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リゾット皇后

 第23章


 リゾット皇后の筆頭政務官なのか、モンスールとカメールも一緒に移動できる魔法陣を出し、前回、長く待たされた部屋に飛ばされ待つように言われる。


 モンスールはこのように待つ事には慣れっこで、どちらの国でも経験済み。カメールもまったく顔色を変えずに、不動、無言でじっとあちらからの招きを待っている。


 それぐらい、パールのいる世界は厳しい場所だと、どこかで思い知ったのかしら?そんなことを考えていると、皇后のメイドがお茶の用意を始め、この場でお茶やお菓子を出されると言う事は、皇后の前ではお茶が用意されていないと暗示している。


 パールはモンスールに視線を送り、モンスールが携帯しているお手拭きを使用し手を拭き、カップの中をしばらく見てからお茶を飲んだ。お手拭きには毒消しや魔法陣消し、ついでにヤバイ薬も消し去ってくれる成分がたっぷり含まれている。


 国王陛下から皇后に、このお手拭きの事が伝わっていないと、なぜか確信を持っていた。


 「カメール、あなたもお茶を頂いたら?働き詰めで喉が渇いたでしょ?」

 「いいえ、大丈夫です」と、微動だにしないで答えた。


 パールが子供らしく、お菓子を頂いていると、再びメイドが呼びに来た。モンスールはさっとパールの手から食べかけのお菓子を受け取り、カメールの後ろでポケットに入れた。


 モンスールのポケットには仕掛けがあり刺繍されら糸の色で、入れた物の成分が表示される、今回は、薄茶の為、媚薬クッキーと判明する。


 (媚薬って?中に男性でもいるの?傷物にするつもり?・・考えろ!考えろ!媚薬・・・どんな薬なのか?)


 扉が開かれこの前と同じように皇后陛下と沢山の取り巻き、その中にポリアンナ公爵の姿はなく、どのような要求がなされるのかわからない状況だ。


 「リゾット皇后陛下にご挨拶もうしあげます。フラグメール国皇女、パールでございます」


 「ええ、本日の説明会は楽しく拝見しました。その中でですね・・、公園内の道路ですが、その工事をポリアンナ公爵家に頼めるかしら?」


 ここまでくる間に、媚薬の効果の正解を導き出したパールは、皇后陛下の言う通りに頷く。あの薬はお茶を飲む事により操られの効果がでるのだ。


 パールは少し目を虚ろにさせ演技を入れてみる。

 「はい、もちろん、よろしいです。わたくしが現在考えている道路は、外周は一般に公開し、景色の良い特別な道路は貴族の方々専用にする予定ですので、ポリアンナ公爵家が責任を持って担当して下さると有難いです」


 「概要がもうすでに決まっているの?」

 「はい、先ずは整地が必要です」

 「整地には1年から2年はかかる予定になっています」


 「しかし、出来上がった映像では、すでに道路も整備されてましたよね?」

 「はい、地形や環境は破壊することなく進める所存ですが、デコボコの地面では運動は出来ませんので、その為、整地には旧ポリアンナ公爵家の砂を使いたいと思っております」


 皇后陛下はポリアンナ公爵を同席させなかったのは、あからさまな圧力を他の貴族たちに悟られる事を嫌がった為で、薬を飲ませたパールから言質を取るだけで良かったはずだ。


 ふたりの間には沈黙が流れ、パールの目が閉じたり開いたりする様子が現れたので、皇后が下がるように伝えた。部屋を出すまでは自力で歩行していたが、ドアを出た瞬間にカメールに抱きかかえられた。


 その様子をみて誰もが薬は効いているのになぜ?上手く行かなかったのか不思議だと感じたに違いない。


 モンスールが、泣きそうな声で「パール様・・」と話しかけると、パールは2度モンスールの手を叩き、大丈夫の合図を送った。


 カメールたちは、皇后側からもらい受けていた魔法陣を出し、急いでパールの部屋まで移動した。


◇◇◇◇◇◇


 「お嬢様、大丈夫ですよ、部屋に戻りました」


 パールはそっと目を開け、モンスールとカメールを見る。カメールがパールの寝室まで入ったのは初めてだ。

 「パール様、本当に大丈夫なのでしょうか?」


 「ええ、クッキーに入れられた媚薬は、お茶を飲む事によって操られる効果がでるの、皇后側の計算では、道路を整備する権利をポリアンナ公爵が得て終了の予定で、わたくしが薬の症状が現れる前に退場させる事ができる」


 「だから、私達に帰りの魔法陣を先に渡していたのですか?」

 「そうよ、彼らの計算ではわたくしが部屋に戻ってきてから倒れる計算だった」

 「しかし、わたくしが整地の重要性を話し、あの砂を使う予定だと言い、主要道路はすでに決まっていると虚ろになりながらも説明した事で、ポリアンナ公爵家側は予定を狂わされたのよ」


 「プレゼンテーションが終了してから、大した打ち合わせもせずに子供に薬を盛って言う事をきかせるなんて、極悪人のやる事よ。まったく・・しばらくはまた静養期間に入ります」


 「しかし、お嬢様、アカデミーの授業日数が・・」

 「では、3日間にしてちょうだい!!寝るわ!」


 プリプリ怒りながらパールは布団にもぐった。次の日に国王陛下からお見舞いとして、公園レストランから比較的近い場所に、王妃専用の離宮を建てる許可書が送られて来た。


 「皇后陛下の取り巻きたちの中に、リネガーケント国王のスパイがいるのね?」


 「そうですね、今回のプレゼンテーションの後に皇后に呼ばれて、その場でパール様が倒れた事は、新聞にも出てましたから・・」


 「うそ~~、モンスール、見せて!」


 新聞によると、プレゼンテーションの後、フラフラになりながら歩くフラグメール国皇女を、皇后がお茶に誘いだし、何かポリアンナ公爵の為になる事を要求したに違いない!と、書かれていて、その後、リネガーケント国王はパール皇女に離宮を送ると発表した。


 「お二人は相思相愛の関係にあり、両国はこれまで以上の友好国となるでしょう。等々、概ね、悪人は皇后、国王はパール様を愛していらっしゃると書かれていますね……」


 「新聞に載る事も不思議よね?カメールの仕業?」

 「いいえ、魔力塔のようです」

 「・・魔力塔がどうして?」

 「皇后陛下のお使いになった魔法陣が、魔力塔の監視に引っ掛かったので、直ぐに魔力塔より調査が入りました。プレゼンテーションの場にはラオネル大魔導士様も出席してましたので、追跡が早かったようです」


 「国王陛下とラオネル大魔導士様の関係は良好のようで、色々調べて今回の皇后の事も国王陛下に伝わったのではないでしょうか?」


 「でも、お手拭きの事は陛下もご存じと思いますが・・」


 「結果的に離宮の建設が許されたのですから、パール様には良かったのではないでしょうか?」


 パールはモンスールに答える事はなく、手にした新聞を隅から隅まで見ていた。


 (ポリアンナ公爵が道路に目をつけた事は、いい案だとパールも思った。あの砂の台地までの道を造りたかったのだろう?あの土地に何が眠っているのかはわからないが、ポリアンナ公爵家にとってはあそこは重要な場所なのだろう・・・、しかし、パールにとって道路は運動と観光に必要なだけで、ポリアンナ公爵家に任せてもいい、それによって恩を売る予定だったのに、離宮の許可までは必要なかった)


 「モンスール、執務室にカメールはいる?」

 「はい、この時間には出勤しているはずです」


 頭の中を整理しながら、急いで執務室に向かう。

 カメールが苦い顔をしてパールを待っていた。


 カメールは指を立てて声を出す事を止めた。パールはフラグメール国仕様の結界を張り、カメールと話す。


 「国王陛下から何か言われたの?」

 「はい、多少、注意を頂きました」

 「まず、皇后陛下に呼ばれた場合は、ブレイク文官に話を通す事、他人の魔法陣を安易に信じないようにと注意されました。・・宮殿内で移動用魔法陣を使用する事は皇族でも禁止しているようです」


 「そうなの?知らなかった・・、だって、皇后陛下が・・」


 「はい、私の勉強不足でした。しかし、皇后陛下はご存じでしたのに、パール様から急いで言質を取りたかった事がわかりましたが・・」


  

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