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便利なモモホラ様

 第27章


 モモホラ様は承諾されると、授業中にもかかわらず退出していった。周りは一瞬の出来事で気に留める様子もなく、遺跡からの出土品に興味津々のようで、いつもよりも盛り上がった授業になっていた。


 パールもどのような出土品がでるのかは興味はあるが、モモホラ程の熱意はない。モモホラ様の件は吉とでるか凶とでるかわからないが、五大公爵が四代公爵になればいいと心の中では思っていた。


 授業が終わるとルリーシャは駆け寄ってきて、モモホラの事を聞いて来た。

 

 「キナグリ公爵家のモモホラ様は何かご用でしたのですか?」

 「ええ、物凄く(遺跡)ご興味があるようで、急に、あちらに向かわれました。不思議な方でしたよ」

 「ホホホホホ・・」と笑って誤魔化した。


◇◇◇◇◇◇


 国王陛下の立派なテントに不釣り合いな制服のモモホラが現れ、父親と揉めていると報告があがる。


 「父上、本当です。僕がパール様からここの責任者に任命されました。国宝陛下に謁見をお願いします」


 「バカな事を言うなそのような戯言で、陛下に会わせられるか!折角、ご学友になれる学年だったのに、言葉を交わしたこともない様なお前に・・・、戻れ!無理だ、諦めろ」


 「言葉は交わしたことがある・・多分」


 キナグリ公爵は残念な物を見る様にモモホラに言う。

 「挨拶程度だろう・・?公爵家に産まれ、それも能力持ちの嫡男が剣の技も磨かず、体力にも自信がない、陛下はとっくにご卒業されているのに、お前はずっとブラブラしているだけではないか?そのような危険人物を陛下に会わせたくない」


 「父上、父上はきっと後悔すると思います。父上がパール様の意向を無視したと、明日の新聞に載ってもいいですか?今だって、どこかで誰かが、こちらの会話を聞いているかも・・」


 「お、お前・・、結界は・・?」

 「いや、張ってない」


 「な、な、・・なんと!」


 キナグリ公爵は急いで結界を張ろうとしたが、すでにブレイク文官が近くに来ていて、

 「陛下がお会いになるようです」と二人に告げた。


 キナグリ公爵とモモホラは親戚の近衛兵に囲まれ、陛下の前に現われ膝をついた。


 「モモホラ、久しいな、どのような事だ?」


 「はい、今回、パール様よりこちらの遺跡の管理を任せられました」

 「まだ、遺跡だとは発表されていないはずでは?」


 「・・陛下、結界を張ってもよろしいでしょうか?」

 「う~~ん、キナグリ公爵とブレイクも含めて4人ではどうだ?」

 「ありがとうございます」


 モモホラは4人分の結界を張り、パールから責任者に任命された事をリネガーケント国王に話す。


 「彼女は幼いがとても慎重な女性だと認識している。それに見返りもなく其方を任命するとは思えない」とリネガーケント国王はモモホラに言う。


 キナグリ公爵は青い顔でモモホラを見ているが、モモホラは、

 「陛下のおっしゃる通りです。ここでは話す事ができませんが、パール様より条件を頂きましたので、僕は、陛下に納得いただける能力をお見せする事が出来ます」


 「キナグリ公爵家の能力か?」


 「いいえ、他の能力があります」

 

 キナグリ公爵は驚いてモモホラを見る。

 

 「父上も、パール様も知りませんが、僕のこの能力は遺跡の発掘に役立ちます」


 「陛下は、現在、探す魔法陣で遺跡の特定をされていますよね?」


 リネガーケント国王もブレイク文官も頷かない。

 「僕はその魔法陣を広域にそして浸透させる事が出来ます」


 ブレイク文官が、「それは・・、地下も探すことができると言う事か?」


 「はい、そうです。しかし、僕の魔力には限界があり、国王陛下のお力が必要になります」


 「キナグリ公爵家の能力では駄目なのか?今日はルクソク近衛団長の能力を貸してもらう予定だったのだが、さらに、二人いれば効率が上がるのではないか?」


 「・・陛下、我が家ではまだモモホラに能力があると発表していません・・、どこからの情報ですか?」


 「いや、なんとなく魔力的にそうかと思っただけだが・・」


 キナグリ公爵は、ばつの悪そうな顔で二人を見て、咳をし話題を変える。


 「陛下、いかがなさいますか?愚息を信じますか?」


 「そうだな、折角、彼から歩み寄ってくれたのだ。試してみる価値はあるだろう」


 それからブレイク文官に探すの魔法陣を出してもらい、土地の中央にリネガーケント国王とモモホラは立った。


 「陛下は、この魔法陣に魔力を流し込んで、探し物をイメージして下さい。僕は魔法陣を広げ、陛下が手に入れたい物を見つけます。さぁ、遺物のイメージをして下さい」


 「わかった、やってみよう!」


 一瞬、無風の静寂がおとずれ、二人の手にしている魔法陣は静かに地面に浸透しながら広がっていく、その場の人間は二人から流れる魔力の風を感じながら、静かにその時を待っている。


 モモホラが、「陛下、見つかりました。北へ向かいましょう。この場所です」と話し、一行は歩きながらその場所に移動を始めた。


 手元の魔法陣に赤い印が光り出し、リネガーケント国王が望んだ遺物がその場所にあると示したのだ。


 「モモホラ、助かったよ。実はパール嬢に許可をもらっていなかったから少し焦っていた。苦情がでるまで、のらりくらり誤魔化す予定だったのに、こんなに早く見つかるとは思っても見なかった。・・・所で、君は彼女の事をどう思う?」


 「・・陛下の婚約者であられますから、美しく、利発でお似合いだと思いました」


 「そう、それで、美しく聡明な彼女は、何を望んでこの国に来たと思う?」


 「さぁ、去年の研究発表ですと、この国の文化や知性でしょうか?ビルナツメ教授の研究室を引き継いだにしては、熱心にポータルの研究をしている様には見えません、だが、魔力と魔石には興味が終わりだと思いました」


 モモホラは嘘はついていない。ただ、遺跡で見つかった魔法陣の要望は報告していないだけだ。


 「なぜ?ポータルの研究に情熱を注いでいないと思う?」


 「パール様は、留学されてから一度も国に戻っていないのですよね?祖国に帰りたいと望む事は自然な感情ですが、彼女からは感じられません。この国でやりたい事を探しているように思えます」


 「彼女は皇后の子供ではないからね・・帰りたくないとは思うけど?」

 「そうなのですか?でも、自分の母親にも会いたくないのですかね?」


 「政略結婚の駒として生きて来たんだ。いい感情はないのでは?」

 「陛下・・・」


 初めて二人での会話が終わるころ、魔法陣の示した場所に先遣部隊が到着したと連絡があり、今度は深さや大きさなど精密に測る魔法陣の製作が指示され、暇なモモホラは父親に呼ばれた。


 「モモホラ・・、遺跡の責任者と言う仕事がしたいのか?」

 「はい、父上、実はこの場所が遺跡ではないかと、憶測が流れ始めてから考えていました」


 「他の遺跡にも興味があるのか?」


 「いいえ、他の遺跡もとなると、宮殿詰めの官僚になってしまいますので、王都にあるこちらがいいです。屋敷からも通えますし、仕事も楽そうなので・・」


 「しかし、お前が後継者だと陛下に知られてしまった・・」


 「今は、戦争は起こりませんし、一族には父上がいらっしゃいます。公爵家は、まだ、僕が継ぐ必要はありませんよね?」


 「そうだが・・、最近の奥さんは外聞を気にしている。そこはどうするつもりだ?」


 「今回、広域魔法陣の事を発表して、国王陛下より認められて、この遺跡の責任者に任命された事にして欲しいと陛下にお願いするつもりです」


 「うん・・今年は卒業するか?」

 「いや、パール様が卒業するまでは卒業しないつもりだ」

 「なぜだ、国王陛下に頼まれたのか?」

 「いいえ、面倒ですし、近衛団に入りたくないので・・」

 「ーー家庭内の平和の為、母上には陛下より頼まれたと言え!わかったナ?」


 「父上、この仕事を認めて下さってありがとうございます。・・この後の発掘作業は僕も手伝います」


 「当たり前だ。陛下がお前との面会を許して下さった時から、それが目的だとわかっていたワ」

 「僕は実践経験は初めてで、父上と一緒で助かりました。よろしくご指導お願いいたします」


 キナグリ公爵の能力は土魔法で、戦争の時は砦の建設、スパイ活動、防壁など土を自由に変化させる事が出来る為に、遺跡では大活躍する。リネガーケント国王はモモホラが責任者になる事を歓迎した。


 欲しい出土品を、探して掘り当てて献上してくれるモモホラの能力は、素晴らしいと思っている。


 「便利だ、遺跡は何年もかけて成長するからな‥‥」


 

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