表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/12

テンプレ悪役令嬢、王子の婚約者の黄薔薇姫の元へ、嫉妬の悪魔が舞い降りる

※90%以上のクソ女成分で構成された御都合仕様な、登場人物が変化するパラレル時空です。

 現実世界の特定の個人・団体・思想信条・既存の作品・作者様への批判の意図は全くありません。

1,テンプレ転生者な黄薔薇姫は、王子と出会う



 黄薔薇姫の二つ名を持つ、ローズマリー・イエローお嬢様は、公爵家の御令嬢だ。


 王子の婚約者で、異世界転生者。

 なろうテンプレにも詳しい。


 前世は人生に疲れた社畜OLで、初見の子猫を助けようと車道に飛び出し、トラックに引かれ(運転手さんカワイソウ)転生してしまった。

 

 根っからのテンプレ重視な、黄薔薇姫には、TS転生の選択肢は最初からない。


 そんなお嬢様が前世の記憶を取り戻したのは、セオリー通り、王子との婚約者としての、初顔合わせの場だ。


 脳内の住人である、もう一人のワタシ『妖怪ペドBBA』が、王子のイケショタっぷりに、涎を垂らしていた。


 肉体年齢を考えれば、自分もキッズなことは棚に上げて、前世年齢と今の年齢とを、なぜか合算して「わたくしには、お子様との婚約なんて、絶対に無理よっ!」と初対面の王子に、上から目線での、ツンデレ宣言をかました。


 こんなことを急に言われても、リアクションにも困るよね。

 これには王子も、苦笑いするしかない。



 史実的には、政略的な理由から、年の離れた婚姻関係もあったけど、ここはナーロッパのとある国。


 五歳児が親の同世代の相手に、好き好き言おうと「パパのお嫁さんになるー」的なものにしか映らない、そんな優しい世界なのさ。


 同級生が、パパに密かに恨まれるだけの、初恋泥棒にしか思われないから、安心だね。


 ガチで五歳児が、パパの友達と結婚する展開ならば、あと十五年は待って欲しい。


 保育園・幼稚園の先生が本気にして、幼児とイチャついてたら犯罪だ。

 職だって失ってしまうからね。

 

 イケオジ×幼女あるいは、美魔女×男児という関係は、ファンタジーの中の萌え表現の一つだが、デリケートゾーンでもあるんだ。

 

 ハーレムタグのあるハーレムや、元さやタグのある元さやのように、既にあらすじやタグに示されていて、それを期待する読者たちが、密かに楽しんでいる、ほのぼの空間にまで、無粋な輩がやってきてしまうことも、あるんだよ。

 

 素人には、情勢やコンプラに詳しい、頼れる味方はいないんだ。


 みんなやってる大丈夫と過信してるうちに、うっかり晒され、切り抜きでのライン超えからの、大炎上なんてことも、起こりうる。

 

 あるあるテンプレだって、油断していると、時には怖いことに繋がることだって、あるかも知れない。


 だから、今回は、王子様との恋愛展開に、ストーリーを寄せていこうね。



◇◇◇◇

2,黄薔薇姫は、王子のテンプレな婚約者になる



「実は先ほど、前世の知識が蘇りましたの。ここは乙女ゲームの世界。わたくしは悪役令嬢で、破滅の運命にさらされているのですわ」


「へー、そうなんだー」


「もしあなたが、他の人を好きになる日が来たら、どうか断罪はせずに、婚約を破棄してくださいませ。ヨヨヨッ」


「へー、そうなんだー」


 『電波』とは言わないで、あげて欲しい。


 実際、転生モノの少女マンガが流行った頃の、オカルト雑誌の文通欄に、自分も転生者だとを名乗る読者からのお手紙が、多数寄せられたことがあったらしい。


 火星人襲来のSFをラジオドラマで放送した時にも、マジで火星人が攻めてくるのでは? というパニックが起きたと、言われている。


 希求力のある物語というものは、時にこういった現象を招いてしまうものなんだ。


 幸いなことに、このナーロッパのとある国でも「空から魔王が降ってくる」「大魔獣襲来」などの、有名な物語には事欠かない。


 だから王子は、温かく見守ることにしたんだ。


 神様やサンタの実存について語るのと、一緒だね。

 観念的な話においては、真実も事実も、時として必要とされていない。



 この時、黄薔薇姫は、まだ十歳。


 現実といろいろ混同してしまっても、仕方ないがない、お年頃だよね。

 


 哀しいことに、国家戦略的に、この婚約は決定事項。

 現段階での「チェンジ」も出来ない。


 だから王子には、ただ受け止めることしか出来なかった。


 「分かりました。ですが、せっかく婚約者となったので、まずはお互いに、信頼関係を築いていきましょう」


 「おかのしたわ」


 ここで一目惚れからの、君を溺愛するから「覚悟してね」を決めるほどには、王子だって、覚悟完了していなかった。


 誰だって、十歳で人生を諦めたくはないんだ。

 夢も希望もあるんだよ。まだ。


 そんな、前向きな解散で、顔合わせは終了した。


 定期的にお手紙を交わしたり、お茶会をしたりしながら、一緒に頑張ろうねという、テンプレ地雷の撤去を謳う、努力目標の宣言に留めたんだ。 


 拘束力のない、骨抜き発言? 玉虫色の回答? また善処しますかよって言わないで。


 王子様だからって、十歳の男児を、そんなふうに過剰な期待で、追い詰めないであげようよ。

 


 どうせ徐々に溺愛と確信した黄薔薇姫は「ああー、つれーですわ。モテる女って、やっぱ、つれーですわ。案の定、婚約が断れなかったのですわぁ。まったくもぅ。テンプレにも困ってしまいますが、これも悪役令嬢としての定めですわね……」と言いながら、馬車に乗って、おうちへと帰って行った。



◇◇◇◇

3,黄薔薇姫は、テンプレ美容体操と化粧品を流行らせる



 婚約を避けられなかった、黄薔薇令嬢は、さっそくヨガとラジオ体操と化粧品開発を、始めたんだ。

 

 ヨガ人口・ラジオ体操人口ってそんなに多いの?

 日本にいるインド人・ネパール人が、近所の公園でヨーガやってる所、全然見ないんだけど。


 最近はピラティスも流行っているらしいけど、かつてのエアロビ層は、どこに行ったの?


 日本式カレーみたいに、日本人的に定番になり過ぎて、もはや認識し辛くなってるの?


 小学校で培った習慣を、全員がずっと続けているのなら、牛乳だってもっと飲まれているのでは?


 アレルギーがなくても、飲んでない人が多いから、近頃の酪農家さんが大変なんだろうに。



 手作り化粧品って、そんなにみんな作ってる?


 柚子の種から作る化粧水なら、やってみたけど、自分で使った種を集めての自作だからアリだけど、他人からは、貰いたくないよ。


 だって、お肌に付けるものですわよ!!


 被れたりとか普通に怖くてよ。

 合わなかったのか、品質が悪いのかも不明だし。 

 

 自作なら自己責任だから、諦めもつくけど、貰いものの手作り化粧品とは、下手したら、人間関係が壊れそうで。


 肌トラブルからの人間関係トラブルって、非常に面倒臭くない?


 どうせ殺菌処理や管理がいい加減だったんだろうって、善意の人を、疑ってしまいそうで、嫌だな。

 

 石鹸作りや陶芸体験も経験あるけど、お客様で参加しただけだ。

 必要なものは、既に大体揃っていた。

 原材料の正式名称や適正分量なんて、思い出せないじゃなくて、覚えてすらいない。


 素人が廃油で作った石鹸は、臭くてベトつく残念クオリティの仕上がりだった気がする。


 茶碗の方は、視覚情報からの料理の美味しさを、妨げるほどに、大変味わい深い、個性的な作品が生まれたよ。


 つまり、素人のニワカ作品は、作る喜びや、思い出こそが大切だってことだね。



 こだわりストならば、コスパを気にせず、上質な材料で、試行錯誤を繰り返すのも、いいかもしれない。


 特定の思想信条をお持ちの方や、悩み多き超敏感肌タイプではないのなら、結局のところ、市販品が安心安全なのでは。


 こんなふうに、様々な商品が、広く流通されている世界では、プチプラでもぬくぬくと暮らしていけるのに、そんなにみんな、スローなライフにしてくれているの?


 SDGSなの?

 

 コスパ・タイパを重視しない、丁寧なゆとりある暮らしを送れているの?


 まぁ、こだわりや趣味のある人生に憧れてしまうから、物語としては、知識チートからの自作やら、発明エピソードに、心惹かれてしまうんだけどね。



 キャンプ飯動画みたいなもんで、高いグッズは変えなくても、ちょっとした贅沢や、うちでもできそう感や、楽しそうな雰囲気って、何とも魅力的だからね。


 おもちゃ売り場に最近行ったら、リ〇ちゃん人形やシル〇ニアファミリーにも、キャンプグッズが豊富にあって、びっくりしたもんな。


 このキャンピングカーなら、お手軽に、買えてしまうんだ!! 

 完全に不要不急の品なのに、一瞬、無性に欲しくなってしまったよ。


 なんか立派だし、キッズだって、これで同じ夢を見てると思えば、胸熱過ぎて。


 そんなふうに、唸らせるようなアイテムや、小技を繰り出してくる作品は、ストーリーが際立っていて、面白いから、知識チートは大人気さ。


 テンプレを重視する黄薔薇姫だって、人気者には、憧れる。


 だから、メイドに命じて、化粧品を開発して、美容体操ブームを巻き起こしたのさ。



◇◇◇◇

4,黄薔薇姫は、テンプレ押しかけご都合装置、嫉妬の悪魔に出会う



 いつもの美容体操をしていた、ある昼下がり。


 エクササイズのアイテムだって、気分によって使い分ける、映え意識の高い黄薔薇姫は、タオルで汗を拭っていた。


 その日の、足元のヨガマットの柄は、たまたま魔法陣柄。

 そこへ彼女の血と汗と涙が滴り落ちて……、悪魔がやって来てしまった。


 超イケメンな白髪の悪魔の、瞳は真っ赤。

 細マッチョで、背も高いのに、圧迫感の無い細面の美男子だ。


 アルピノなのに、夏の日差しにも負けない、ウォータープルーフタイプの、SPFがめちゃ高い、日焼け止めみたいな、体力魔力が自慢なのに、美肌でもある悪魔様が、いきなり現れた。


「お嬢様はズルすぎます!! テンプレばかりの、このナーロッパ世界はあざと過ぎて、私はいつも嫉妬してしまいます! とりわけあなたの、そのあざとさには、私も嫉妬を禁じ得ません!!」


「あなた、どなたですの? どこから来ましたの?」


「私は、お嬢様に召喚された悪魔です。これからは悪魔執事として、あなたの側で嫉妬させて頂きますから、ご覚悟を!!」

 

 不法侵入者の寄り添い発言には、動揺しなかった黄薔薇姫も「悪魔で執事って色々とヤベーですわ」とは困惑したのだが、キャラデザが被ってないから、へーきへーきと、深くは考えないことにした。

 

「分かりましたわ。あの、念のため、お名前は?」


「私のことは、レヴァイア=サン……。いいえ、これからは執事としてお仕えするので、レヴィもしくはエンヴィとお呼びください」


「塩ビ?」


「……レヴィでお願いします」


「レビね。わかりましたわ」


 こうして「デーブィデー」と発音するどこかの社長よりも、あざとい黄薔薇姫の、悪魔執事はレビと呼ばれることになった。


なお、己に嫉妬心を抱えているストーカーに付きまとわれる危険性や、コイツを養う生活費については触れないものとする。

特に覚えなくても平気な、キャラ設定です。


ローズマリー・イエロー 黄薔薇姫  主人公

悪魔執事レビ      嫉妬の悪魔 ツッコミ担当  


アレクサンダー・レッド 王子   

 スパダリにも浮気クソ野郎にもなるご都合王子


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ