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49話

 そこからの蹂躙劇は凄まじかった。え?俺らが蹂躙されたのか、って?んなわけねえだろ。たまたま向こうに点を取られただけで、元のポテンシャルは俺がいるだけでダンチなんだよなぁ。


 2年1組が16点、2年6組が2点だ。あれから1点だけは取られてしまったが、俺の作戦通りに従って上手く行き始め、士気が上がった俺たちはどんどん6組を引き離して行った。傑作だったのは、カス共が俺でも柳澤でもない生徒にボールを奪われたことだろうか。

 顔を真っ赤にして地団駄踏んでいて、さすがに笑ってしまった。グラウンドを転げ回って笑いたかったが、服が汚れるのが嫌だったからなんとか思いとどまれたぜ。


 汗をタオルで拭き取り水筒から水を飲もうとすると、紙コップを手に持ったポニーテールスタイルの白澤が歩いてきた。


「お疲れ様、天城くん!凄いね、もしかして中学の時はサッカー部とかだったの?」


「なんで元サッカー部があんなにサッカー嫌がるんだよ。中学は————あー⋯⋯まあいいや。ま、普通に遊びとか授業程度でしかサッカーした事なんかねえよ」


「?ふーん、そうなんだ⋯⋯。あ、はいこれスポーツドリンク!」


「お、助かるわ。さんきゅ」


 俺は白澤から紙コップを受け取ると、一度言ってみたかった台詞を口に出した。


「キンキンに冷えてやがる⋯⋯!」


 俺はそう言うと、キンキンに冷えている(誇張表現)スポーツドリンクを一気に喉奥へ流し込んだ。


「あぁ⋯⋯涙が出るっ⋯⋯!犯罪的だ⋯⋯!」


「なんで実写の方なの⋯⋯そこはアニメ版の方でしょうが!」


「え?コウジってアニメあるの?」


 そうだったのか⋯⋯。俺は、賭博フィクション映画コウジの有名な台詞を物真似したのだが、どうやらアニメ版もあるらしい。ごめん白澤、アニメの方俺知らないわ⋯⋯。


 白澤は、アニメではなく実写の方を真似したのが気に食わなかったのか、少し頬を膨らませ怒った態度を——取っていたと思ったが、急に吹き出してしまった。


「ぷっ!あははは!そ、それはそうと、なんでそんな藤坂蛇田の物真似上手いの!?ぷ、ぷははは!」


 お、おう。どうやら白澤は俺の藤坂蛇田がツボらしい。藤坂蛇田は、コウジの映画で主人公のコウジを演じる演技派俳優である。数々の人気キャラクターを演じているが、特にコウジは人気が高く物真似芸人集団がいるほどなのだ。


 俺が藤井蛇田の真似が上手いのは、その物真似芸人集団に一時期どハマりしており、コソ練を繰り返していたからだ。たまに大声で練習してしまい、ブチ切れた兄に半殺しにされるといった出来事もあった。冷静に考えて、うちの兄って理不尽すぎない?


 暫く笑っていた白澤が落ち着くと、俺は紙コップを近くのゴミ袋に捨てる。キンキンには冷えてなかったが、運動後のスポドリは染みるぜ。

 そうしていると、笑い終わった白澤が俺に話しかけてくる。


「そういえば、全然チームプレイ出来てたよ天城くん。むしろチームの中心って感じだった」


「いやホントな⋯⋯。なんで今までチームプレイ出来なかったんだか⋯⋯」


 本当、今までの苦労ってなんだったんだろうか。ウチのクラスに狭量な人間が少なかったおかげ、なのだろうか。そうなると、周囲の環境次第で全く変わった結果になるのだと今回学ぶことが出来たな。


 ふと、白澤にイタズラをしたくなった俺は口を開く。


「それで、どうだったよ白澤。俺の活躍、格好良かったか?」


「へっ?あー、うん。格好良かったんじゃない?」


 なん⋯⋯だと⋯⋯。俺の脳内白澤なら、「か、かかか⋯⋯格好⋯⋯良かったよ?」みたいな赤面必至の態度で俺を喜ばせてくれると思ったのに!!


「し、白澤は自分が可愛いって言われるのは照れるのに、俺に対して格好良いって言うのは照れないんだな⋯⋯」


「まぁ、天城くん自分でいつも自分のこと格好良いって言ってるし⋯⋯いつものかなって。それに、格好良かったのは事実だから」


「⋯⋯⋯⋯なんか超複雑な気持ち」


 なんだろう、この少しときめくような、ときめかないような「格好良い」は。褒め言葉だよね?ねぇ?

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