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「この布団ですか?」
と、アンディさんが畳んでいる布団を見て、
「私が昨日使ったので片付けてます。すみませんルディーさんがいらっしゃるとは思わなかったので……」
と、急に顔を赤らめて寝室に布団を待って行く。
「こちらこそすみません、急にお願いをして」
と、ルディーが作業場に戻って来たアンディさんに謝ると、
キャン! と、ランディが返事をする。
「いえ、スージィーさんには部屋でちゃんと寝るように言われているのですが、つい遅くまで作業しているとそのまま寝てしまって、ランディがいつも布団を持って来るんです」
と、アンディは説明をする。
この作業場の隅にも寝床があるが、ランディがいつも使っているのだろう毛布が、寝床の形に落ち着いて収まっている。
「普段からここで休んでいるのですか?」
「いえ、普段は自分の部屋で休んでいますよ。ランディはいつもこの場所で寝ていますけど」
と、アンディさんは作業机に出ている薬草や道具を、慣れた手つきで片付けていく。
「イーゴルやカミールはいつも来ているのですか? 二人が来ていることを僕は知らなかったので、覚悟してここに来たのですが……」
と、気になっていることをアンディさんに問う。
「イーゴルさんが1人で来られたのは驚きましたが、プーもランディも教えてくれなかったので知りませんでした」
「えっ? イーゴルが来たのを知らなかったのですか?」
「小屋の扉前に、食べ物が置いてあったんです。ルディーさんが来てくれたんだと思っていたのですが、ランディもプーも教えてくれなかったので、誰だか分からず食べ物は動物たちに荒されてしまいましたが、次にカミールさんが来られた時も知りませんでした」
「二人で来たのではなく、各々に?」
「はい、薪を沢山小屋横に置いて行かれたようです」
と、アンディさんは答える。
……カミールは脇に小枝を抱えていたのは、そのためか。
「度々、食べ物が置いて有るのと、薪が増えているのが不思議に思って扉に頂いた用紙に、御用の方は声を掛けて下さいと張っておいたのです」
「それで声を掛けたのがイーゴルだったのですか?」
「いえ、カミールさんでしたので、驚きました。食べ物は他の動物が荒らすので止めて欲しいとお願いしたら、驚かれたので説明をしたら自分では無く、他の人がしていると言われました」
と、アンディさんが答える。
「では、イーゴルは次の時に声を掛けて来たんですね」
「いえ、カミールさんが誰だと分からないと危ないからと、小屋の近くで見張っていたらしくて」
「えっ? 見張って?」
「はい、私は朝プーの便の処理にしか外に出ません。ランディかプーが知らせてくれないと来客が有っても気付かないのです」
「じゃあ、カミールとイーゴルが今小屋の前にいるのは?」
「この前、イーゴルさんが来た時にカミールさんが説明されたのです。食べ物は迷惑になるから止めるようにと……」
「2人は何をしに来ていたと、話しましたか?」
「何でも、私とお付き合いをしたいと言われました」
「はぁ! ! 2人にですか?」
「はい、私はここから出るつもりも無いですから、お付き合いが何か分かりませんが出来そうに無いとお伝えしたのですが……」
と、アンディさんはうつむき答えた顔は赤くなっていた。
「アンディさんが、2人を嫌でなければ、友達位から始めてもいいかも知れませんよ」
と、言ってから思い出した。
……ヤバイ、イーゴルの事はモネさんはどうしたのか知らないのに、親しくさせて良いのか?
いや……多分あれはダメだな……イーゴルは知ってるのか知らないのか!!
「やっぱり……簡単に親しくさせるわけには……でもな、悪いやつではないけれど……僕も良く知ってるかと言えないし……」
と、言いながら何でここ来たのかと思い出す。
「ごめんね。僕は2人の事を凄く知っている訳じゃないのに、アンディさんにどうしろとか言えないや。
恋愛経験が無い僕には相談相手にもならないね。病気や怪我なら得意分野だけどな」
と、ルディーは誤魔化した。
「れんあい? れんあいの相談はルディーさんは出来なくても、それ以外でしたら相談しても良いのですか?」
と、アンディさんが言ってくる。
「えっ? 勿論そのつもり……ですが? 現に今もスージィーさんの事で、ここに来ていますし」
と、ルディーは小屋に来て調べたいことが有るとお願いして入れてもらった。
「あっ! ……そうですね」
「あ、あ、アンディさんが他に相談が有るのなら僕が分かる事なら教えるし、分からなくてもその分野に明るい人に聞いてくるよ」
と、ルディーが安請け合いとも取れる言い方をした。
「あ、ありがとうございます!」
と、アンディさんが言えば、
ワン!ワン! って、ランディが吠える。
……えっ? キャン! じゃなくてワン! はプーに怒ったり否めたりしている時だよな? 僕に?
「あっ! そうだ、スージィーさんが今までに受け取ってきた手紙を拝見してもいいだろうか? 預かっている手紙の意味が良く分からなくて何処から調べていいのか悩んでいるんだ」
と、ルディーが言うと、ランディがキャン!
「ランディの許可が出ていますので、ルディーさんに預けます。
えっと、こちらの棚に纏めてあるんですが……」
と、壁の棚には鍵付きの引き出しが、2つの内1つを引き抜き机の上に持ち出した。
「鍵は掛けていないのかい?」
「もう1つの引き出しは鍵がかかっていて、何が入っているのか分かりません。鍵も探したことはありませんし、スージィーさんが持って出られたのなら、この部屋には無いでしょう」
と、アンディさんは説明してくれる。
「じゃぁ、この引き出しは鍵がかかっていななかったんだね」
「はい、こちらは始めから開いていましたし、手紙もスージィーさんはそのまま入れてましたよ」
と、引き出しの中を確かめながらルディーに答えてくれる。
……人の手紙を読ませてもらうことに、罪悪感はあるけれど、預かった手紙からはスージィーさんが何を依頼したのか、全く読み解けなかった。
「悪いね、スージィーさんが帰って来たら僕が責任を持って謝罪するから」
と、ルディーがアンディさんが持っている引き出しを受け取る。
……うーーん? 下は古いのか? 順番はどうなんだろうか?
「あの、この引き出し事預かってもいいかい? 詰め替えると順番が分からなくてなりそうで……」
と、アンディさんに問うと、足元でランディが、キャン! と返事をしてくれた。
……スージィーさんの事に関しては、ランディが一任? されているのか?
預かることになった引き出しは、上部が内蓋になっていて鍵穴を見ると、大して難しそうでは無い。構造を解けば鍵がかかっている方も見れるかも知れない。
……出来ればアンディさんの素性が預かる手紙に書いてあるといいのだが、何もなければスージィーさんの秘密にも探りを入れる事になる。
暫くスージィーさんの作業場を、見せてもらい開けれる場所は、アンディさんと一緒に見て回ったが、特別隠してある物も無くアンディさんだけが、こんなところに有ったと喜んでいた。
「アンディさん、僕の仕事は休みといった休みでは無いので、いついつに来ますとは言えません。それに預かる手紙の内容によっては時間がかかるかも知れませんが、僕にそのまま任せて良いのですか?」
と、ルディーはアンディさんに問うと、
「出来れば、分かること分からないことを共有してもらえると……あ、無理ですよね。そのままルディーさんにお任せします。いつ来て頂いても構いません」
と、アンディさんは答えた。




