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暴露屋外伝~今に繋がる過去~  作者: 蔵品大樹
ラストジョーカー編
4/5

PastFile水戸部 狂人スペード

 水戸部が仲間となったのは、下尾が仲間となり、数日後の事であった。

 裏社会で、こんな噂が出ていた。

 『平子(ひらこ)組に属する元半グレがいる』

 それならただの噂だが、それには続きがあった。

 『その元半グレは狂人で、身体中にスペードのタトゥーを彫っている』

 その狂人という要素に俺は惹かれていた。

 ソイツに会いたい。そして、俺の部下にしたい。そんな気持ちが俺の体を駆け巡っていた。

 俺はその噂が本当かどうか、調べた。そして、それは本当の事とわかった。

 奴の名は水戸部凌二。異名は『スペードマスターの水戸部』。横浜の小さな組織、平子組に所属する元半グレ。自身の手で様々な敵対者を殺してきた。

 どうやら奴は数ヶ月に平子組の者にスカウトされ、水戸部が頭を張っていた半グレ集団『ミスト』ごと平子組の傘下となったそうだ。

 俺は奴を傘下にするため、俺は黒畑を連れて横浜の地に降り立った。

 「桐田さん、どうやら平子組は中華街の一部を仕切っているようです」

 「おいおい、黒畑。遠回しに中華が食いたいと言うな。今回は水戸部を部下にするべく来たんだ」

 俺達は平子組の事務所に向かった。勿論、許可を取って。

 「桐田さん。待ってましたよ」

 「どうも、平子組組長、平子雅士(ひらこまさし)さん」

 俺達は客室に入れられ、水戸部を待つ。

 「あの平子という男、何か優しい雰囲気がありましたね」

 「ふん、見た目や雰囲気に惑わされるな。なんてったって、半グレを傘下にしている奴だ。まともな奴ではない」

 そう話していると、客室に二人の男が入ってきた。

 「どうも、水戸部を連れてきました」

 「こんにちは」

 平子組長の後ろにいる男。身体中にスペードのタトゥーが彫られている。確かに水戸部その人だった。

 「桐田さん。何のご用でここにいらしたのでしょうか?」

 「それは、そちらの水戸部を私の部下にしようと思いまして」

 「部下…と言いますと」

 「そのままの意味です」

 「そうですか。それは無理な願いですな」

 「ほう。それは一体何故なのですか?」

 「水戸部は私の大事な部下でね、簡単に半グレごときの奴に渡すわけに行かないんですよ」

 「ほほう。半グレごとき」

 「貴方は確かに千葉で大成している。もう優秀な人材はいらないでしょう?」

 「確かに私の組織チーム絵札は千葉で暗躍している。で、す、が、これから私はある所を侵略するため、彼が欲しいのですよ」

 「それは…」

 「東京、ですよ」

 「東京だって!?」

 平子は人が変わったかのように強く喋りだした。

 「あそこには藤松(ふじまつ)会と武蔵野(むさしの)会という巨大組織が2つあるのですよ!そんな無謀な事は…」

 「そうですか。じゃあ、最初に横浜を侵略しようかな?」

 俺は懐からナイフを出し、黒畑はハンマーを構える。

 「くそっ!水戸部!早くアイツを出せ!」

 「了解です」

 水戸部が部屋を出る。

 「水戸部は殺さん。だが、平子組。ここは潰す」

 「しゃらぁぁ!」

 黒畑が平子に襲いかかり、無防備の平子の顔を潰した。

 「ぐじゃぁ!」

 「さて、水戸部はどこかな?」

 「何の騒ぎだ!」

 「あっちからだ!」

 すると、10名くらいの構成員が部屋に集まる。

 「なっ、親父ぃ!」

 「テメェら殺してやるぅ!」

 殺気立つ彼らに俺の中の脳内麻薬が溢れ出る。

 「さぁ来いよ。全員地獄に送ってやるよ」

 「死ねやゴラァッ!」

 一人がナイフを繰り出す。

 「見えるぞ軌道が」

 「ごぶぅ!」

 俺はソイツの喉を裂き、盾にする。

 「ちぃ!」

 「構わず撃てぇ!」

 残った奴らが発砲していく。しかし、戦力はこっちの方が上だ。

 「ミンチになれやぁ!」

 「ひびぃ!」

 「がばぁ!」

 「ごのぉ!」

 一気に三人。黒畑がハンマーで潰した。

 「ば、バケモンだ!」

 「怯むなぁ!」

 俺達を殺しかねないと攻撃を仕掛けるも、それは俺に利かない。

 「ふん」

 「かはぁ!」

 刃物だったら斬撃で返し。

 「潰れろぉ!」

 「のごっ!」

 「ごぬぅ!」

 発砲しても潰される。それはまさに地獄であった。

 そして、構成員を片付けた所で、二人の男が入ってきた。

 「よろしくお願いします」

 「おうよ」

 そこにいたのは、水戸部と屈強そうな男。

 「水戸部。仲間になる気はあるか?」

 「まぁ、無いですな」

 「さぁて。俺のキックで殺してやるよ」

 「誰だ?水戸部の隣の奴は?」

 「俺は根津芳徳(ねづよしのり)。キックボクシングを嗜んでいる奴さ」

 「へぇ、キックボクシングねぇ…」

 「驚く暇はねぇ!死にやがれぇ!」

 根津が顔に狙いを定めた蹴りを仕掛ける。

 「ほう。分かりやすい軌道だ」

 俺は体を背ける。

 「何っ!俺の蹴りを避けただと!」

 「次はこっちだ」

 俺は鉄板入りの靴で奴の顔を狙う。

 「させるかぁ!」

 根津は腕をクロスし、攻撃を防ぐ。だが、鉄板での攻撃は奴の腕を破壊した。

 「がぁぁぁ!」

 「隙を見せるな」

 次に根津の顔を掴み、膝蹴りを仕掛ける。

 「ひぶぅぅ!」

 根津は痛さで悶えるものの、俺は攻撃の手を緩めない。

 「ほらぁ!おらぁ!ひょう!」

 「げっ!ぎっ!ぐぅ!」

 鞭のような蹴りに奴の体と精神はボロボロだ。

 奴は床に膝を付け、命乞いをする。

 「わかったぁ!俺の負けだぁ!殺さないでくれぇ!」

 すると、水戸部は拳銃を構え、根津のコメカミに撃った。

 「ひぶぅ!」

 「やっぱり。ヤクザはダメだな」

 「何をしている?水戸部」

 「俺の信条は強い奴に付く。いつの時代も強い奴が正義なんです。それは裏社会も同様」

 「まさか、俺の部下になりたいと?」

 「えぇ。今ならうちの組織もあげましょう」

 「そうか。それならお買い得だ」

 これにより、『スペードマスター水戸部』は俺の部下となった。

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