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ひきこもり森の魔女は、世間知らずでごめんなさい  作者: 緖篠 みよ


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アンディさんとの話は、一編に出来る話では無いと判断をした。

医師としての判断と、スージィーさんを知っている立場上、段階を持って個人で寄り添うには問題だろうとこの場は終わりとした。


「スージィーさん宛の手紙は僕が預かりで良いんだね」

と、借りていたバスケットから取り出してアンディさんに問う。


「ルディー先生には、ご迷惑をお掛けしますが私が出来ることがあればします」

と、アンディさんは答える。


「僕がアンディさんに聞きたいことが有る時には、お邪魔してもいいのかな?」


「勿論です。プーがルディー先生に甘えていましたから喜びます」

と、アンディさんは綻んだ顔で返事をしてきた。


……大猫プーは、甘えてないよ。あれは縄張り意識で、所有物だと思われただけだから……


「この前のサンドイッチは三人で頂いたし、美味しかった。中に紙を綴った物が入っているから、アンディさんが使って」

と、バスケットをアンディさんに手渡す。


「ありがとうございます」


「1つ聞くけど、アンディさんは魔女なのかなぁ?」

と、ふっと思い立って聞いてみた。スージィーさんの後継者なのか? 教会で登録はされているのか?


「分かりません。スージィーさんからは何も言われていませんし、教会の女の人は登録出来ないとスージィーさんに仰っていました」


「えっ? スージィーさんはアンディさんを教会に登録しようとしていたということ?」


「多分ですが……」


「アンディさんは水魔法以外は、闇か光かを扱えるの?」


「スージィーさんの闇魔法も光魔法も使えません」


「えっ? それじゃ魔女登録は出来ないと思うけど?」


「そうなんですか? 火魔法が少し使えるので間違えたのでしょうか?」


「………………火?」


「はい、料理の時は便利です」


「…………そっか、調べてみるから他の人には言わない方がいいかなぁ」


「……そうですか? イーゴルさんとカミールさんの前では使ってしまいましたが……どうしましょ」

と、アンディさんは恐縮しだした。


「二人はアンディさんが火魔法を使っているのを見たの?」


「直にお見せしたのではなくて、料理をしている時にお手伝いに入って来られた時ですね」

と、アンディさんは説明をする。


……それなら、見ているか分からない。下手に口止めすれば、勘ぐられても困る……


ルディー医師は、手紙の精査が終われば知らせに来るとアンディさんと約束をして山を降りることにした。

鹿肉を分けてくれたが、騎士団に譲り無断に遅れたお詫びにとイーゴルに預けた。


山を降りると麓で別れればいいのだが、年長者として事情を説明しにカミールとイーゴルに付いて騎士団まで来た。


「エイトさん、無断で2人をお借りして申し訳無かったです」

と、ルディー医師は副団長のエイトさんに謝罪をする。


「ルディー先生、良いってこよ。カミールが連絡してこなかったのは、少し驚いたが先生に薬で眠らされていたなら、仕方ない」

と、エイトさんは事情を聞いて言ってくれる。


……成る程、風魔法を使える者を入れるのは、連絡を取るためでもあったのか……僕が強制的に眠らせたから、連絡出来なかったんだ。


スージィーさんの飼い猫が牡鹿を仕留めたとは言わずに、鹿肉の提供を申し出た。

調理場から出てきた料理人は、医院で入院していた爺さんだったが、綺麗な鹿肉に小躍りしながら奥に戻ってしまった。


……捌く時に寄生虫を気にしながら捌いたけれど、塊の中まで見ていない。

ちゃんと火を通してくれよ……爺さんの入院の原因は寄生虫だったんだから。


騎士団を後にしたルディー医師は、ポルカ医院に出向き事務局に顔を出す。

事務机で書類仕事をしているカカシナ事務長に声を掛ければ、酷く驚かれる。


「事務長? そんなに驚かなくても……幽霊にでも会ったような顔をされると僕でも落ち込みますよ」

と、ルディー医師はあまりにも驚いて中腰になっているカカシナ事務長に不服気に言ってみる。


「いえ、集中していたので急に声を掛けられて驚いただけです。お帰りなさいルディー先生、何かあったのですか?」

と、事務長は気を取り直して椅子に腰かける。


「騎士の1人が肩を脱臼してね、足も捻挫してたから無理に帰らなかったんだ。

無断で仕事を休んですみませんでした」

と、ルディー医師は経営者の1人に頭を下げる。


「そういう事なら、その騎士は運が良かったですね。

ルディー先生が側にいての怪我なら、後遺症も無くすごせるでしょう。

しかし、直ぐに家に帰って下さい。看護婦長は心配されているでしょう」

と、カカシナ事務長は諭す。


「そうします。医院の事は明日にでもお聞きしますね」

と、ルディー医師は夕刻のポルカ医院を出る。


自宅の玄関扉を開けると、ドアベルのカラン~カラン~と玄関口から廊下へと響き伝わる。

静まり返って物音もしない廊下を進み台所を覗くと、母親のサミーノが椅子に掛けて寝ていた。

夕食の用意だろうか材料が出されているが、何も取り掛かってはいなかった。


「母さん……」

と、ルディーは母親の肩を揺らしてみる。


ゆっくり目を開けて、正面で覗き込む息子を見て、大きく欠伸と伸びをして後、


「あら! お帰りスージィーさんとは、話が出来たのかい?」

と、肩と首を前後に揺らして聞いてくる。


一瞬違和感を感じたけれど、スージィーさんが一年近くこのポルカ地区に居ないことは、誰も知らない。

同行していた騎士の2人にもスージィーさんが行方不明とは伝えなかった。

アンディさん自身が分かっていないことを、伝えて来てもどちらにも取れる話し方で、本当の事が分からないでいる。


「それがね、長く留守にされているみたいで、医院の薬を用意されていたのはそれでだったみたい」

と、ルディー医師は、看護婦長に報告する。


夕食は出されていた材料を使うのではなく、常備菜をパンに挟んで食べる、ルディーの家ならではのやり方になった。


父が生きていた頃から、母は忙しく働いていて簡単に用意が出来るこの食事は、サミーノの心の余裕が無い時だと理解している。


……やっぱり、心配掛けたよな。父さんが行方不明に成ったと連絡が来た時には、家の常備菜は底を着いていた。


普段から時間の有る時に、色々な常備菜を作り置きしている母さんが、料理が出来なくても食事を取り働いていたところは想像出来る。

僕がポルカ地区に帰って来た時には、家に食べる物が無くなっていて驚いた。

買い物をする時間も惜しんで、父の捜索と医院の仕事をしていた姿を思いだし、心配掛けた事を少し後悔する。


……カミールに痛み止めを飲ます前に、騎士団と母さんに連絡をさせるべきだった。


次からは気を付けようと、黙々と夕食を食べているルディーを、食べながら様子を見ているサミーノに気が付かなかった。


湯浴みに着替えて、洗濯籠に着ていた服を見た時、山歩きが趣味だった父 ロジックの服だと気が付いた。


サミーノが出してくれていた服は、ルディーが普段着ている服より生地がしっかりしていて、色は黄土色で形は同じ物だ。

上着はルディーが用意したものだが、服とズボンは父のお下がりである。

スージィーさんの小屋に行く時に、ブーツは新調したが、鞄や小物は父の物だ。


……事務長と母さんは、僕の姿を見て父を思い出したのか?


頭を洗った髪をタオルで拭きながら、アンディさんの水魔法を思い出す。

アンディさんを、公にしても良いのだろうか?

飛び抜けた魔力量と、比較的に少ない水属性……に? 火?

あり得ない話しに、アンディさんなら直ぐに髪の水分を抜いてくれるのにと、髪を拭きなから思考する。

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