にしたって、「どう思うか」と言われると、俺が十八の頃なんて「うんこ、デヒヒ、うんこうんこ!」とキャラクターが言い燥ぐ一銭の価値もない小説を書いて新聞社に投稿して、「お前は何を書いているんだ」というコメントを貰って大笑いしていたし、十九歳の頃はとっ捕まえた蚊を交配させて最強の蚊を作り、オークションに出品して小銭を稼いでいたし。


 俺に比べると、やってる事は博奕打ちだけれど、まぁ、自分たちで金を稼ぎながら生活をしていて、とても立派だと思う。


 しかし、あんまり表立って凄い凄いと褒めるとあくまで「頭を下げている立場としてのジョニーくん」というのに偉そうだな、という

「こんな歳で賭博師ってどんだけ腕が良いんだろうって思うよ。とてもワクワクしてる。ゲスな言い方をしてしまうけれど、一度でいいから俺のために動いてみてほしいな──という事を考えてる」

「…………そうか。今嘘ついたな?」

「嘘など」


 人間不信だったりするのだろうか。いやぁ。難しい。なんだろうか、なんだろうか、難しい。人間不信に陥ってしまうような過去があるということなのだろう。可哀想だ。


 もしこの件で断られたら……そうだな、この日のことをネタにしてお近づきになり、なんかめっちゃ良い感じにお友達になろう。そうだな、たまに釣りとか誘うし、飛行機で旅行とか誘おう。


「質問の答えになってなかったか? 彼個人の話をするとするなら、人の事をすぐ信用してしまうのは少し難しいところだと思う。彼は無条件に俺の頼み事を受け入れようという姿勢でいてくれる。この場合俺からしてみればなんかめっちゃ良い感じなんだけど……心配になる、かな。気分悪くしたらなんかめっちゃゴメンなんだけど」

「いや……十分だ。仕方ないから今回は協力してやる」

「え〜〜~~~!! 本当かっ!! お前らいいやつだね〜!!」


 俺は歓喜の舞を踊ったね。

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