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文系官僚と理系集団②

 第34章


 ポリアンナ公爵家のスペイン公子、パールよりも2歳年上、しかし、姉と違い卒業の予定なしのスペインは気が短いのか、甘やかされて育っているのか、パールとドクンド主席監査官の話に割り込んできた。


 さて、ここで整理しておきましょう。現在年齢


 パール     12歳

 モモホラ様   17歳~18歳

 スペイン様   14歳~15歳

 ソーラー様   13歳(女性で学年は1つ上になっている)

 ファルセット  10歳(ドクンド主席監査官の息子、長期休暇後に入学予定)


 スペインが声を荒げると、パールとドクンド主席監査官は、お付きの男性を見た。モモホラ様の、イチトスのような役目をしているのかと思いきや、違う!スペイン様を止めていない。暖かく見守っているだけだ。


 たったこの一瞬の出来事で、これからが不安になると周りは思ったに違いない。


 なんとも言えない空気の中、ブレイク文官はのんびりやって来た。


 「あぁ、お揃いですね。国王陛下より、初日は立ち会うように言われましたので、ご紹介とこれからの事についてお話します。学生たちも集まって下さい」


 最高権力者の号令がかかると、その場は静かになり、ブレイクが発する言葉を待っている。


 「今日からポリアンナ公爵家のスペイン様と、ヨロピン7公爵家のソーラー嬢がこの研究室に加わる事になりました。キナグリ公爵家の前例があるので従者は4人まで許可されました」


 「学生たちは居心地が悪く感じるでしょうが、どうか、パール様の研究に力を貸して欲しいと、国王陛下はおっしゃいました」


 「国王陛下はおっしゃいました」と言うフレーズで学生たちのザワザワ感がなくなっていく・・


 「スペイン様とソーラー様は、何を研究なさいたいのですか?得意な事とかはおありですか?」


 しっかり躾されているソーラー様は、

 「はい、わたくしは、植物の研究をしたいと思います。公園には木や花なども植えますよね?」


 「はい、どのような季節でも植物は絶やさないと考えています。公園内には救護施設も作りたいので、薬草など小さな植物園も建設してもいいですね。植物の研究は未知数でいい発案です」


 ソーラー嬢は嬉しそうにパールを見て頷いた。


 「では、スペイン様は何を研究したいですか?」

 「僕は道路の研究をするように言われている」


 「道路の事業は、ポリアンナ公爵家の担当事業ですが、スペイン様は、道を造る素材や強度などの研究をお考えですか?」


 「いや、公園の進捗具合を、公爵家に報告する為にここに来た」


 「それでしたら、従者は要りませんよね?ここに来て、見聞きするだけで、いいのですから・・」


 周りの学生たちも、ややあきれた顔で、スペインを見る。


 「少しよろしいでしょうか?」とスペインの爺やが言う。

 「実は、スペイン様は、今、大変、学業が忙しく、こちらに伺う事も難しいのです。しかし、侯爵さまより、研究所に参加するように命令が出ました。ですから、わたくし達がこちらにお邪魔するのはどうでしょうか?」


 「あなた、お名前は?」

 「ギニアと申します」


 「ギニア様、ここは研究所です。パール研究所は、資料や研究結果など、外に持ち出す事を禁じています。この研究所には持ち出し禁止の魔法陣があります。多分、その成果はご存じですよね?」


 「モンスール、映像を出して」

 

 モンスールは、現在の公園の様子を出すと、近くにいる学生たちが集まって来た。

 「今、学生たちは自分の研究内容をこの紙に書き込んで行きます。例えばですね、ソーラー様が湖の近くに植えたい花はありますか?」


 「今の季節でしたら・・、スイセンを植えたいです。どうでしょうか?」


 「では、そこの学生さん、スイセンを加えて下さい」

 「ここで考えます。この場所にスイセンを置くことによって、何か効果が起こるか?それとも邪魔になるか?本当はベンチの方が良かったのでは等です」


 「ポリアンナ公爵家の道路事業ですと、運動には、柔らかい舗装の方がいいのではとか、馬車も並走できるか?子供達専用の道路を作るか?このパール研究所で意見を交わしながら、最善を探しています。スペイン様が研究に加わるのであれば、本当は、高低差を利用した動く荷台を研究して欲しかったのですが・・残念です」


 「学生たちは、日々、研究しています。パール研究所は、スペイン様が研究する事がないのであれば入室を禁じます。ここはパール研究所で、パール事業所ではありません。それに、学生たちは、本当は、ポータルの研究がしたいのです。今は、わたくしの公園事業がメインになってますが、今後は、彼たちの意見も聞き入れ、ポータルの研究も進めます」


 「スペイン様の入室を禁じるなど、そこまで、強気に出てもよろしいのですか?フラグメール国の皇女のあなたが・・」と、ギニアは言う。

 「あら、駄目なのですか?それなら辞退しましょうか?」


 「はい、そこまでだ!ギニア殿、其方は目が曇っている。スペイン様を幽霊研究者にしたいのか?」とブレイク文官は言う。


 「しかし、とにかく今はダメなのです。ミリンダ様と同じ年齢でご卒業する事が必要で・・」


 モモホラが、

 「後2ケ月で夜会、それと長期休暇が始まる、今、卒業の見込みのない学生は、多分、何をしても卒業できないと思うけど?僕は、今年もダメだったから、どんな手を使っても無理ではないか?」と、空気を読まずに言う。


 「そのような・・、ミリンダ様は1ケ月前に卒業許可書を受け取りました!」

 「何年も留年している僕が言うのだから、そう思うけど??」


 一人の学生が手を挙げて発言する。

 「最近の卒業許可書は、卒業の単位数が達した者に常に発行されます。僕も1年前に頂きました」


 「では、どうして卒業していないの?」

 「いい就職先が見つからなかった事と、パール研究所に居続ける為です」


 (そうなんだ・・、では、モモホラ様は、卒業許可書をもらっていないのかしら?聞けないけど・・)


 「そのようになっているか・・、知らなかった」と、モモホラは呟き、周りはシーンとなった。


◇◇◇◇◇◇


 スペインは、少し考えこんで、

 「そのような事は、姉上が卒業する時に聞かなかったが?」

 「去年からの変更になります。僕が教務部に相談して教えてもらいました」


 パールが、

 「この中に、卒業許可書を、すでに取得している人はいますか?」

 

 3.4人の学生が手を挙げ、「彼に教えてもらい、教務部に確認しました」と言う。


 「僕たちは、映像研究を続けたいと思いましたし、家族も許可してくれました」


 「姉上が、在籍していた時には無かった制度なのだな・・・?」


 「ギニア、僕もアカデミーに残るよ。パール様が提案していた動く荷台を研究したい」

 「坊ちゃん・・、一度、公爵様にご相談なされた方が、よろしいかと・・」

 「でも、やってみたいんだ、これは本当だ。どのような物か映像はあるか?」


 「映像はございませんが、そうですね。モモホラ様、協力して下さいますか?」


 パールは、ジェットコースターのイメージで絵を描き、小さい箱が上下して最終的は安全に停止するような形で制作を頼む。


 モモホラは、簡単に模型を形にして披露する。


 (見よ!キナグリ公爵家の次期公爵の実力を!!簡単に公爵の座を手にしたのではない!!とメイド達は心の中で思っている)


 「モモホラ様は、土地魔法が使えますので、土を色々な形に変化する事が可能ですが、道路建設は平民を多く雇用する事を、国王陛下より指示があったはずですよね?魔力を使わずに、何か違う動力を見つけるの事が、スペイン様の研究になりますが、いかがですか?」


 「あぁ、しかし、面白そうだ!」と、スペインは興味を示し、他の学生も、スペインに賛同する人数が増えていく。ほぼ男子で、乗り物好きに違いない・・


 「しかし、予算的にはどうでしょうか?」ドクンド主席監査官も発言する。


 「その為に、ドクンド主席監査官が、いらっしゃるのではないでしょうか?研究者の浪費を止めるのは文官の役目ですよ」


 ドクンド主席監査官が、少し顔を歪めて、「はぁ~~」とため息をついた。

 

 

 

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