42話
「いたぞ。曽根山だ」
「なんでそんな犯人を見つけた時の刑事みたいなテンションなのかしら⋯⋯。刑事ドラマでも見た?」
「うるせーやい。それよりほら見てみろ。あの曽根山の幸せそうな⋯⋯幸せそうだな、うん。いや幸せなのは良いことだよな⋯⋯」
俺と黒崎は曽根山が見えるところまで近づき、かつバレないようにコソコソと隠れる。周りの人間に何言われようが知ったことじゃねえ。
曽根山は⋯⋯うん、カレーを美味そうに頬張ってんな。あいつ何杯食べてんだ?
高木も高木で友達と楽しそうにしているな。もうアイツらくっつかなくても良いんじゃないかな⋯⋯いや、嘘だけどね?
とりあえず⋯⋯俺は曽根山と高木の好感度を調べることにした。
『好感度看破!』
「ひい!こんな近くの耳元で、気色の悪い名前を囁くのは止めてくれるかしら!!?」
「いや仕方ねえだろ!口に出さないといけねえんだよ!」
コソコソ黒崎と喋りつつ、俺は好感度看破の結果を見る。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
高木舞 → 曽根山慎二
好感度:+12
曽根山慎二 → 高木舞
好感度:+81
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
まぁ、可もなく不可もなくってところか。とりあえず高木から曽根山への好感度は、ただのクラスメイトってくらいしか無いな。一応存在は認識されてる⋯⋯と、思う。多分。
「よし、一応高木は曽根山のことをそこまで悪く思ってないっぽい。1回か2回なら、お前の恋の神業で失敗しても修正は効くんじゃないか?」
「うううううわわわわわ!と、鳥肌が止まらないわ!なんで貴方そんなルビ振る発音が出来るのかしら!?ラブとスキルの前に中点付けて溜めるのやめて!?」
「ルビってなんだよ!公式で恋の神業って発音するから仕方ないだろ!」
だーーー!!もう!!なんで黒崎はいつもいつも、恋の神業やら好感度看破の話を持ち出すとワガママになるんだ!面倒くさいやつめ!お前も同じ恋愛斡旋人の端くれだったら、文句言うな馬鹿!かっこいいだろうが!
黒崎は顔を赤くしながら、両耳を塞いで足をじたばたさせている。俺こいつに囁きプレイか何かしたっけ?いや、囁きプレイってどんな事するか知らないんだけどね?
黒崎の腕を見てみると、確かに物凄い鳥肌が立っていた。しかしこうして見ると、ムダ毛も一切なく真っ白ですべすべの超美肌だな⋯⋯。って、いかんいかん。女子の腕を盗み見て何を考えているんだ、変態か俺は。
なんだか変な感じになったので、俺は頭を横に振って意識を切り替える。曽根山の事を考えよう。
「よし、じゃあ黒崎のラブ⋯⋯力を使ってみてくれ」
「⋯⋯力を使うから、私が合図するまで耳を塞いでおいてくれるかしら」
「へいへい⋯⋯」
ワガママ黒崎ちゃんの言う通り、渋々俺は両耳を指で塞ぐ。意地悪して聞いてやっても良いのだが、今余計なことで揶揄う必要も無いだろう。
耳を塞いだまま黒崎を見ると、口がぱくぱく動いた。何も聞こえんが、多分恋の神業を使った⋯⋯と思う。聞こえないし見えないので、パッと見何が起きてるのか分からない。
試しに曽根山の方に目を向けると、何も無い空中を眺めてオロオロしている。あー⋯⋯なんかあんな感じで選択肢が突然空中に表示されるのだろうか。怖すぎない?突然非日常すぎるだろ。改めて恋の神業ってめちゃくちゃだな。
曽根山を見ていると、黒崎が俺の裾を引っ張る。ああ、はいはい。もう耳塞がなくて良いのね。
「もう終わったか?」
「えぇ。今回はリアルタイム表示・二択・制限時間120秒で設定してあげたわよ」
「⋯⋯え?なんか設定とか出来んの?」
「そうね。リアルタイム表示は選択肢が出ている間、実際に時間が流れるわ。もう一つストップ表示という設定ができて、ストップ表示は一時的に選択肢を選ばせる対象者の時間を止めて選ばせるの。その代わりストップ表示の場合は、制限時間が10秒以内でしか設定出来ないわ」
「へ、へえ」
なんか俺の恋の神業と全然別物じゃない???いや、兄の完全美の肉体と俺の好感度看破も全然違う能力だけど⋯⋯。いや、なんかごめんな?ハズレ能力とか言って。兄の方がよっぽどどうかしてるわ。
どうやら、黒崎の愛の選択肢は『選択肢表示の時間経過』『選択肢の数』『制限時間』の3種類を設定出来るらしい。これらは3すくみの関係らしく、どれかの設定を上げると他の設定を下げなくてはいけないようだ。なんかあれだよね、急に異能バトルものの能力みたいでビックリするよね。
必ず選択肢は2の倍数になるらしく、50%で好感度が下がるようになっているのだとか。うん、やっぱりここがネックなんだよなぁ。
ま、俺の好感度看破は効果が高くないぶん、デメリットが無いのだとポジティブに捉えよう。
さて、そんな事を黒崎と話していたが、曽根山が選択肢を選んだようだ。何か意を決した顔で、高木に近づいていく。
が、頑張れ曽根山!勝ち取れ、50%!!




