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コーヒーを一杯

「コーヒー」


 ボロボロの服を着た鋭い目つきの男はカウンターに座るとぶっきらぼうにそう言った。

 半地下に作られたカフェの店長は「払うもん払ってから言いやがれ」と文句を言いながらもコーヒーを淹れ始める。

 店長の文句を聞いた男は「仕事がねえんだよ」と言いながら、カウンターの端に置かれていた古びた雑誌を手に取った。


 しばらくしてから、つまらなそうに雑誌を読んでいた男の前にところどころ塗装の落ちたカップが置かれた。

 そのカップを見て男は鼻を鳴らした。


「客商売なんだからもう少し小物にも気を使え」

「お前にはその程度で十分だ」


 店長の返しに男はもう一度鼻を鳴らすとコーヒーに口をつけた。


「相変わらず不味いコーヒーだな」

「最近は良い豆も手に入りにくくなってんだよ」


 ぶつぶつと文句を言いながらもコーヒーを飲み終えた男は立ち上がると、料金も払わずに店を出ようとする。

 店長はその背中に声をかけた。


「今日こそはなにか使えるものが見つかると良いな」

「お前も俺以外の客が来ると良いな」


 そうして男は扉を開けて外に出る。

 開いた扉から、突如として始まった戦争によって荒廃した世界が覗いていた。

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