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暴露屋外伝~今に繋がる過去~  作者: 蔵品大樹
ラストジョーカー編
3/5

PastFile黒畑 悪徳議員とハンマー使い

 黒畑が部下になったのは、大安を仲間にし、しばらくした時の事。俺は千葉の議員、新見卓(にいみすぐる)に、自分たちを護衛にしないかと相談していた。

 「新見議員。私たち、『桐田警備』に護衛を任せてみませんか?」

 ちなみに、桐田警備というのは、チーム絵札の表の顔だ。

 「うぅむ………」

 新見は数秒の沈黙の後、怪しげな笑みを浮かべた。

 「いやいや、私にはすでにいい護衛(・・)がいますから…」

 新見が手を叩くと、俺達だけの部屋にある巨漢が現れた。その男はスレッジハンマーを持っており、いかにもパワータイプな者であった。

 「この人は?」

 「半グレ集団『ペイン』のリーダー、黒畑純紀(くろはたじゅんき)です」

 「ほう。半グレ…」

 俺はあえて心配するように言った。

 「半グレと言いますと、いわゆる裏社会の人間。そんな者と議員である貴方が組んでいて大丈夫なのですか?」

 「えぇ。大丈夫ですよ。もしこれを知った者がいれば………消せばいいので」

 「ほう…(流石噂に聞く悪徳議員だ)」

 俺は席を立つ。

 「すいません。少しトイレに」

 「えぇ。了解です」

 俺は部屋を出て、トイレに向かうふりをする。

 部屋を出て右に曲がった所に山王がいた。

 「山王。出番だ」

 「えぇ。桐田さんの期待に応えますよ」

 そして、俺達は部屋に戻る。山王を連れて。

 「すいません。トイレってどこでしたっけ?」

 「えっと…トイレなら」

 「山王。やれ」

 「えぇ」

 山王が新見の頭を掴み、拳銃を突きつける。

 「がっ!」

 「なっ、テメェ新見さんを」

 「き、桐田さん!これはどういうことで!?」

 「黒畑、うちの仲間になる気はないか?」

 「テメェ、ヤクでも使ってんのか?意味不明だ」

 「そのままの意味だ。シラフで言っている」

 すると、黒畑がハンマーを振り上げる。

 「あっそう………かい!」

 そして、その鉄槌を振り落とす。

 「おっと!」

 それは木で出来た高級テーブルを壊した。

 「ほう…怖い怖い。山王、新見を連れて部屋を出ろ」

 「了解」

 山王と新見が部屋を出て、俺は黒畑と相見える。

 「さぁて、どう潰してやろうか」

 「来るなら来い。お前を雇って組織を強くする」

 黒畑がハンマーを持ち上げ、俺はナイフを取り出す。

 「………」

 「………」

 数秒の沈黙の後、スタートを切ったのは……

 「はぁっ!」

 黒畑であった。

 「くたばれぇぇ!」

 黒畑がハンマーの横薙きを行う。

 「見えるぞ、大振りが」

 俺はそれを受ける直前に後ろに避ける。

 「さて、戦いというのはその場にあったものでやるものだ」

 俺は近くの消火器を手に取り、噴射した。

 「ぐおっ!」

 黒畑が目を腕で守る。しかし、それにより下半身ががら空きだ。

 「さて、コイツが弁慶の泣き所に当たったらどうなるかな?」

 俺は消火器を奴の脛に投げる。

 「何ッ」

 気付いた時にはもう遅い。

 「がぁぁぁ!」

 「痛かろう。消火器は」

 消火器が奴の脛にクリーンヒットする。しかし、黒畑は笑みを浮かべる。

 「何が可笑しい」

 「けっ、俺はこんなので怯む男じゃねぇ…」

 黒畑がハンマーを振り上げる。

 「死にやがれぇぇぇ!」

 そして、ハンマーを力と怒りのままに振り落とした。

 「ぐおっ!」

 鉄槌が俺の鼻を掠める。確実に鼻の骨が逝った。

 「ぐっ…」

 「どうだぁ?一撃で仕留められなかったが、随分ヤバいだろう?」

 黒畑の言葉に、俺は嗤う。

 「ケケケ…」

 「ん?今、笑える要素なんてあったか?」

 「面白い、面白いぞ!黒畑純紀!そのまま俺を殺せるかぁ!?」

 「うおっ…(何だコイツ、鼻が逝った筈なのに、笑っていやがる。そういえば、チーム絵札の桐田という男はまさに狂人だと聞いた…そういうことか)」

 黒畑がハンマーを地面に落とす。

 「ん?どうした?」

 「わかった。俺の負けだ」

 「ほう?」

 「アンタのその狂気、俺よりヤベェ。降参だ」

 「そうかい。なんか冷めたな」

 これにより、『ハンマー使いの黒畑』は俺の部下となり、後のラストジョーカーNo.2となる。

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