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41話

「いただきます」


 無事にカレーライスを作り終えた俺たちは、自分たちで作ったカレーライスを頬張る。美味しいか美味しくないかで言えば、やや美味しくないカレーだ。料理に不慣れな者も関わっているため、野菜の大きさもバラバラで、肉は火が通り過ぎてるものも多い。


 しかしこれはあれだな、思い出補正で美味しく感じるというやつだろうか。生憎ながら俺に友達はいないので、思い出補正は働かないらしい。自分で言ってて泣きたくなってきたんですけど?


 俺は、ふと隣の長机でカレーを美味そうに食ってる曽根山に視線を向ける。その近くでは、相変わらず曽根山を認識していなさそうな高木が友達と一緒にきゃいきゃいカレーを食べていた。デブのうちは曽根山と高木を接触させる気は無いのだが、折角の林間学校で楽しい思い出が無いというのは悲しすぎるな⋯⋯。


 刹那、俺は黒崎の恋の神業(ラブ・スキル)である愛の選択肢(ラブラブ・チョイス)の存在を思い出した。運ゲーではあるが、一回か二回くらいなら例え選択をミスしたとしても大丈夫だし、今の状態で何かしら好感度を上げつつ思い出を作るのには最適な気がする。


 俺はカレーを急いでかき込むと、黒崎のいる所へ向かった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 俺がそこで見たのは、周りから一人分距離を空けられながら淡々とカレーを食べている黒崎の姿だった。⋯⋯⋯⋯あいつ、友達100人いるんじゃなかったっけ?


 黙々と食べていた黒崎だが、ふと俺と目が合う。途端に顔が赤くなった黒崎は、皿を割るのではないかという勢いで皿とスプーンを机に叩きつけて立ち上がった。


 うわ、怖っ!そういう事急にするから怖がられてんじゃないの!?


 口元にカレールウを付けたまま、真剣な表情で黒崎がスタスタ近付いてくる。その気迫に固まっていた俺は、俺の元まで来た黒崎に腕を捕まれて遠くへ連れて行かれた。


「ちょっと!!急になんで来るの!?あなた別のクラスよね!?」


「い、いやお前に用事があって⋯⋯」


「なに!?早く言いなさいよ!後さっきの事は忘れなさい!今すぐに!!」


「さっきのって何?お前が一人寂しくカレー食べてたこと?」


「わざわざ口にしないでくれるかしら!?」


 お、おうふ。こんなに激しく感情を昂らせた黒崎は初めて見たな。クールポンコツキャラだろ、お前は⋯⋯。


 でもなぁ、口の端にカレールウ付けてんだよなぁ。凄んでも怖くないというか、むしろ可愛いでしかない。なんでこいつこんな可愛いの?他ダメなのに。

 可愛い故にカレールウを指摘しないまま、俺は黒崎に先程の事情を説明する。なんだかんだ責任感はある黒崎は、事情を聞いて先程までのぷりぷり怒る態度を引っ込めた。


「別に私の力を使うことは構わないけれど、間違ったら好感度下がるのよ?大丈夫?」


「今のあいつが何しても基本的に好感度下がるからローリスクだ。むしろ好感度上がる可能性があるなら、試してみた方が良いだろ。一応曽根山にも今から確認しに行くけどさ」


「普通先に曽根山くんの許可を取るものじゃないかしら⋯⋯?まぁ良いけれど」


 黒崎は渋々といった態度を崩さないが、なんとか納得してくれたらしい。良かった。


 そうと決まれば善は急げ。俺は黒崎を連れて曽根山たちの近くまで歩く。


「わ、あれって転校生の子じゃない?可愛い〜」


「隣のってド変人の天城だよな?どういう組み合わせ?」


「なんか黒崎さんもちょっと頭のネジ飛んでるらしいよ。ふふ、お似合いカップルかも!」


 お前ら、ヒソヒソしてりゃ聞こえないと思ってんだろうが、この天城様の地獄耳にかかれば全部聞こえてんだよ!


 この恋愛脳サル共が。男女が歩いてたらカップルだぁ?童貞と処女しかおらんのか。もしくはヤリチンとビッチしかおらんのか。


 チラリと黒崎を見てみると、めちゃくちゃ平然とした顔で歩いている。ああそうね、黒崎さんは地獄耳じゃなさそうよね。あと口にまだルウ付けてるね。


 ま、人の恋愛ごとに興味津々な人間ばっかりくらいの方がカップル作りやすくて、恋愛斡旋人としては願ったり叶ったりなんだけどさ。俺はあんまり変な目で見られるのは嫌いなんだよな。あと、俺ってド変人って二つ名付いてんの?彗星の貴公子とかじゃなくて?なんで?

長らく更新をお休みしてすみません。

なかなか続きを捻り出せず⋯⋯。とりあえず林間学校編の方向性は決まったので、ゆっくり更新させていただければと思います。

これからもよろしくお願いします。

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