テンプレ悪役令嬢、王子の婚約者の黄薔薇姫の元へ、嫉妬の悪魔が舞い降りる
※90%以上のクソ女成分で構成された御都合仕様な、登場人物が変化するパラレル時空です。
現実世界の特定の個人・団体・思想信条・既存の作品・作者様への批判の意図は全くありません。
1,テンプレ転生者な黄薔薇姫は、王子と出会う
黄薔薇姫の二つ名を持つ、ローズマリー・イエローお嬢様は、公爵家の御令嬢だ。
王子の婚約者で、異世界転生者。
なろうテンプレにも詳しい。
前世は人生に疲れた社畜OLで、初見の子猫を助けようと車道に飛び出し、トラックに引かれ(運転手さんカワイソウ)転生してしまった。
根っからのテンプレ重視な、黄薔薇姫には、TS転生の選択肢は最初からない。
そんなお嬢様が前世の記憶を取り戻したのは、セオリー通り、王子との婚約者としての、初顔合わせの場だ。
脳内の住人である、もう一人のワタシ『妖怪ペドBBA』が、王子のイケショタっぷりに、涎を垂らしていた。
肉体年齢を考えれば、自分もキッズなことは棚に上げて、前世年齢と今の年齢とを、なぜか合算して「わたくしには、お子様との婚約なんて、絶対に無理よっ!」と初対面の王子に、上から目線での、ツンデレ宣言をかました。
こんなことを急に言われても、リアクションにも困るよね。
これには王子も、苦笑いするしかない。
史実的には、政略的な理由から、年の離れた婚姻関係もあったけど、ここはナーロッパのとある国。
五歳児が親の同世代の相手に、好き好き言おうと「パパのお嫁さんになるー」的なものにしか映らない、そんな優しい世界なのさ。
同級生が、パパに密かに恨まれるだけの、初恋泥棒にしか思われないから、安心だね。
ガチで五歳児が、パパの友達と結婚する展開ならば、あと十五年は待って欲しい。
保育園・幼稚園の先生が本気にして、幼児とイチャついてたら犯罪だ。
職だって失ってしまうからね。
イケオジ×幼女あるいは、美魔女×男児という関係は、ファンタジーの中の萌え表現の一つだが、デリケートゾーンでもあるんだ。
ハーレムタグのあるハーレムや、元さやタグのある元さやのように、既にあらすじやタグに示されていて、それを期待する読者たちが、密かに楽しんでいる、ほのぼの空間にまで、無粋な輩がやってきてしまうことも、あるんだよ。
素人には、情勢やコンプラに詳しい、頼れる味方はいないんだ。
みんなやってる大丈夫と過信してるうちに、うっかり晒され、切り抜きでのライン超えからの、大炎上なんてことも、起こりうる。
あるあるテンプレだって、油断していると、時には怖いことに繋がることだって、あるかも知れない。
だから、今回は、王子様との恋愛展開に、ストーリーを寄せていこうね。
◇◇◇◇
2,黄薔薇姫は、王子のテンプレな婚約者になる
「実は先ほど、前世の知識が蘇りましたの。ここは乙女ゲームの世界。わたくしは悪役令嬢で、破滅の運命にさらされているのですわ」
「へー、そうなんだー」
「もしあなたが、他の人を好きになる日が来たら、どうか断罪はせずに、婚約を破棄してくださいませ。ヨヨヨッ」
「へー、そうなんだー」
『電波』とは言わないで、あげて欲しい。
実際、転生モノの少女マンガが流行った頃の、オカルト雑誌の文通欄に、自分も転生者だとを名乗る読者からのお手紙が、多数寄せられたことがあったらしい。
火星人襲来のSFをラジオドラマで放送した時にも、マジで火星人が攻めてくるのでは? というパニックが起きたと、言われている。
希求力のある物語というものは、時にこういった現象を招いてしまうものなんだ。
幸いなことに、このナーロッパのとある国でも「空から魔王が降ってくる」「大魔獣襲来」などの、有名な物語には事欠かない。
だから王子は、温かく見守ることにしたんだ。
神様やサンタの実存について語るのと、一緒だね。
観念的な話においては、真実も事実も、時として必要とされていない。
この時、黄薔薇姫は、まだ十歳。
現実といろいろ混同してしまっても、仕方ないがない、お年頃だよね。
哀しいことに、国家戦略的に、この婚約は決定事項。
現段階での「チェンジ」も出来ない。
だから王子には、ただ受け止めることしか出来なかった。
「分かりました。ですが、せっかく婚約者となったので、まずはお互いに、信頼関係を築いていきましょう」
「おかのしたわ」
ここで一目惚れからの、君を溺愛するから「覚悟してね」を決めるほどには、王子だって、覚悟完了していなかった。
誰だって、十歳で人生を諦めたくはないんだ。
夢も希望もあるんだよ。まだ。
そんな、前向きな解散で、顔合わせは終了した。
定期的にお手紙を交わしたり、お茶会をしたりしながら、一緒に頑張ろうねという、テンプレ地雷の撤去を謳う、努力目標の宣言に留めたんだ。
拘束力のない、骨抜き発言? 玉虫色の回答? また善処しますかよって言わないで。
王子様だからって、十歳の男児を、そんなふうに過剰な期待で、追い詰めないであげようよ。
どうせ徐々に溺愛と確信した黄薔薇姫は「ああー、つれーですわ。モテる女って、やっぱ、つれーですわ。案の定、婚約が断れなかったのですわぁ。まったくもぅ。テンプレにも困ってしまいますが、これも悪役令嬢としての定めですわね……」と言いながら、馬車に乗って、おうちへと帰って行った。
◇◇◇◇
3,黄薔薇姫は、テンプレ美容体操と化粧品を流行らせる
婚約を避けられなかった、黄薔薇令嬢は、さっそくヨガとラジオ体操と化粧品開発を、始めたんだ。
ヨガ人口・ラジオ体操人口ってそんなに多いの?
日本にいるインド人・ネパール人が、近所の公園でヨーガやってる所、全然見ないんだけど。
最近はピラティスも流行っているらしいけど、かつてのエアロビ層は、どこに行ったの?
日本式カレーみたいに、日本人的に定番になり過ぎて、もはや認識し辛くなってるの?
小学校で培った習慣を、全員がずっと続けているのなら、牛乳だってもっと飲まれているのでは?
アレルギーがなくても、飲んでない人が多いから、近頃の酪農家さんが大変なんだろうに。
手作り化粧品って、そんなにみんな作ってる?
柚子の種から作る化粧水なら、やってみたけど、自分で使った種を集めての自作だからアリだけど、他人からは、貰いたくないよ。
だって、お肌に付けるものですわよ!!
被れたりとか普通に怖くてよ。
合わなかったのか、品質が悪いのかも不明だし。
自作なら自己責任だから、諦めもつくけど、貰いものの手作り化粧品とは、下手したら、人間関係が壊れそうで。
肌トラブルからの人間関係トラブルって、非常に面倒臭くない?
どうせ殺菌処理や管理がいい加減だったんだろうって、善意の人を、疑ってしまいそうで、嫌だな。
石鹸作りや陶芸体験も経験あるけど、お客様で参加しただけだ。
必要なものは、既に大体揃っていた。
原材料の正式名称や適正分量なんて、思い出せないじゃなくて、覚えてすらいない。
素人が廃油で作った石鹸は、臭くてベトつく残念クオリティの仕上がりだった気がする。
茶碗の方は、視覚情報からの料理の美味しさを、妨げるほどに、大変味わい深い、個性的な作品が生まれたよ。
つまり、素人のニワカ作品は、作る喜びや、思い出こそが大切だってことだね。
こだわりストならば、コスパを気にせず、上質な材料で、試行錯誤を繰り返すのも、いいかもしれない。
特定の思想信条をお持ちの方や、悩み多き超敏感肌タイプではないのなら、結局のところ、市販品が安心安全なのでは。
こんなふうに、様々な商品が、広く流通されている世界では、プチプラでもぬくぬくと暮らしていけるのに、そんなにみんな、スローなライフにしてくれているの?
SDGSなの?
コスパ・タイパを重視しない、丁寧なゆとりある暮らしを送れているの?
まぁ、こだわりや趣味のある人生に憧れてしまうから、物語としては、知識チートからの自作やら、発明エピソードに、心惹かれてしまうんだけどね。
キャンプ飯動画みたいなもんで、高いグッズは変えなくても、ちょっとした贅沢や、うちでもできそう感や、楽しそうな雰囲気って、何とも魅力的だからね。
おもちゃ売り場に最近行ったら、リ〇ちゃん人形やシル〇ニアファミリーにも、キャンプグッズが豊富にあって、びっくりしたもんな。
このキャンピングカーなら、お手軽に、買えてしまうんだ!!
完全に不要不急の品なのに、一瞬、無性に欲しくなってしまったよ。
なんか立派だし、キッズだって、これで同じ夢を見てると思えば、胸熱過ぎて。
そんなふうに、唸らせるようなアイテムや、小技を繰り出してくる作品は、ストーリーが際立っていて、面白いから、知識チートは大人気さ。
テンプレを重視する黄薔薇姫だって、人気者には、憧れる。
だから、メイドに命じて、化粧品を開発して、美容体操ブームを巻き起こしたのさ。
◇◇◇◇
4,黄薔薇姫は、テンプレ押しかけご都合装置、嫉妬の悪魔に出会う
いつもの美容体操をしていた、ある昼下がり。
エクササイズのアイテムだって、気分によって使い分ける、映え意識の高い黄薔薇姫は、タオルで汗を拭っていた。
その日の、足元のヨガマットの柄は、たまたま魔法陣柄。
そこへ彼女の血と汗と涙が滴り落ちて……、悪魔がやって来てしまった。
超イケメンな白髪の悪魔の、瞳は真っ赤。
細マッチョで、背も高いのに、圧迫感の無い細面の美男子だ。
アルピノなのに、夏の日差しにも負けない、ウォータープルーフタイプの、SPFがめちゃ高い、日焼け止めみたいな、体力魔力が自慢なのに、美肌でもある悪魔様が、いきなり現れた。
「お嬢様はズルすぎます!! テンプレばかりの、このナーロッパ世界はあざと過ぎて、私はいつも嫉妬してしまいます! とりわけあなたの、そのあざとさには、私も嫉妬を禁じ得ません!!」
「あなた、どなたですの? どこから来ましたの?」
「私は、お嬢様に召喚された悪魔です。これからは悪魔執事として、あなたの側で嫉妬させて頂きますから、ご覚悟を!!」
不法侵入者の寄り添い発言には、動揺しなかった黄薔薇姫も「悪魔で執事って色々とヤベーですわ」とは困惑したのだが、キャラデザが被ってないから、へーきへーきと、深くは考えないことにした。
「分かりましたわ。あの、念のため、お名前は?」
「私のことは、レヴァイア=サン……。いいえ、これからは執事としてお仕えするので、レヴィもしくはエンヴィとお呼びください」
「塩ビ?」
「……レヴィでお願いします」
「レビね。わかりましたわ」
こうして「デーブィデー」と発音するどこかの社長よりも、あざとい黄薔薇姫の、悪魔執事はレビと呼ばれることになった。
なお、己に嫉妬心を抱えているストーカーに付きまとわれる危険性や、コイツを養う生活費については触れないものとする。
特に覚えなくても平気な、キャラ設定です。
ローズマリー・イエロー 黄薔薇姫 主人公
悪魔執事レビ 嫉妬の悪魔 ツッコミ担当
アレクサンダー・レッド 王子
スパダリにも浮気クソ野郎にもなるご都合王子