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9/12

悪役令嬢の主人公ムーブその8 まさか、わたくしのふわふわパンの性能をご存じでない?

ガンダムで例えられなかったので、プラモで例えてみた。俺得。

天然酵母のふわふわパンの解説の前書きと小話の二部構成。

 なろう名物。ふわふわパン。

 

 このテンプレは、天然酵母を使用して作られたパンのことを差す。

 手作り酵母のパンって、難易度メチャ高くない?


 これをプラモ界隈で例えると、彩色済みのフィギュア買ったり、プラモを組み上げる所までは出来るけど、ハイレベルなモデラーへと到達できるのは一握りみたいな感じの話なんだよ。


 天然酵母を使用したパン作成の困難さが、少しは伝わっただろうか?


 巣ごもり前から世の中の一部では、パンの自作ブームが続いているけど、酵母からの手作りって、そんなにメジャーなの?

 

 もはや趣味人には定番なの?


 手軽に始めたいならば、この一袋さえあれば作れるという、ホットケーキミックスに類似した、数多の便利な魔法の粉だってあるのに。


 一般的にパンを膨らませるための粉としては、ドライイーストやベーキングパウダーがある。

 これらをバターや小麦粉と混ぜ、手で捏ねることで、おうちでもパンが作れるんだ。


 もっと本格的に作りたければ、パン捏ね器・発酵機・ホームベーカリーという便利な道具がある。

 

 プラモで例えると、この辺りはエアブラシ―・ハンドピース・コンプレッサー辺りを想像してくれ。

 

 ここまで導入すれば、ご家庭で手の込んだパンが作れるようになるんだ。


 だが、手作り酵母でのパン作りに挑戦するまでの道は、まだまだ遠く、険しいもの……。


 原材料の小麦粉やバターを厳選し尽くし、生イーストへの挑戦も成し遂げた、歴戦の猛者だけが辿り着ける、ファイナルステージ感がある舞台なんだよ。


 プラモで例えると、塗料とマテリアルの活用でテクニックを身につけて、最終的に追加造形や背景ジオラマにも凝り出した様を、想像してみてくれ。


 百万円貰えるクイズ番組ならば、既にリタイアしてたって良い所なのだが……、真のチャレンジャーならば、さらなる高みへの飛躍を、目指し挑んでしまうものだろうな…………。


 手作り酵母は、温度や湿度管理が必要な、ガチ上級者向けなんだ。

 

 ・煮沸消毒と自然乾燥。

 ・冷蔵庫で管理し、一か月ほどで使い切る。


 これだけ読めば、簡単そうに聞こえるかもしれないが、カビを育てて使いこなすんだぜ?


 そもそもパン作りは体力勝負。

 週末なら良いが、平日はさすがに大変過ぎて、ちょっと無理なんだ。 

 (便利機械がある人や作り慣れてる人は、違うのかもしれないが)

 

 モデラ―だって、平日に塗装は厳しいだろう。

 

 だから、イセコイに出てくる一人暮らしのOLっぽい主人公ちゃんも、週末に作り置きしては、ガッツリ冷凍していたのだろう……。


 丸一週間パン食して、週末にまた次の週の分のパンを焼く。

 全て消費するには、白米や麺類への浮気も出来ない。 

 そりゃ手作りパンは美味いけど、ストイックでなければ貫けない覚悟のある生活だろう。

 


 かつてお笑い番組で、女芸人の伊藤ちゃんがパン作りが好きとアピールしていた。彼女は『お笑いよりもパンが好き』という、今でいうスイーツキャラの成分を担っていたんだ。

 

 そのせいか、パン作り=伊藤ちゃんという歪んだ認知が、作者にはあった。

 

 だがある時『ふわふわパンケーキ』に魅了され、並ぶのは大変なので、おうちで魔法の粉を使ってはホットケーキを焼く日々をくり返すという……、いつの間にか『伊藤ちゃん』化していた己の姿を自覚して、慄いたんだ。


 ヤべーよ。

 スイーツ化してたわ……。

 コレ完全に伊藤ちゃんだわ。

 

 こんな話には誰もついてきてくれなさそうだから、キャンディ塗装を施すべく、モデラー要素を足してみたんだ。

 

 お分かりいただけただろうか。


 モデラー例えによって、同じ小麦粉畑の出身でも、魔法の粉頼りのゆるふわエンジョイ勢と、ハードパン作りに挑む勢との違いと、その趣味に対する情熱とを、少しでもお伝えすることが出来ていれば良いのだが。

 

 ハードパン作りに挑む人は、もはやスイーツではないんだ。

 本気でアツいガチなヤツなんだ……。


 手作り酵母のページを見ると、南仏風の全粒粉とライ麦を混ぜたカンパーニュ(直訳すれば田舎パン)とか油脂が入らず砂糖控え目なリュスティック(直訳すれば素朴)とか、あちらでは日常食なのだろうが、こういうハードパン(日本でいうフランスパンの類のパン)は、日本ではオサレなパン屋さんでしか見たことがない。

  

 えっ?!トマトジュース入りのパンや、オレンジピール入り、サツマイモ入りとかもあるの?

 

 何それ? すっごい! めちゃめちゃおいしそう。

 こんなの自分で作れたら、絶対カッコイイヤツじゃん。

 素敵。いいなぁー。何だかものすごく楽しそう……。


  流行りにノセられ易く、浅くふんわりを楽しむスイーツな作者は、結局自作することは無くただ羨んだ。

 

 このパンを週末に焼けるなんて、絶対に凄い。

 趣味やライフスタイルへの強いこだわりと、情熱がハッキリと見える。

 

 これをやり切れる奴に、悪い奴はいない。(たぶん) 

 君なら、異世界でも自分を貫けるから、きっと成功だってする。

 むこうに行っても、頑張ってな!

 

 今回言いたかったのは、ハードパンが焼ける奴と、ガチなモデラ―はすげえってことだけだ。



◇◇◇◇



 さてスイーツはスイーツでも、黄薔薇姫は、一味違う。

 パン職人に指示を出し、温度管理も徹底し、衛生環境の整った調理場でパンを焼かせたのだ。

 

  豊潤で香ばしい小麦の薫りは、溜まらない。


 オサレなフィリング(具)入りも確かに魅力的だが、パン本来の持つ力には性能差などはないのだ。

 

 このシンプルで素朴な、焼きたてパンだって、最高ではないかっ!

 むしろ素材の風味を全力で堪能できるという掛け替えのない喜びが、そこにはある。


 シンプルイズベスト。これこそがまさにスタンダード。

 誤魔化しの聞かない、本物の味だ。


 カリッとした皮の歯触りに、中のフワフワとした食感、漂う優しい香り。


「こいつ、美味いぞ」


 無駄に長い前書きにお腹を空かせていた執事も、驚いた。


「お嬢様っ! これはいいですぞっ。これぞまさに新型。パン界の革命児だっ!!」


 お嬢様に支持されるままに酵母を管理しパンを焼かされた、パン職人のジムは大興奮だ。


「ええ。ジム。革新は我々から始まるのです。このパンの量産をあなたへと託すわ。高級揚げ物店の失敗という悲しみを怒りに変えて、立ちなさい! 我らパン職人こそが、選ばれた職人であることを忘れないで。わたしたちこそが、この国の民を、救い得るのです」

 

 黄薔薇姫は拳を握りしめ、ジムを含む調理場にいたパン職人たちに向かって演説をした。


 『我ら』とか言っていたが、黄薔薇姫はパン職人ではないのだが、全員涙を流し感激し、黄薔薇姫に喝采を送った。


「そのような崇高な理念をお持ちとは……。ワ、ワシのような者でも、お嬢様のお役に立つことが出来るでしょうか?」


「大丈夫、あなたなら出来るわ。あなたを今後建設するパン工場の工場長に任命致しますわ」


「分かりましたぞ。このジム、確かに拝命仕りました。貧困に苦しむ民のためならば、この老骨に鞭打ってでも、新たなパンの普及に、努めましょうぞ。どうか今後とも、ワシらをお導き下さい」



 こうして、公爵領の領地にあるサイレントヒルに建造されたジムおじさんのパン工場で、新型のパンが量産されることとなった。


 シンプルな材料で作られたパンは価格もお手頃。

 素朴で優しい飽きのこない味のパンは、長く愛されることになった。



めでたしめでたし

キャラ設定。


ローズマリー・イエロー 黄薔薇姫  主人公

悪魔執事レビ     嫉妬の悪魔 今回は空気  

パン職人ジム    イエロー公爵家で働くパン職人


お分かりいただけましたか。

あれこれ勝手にフィリングにして盛り込ませていただき、大変失礼いたしました。


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