32話
今回の話で休日編終わりです!長かった⋯⋯!
そうだった。だいたい、俺が漫研に入ったのは水瀬先輩が転校して居なくなり、漫研を維持する部員の数が足らないからだった。わ、忘れてたー!!
「そうでしたね、水瀬先輩転校するんすもんね⋯⋯なんか急に実感湧いて悲しくなってきました⋯⋯」
「あははは!私の転校を悲しむようなキャラじゃないじゃん!でもほんと、寂しくなるなぁ⋯⋯」
そういう水瀬先輩は、目を伏せながらお冷のグラスについた水滴を指で掬う。普段あまり弱い部分を見せない水瀬先輩だが、転校は流石に堪えるのだろう。確か、親の都合で転校しなきゃならんとか。受験や就職の控えている高校3年生で転校とは、中々大変な話だ。
「絢香先輩⋯⋯行っちゃ嫌ですよぉ⋯⋯!」
「姫華⋯⋯。私も転校したくないからさ、親に言ったんだ。一人暮らしするから卒業させてください、って。でも駄目だったよ〜⋯⋯。まだ高校生の子供に、一人暮らしなんてさせられないんだって。大学生になったら、来年になったらほとんどの子が一人暮らしするのにね〜!ほんっと頭が固いんだから!」
水瀬先輩は、手にしていたお冷のグラスを掴むと、中に入っていた水をごくごくと一気飲みする。かつん、とテーブルにグラスを置き大きなため息を吐いた。
親の都合とのことだから、親の転勤か親が離婚した結果の引っ越しとかが理由だろう。わざわざ聞いて、またシリアス展開に持っていくのはゴメンだ。水瀬先輩が出してる話聞いて欲しいムードは木崎に任せて、俺は惨劇の超人コラボメニューを眺める。
フード、ドリンクを頼むとコラボグッズが貰える仕様になっているらしい。
フードは『サーニャの蒸かし芋』、『サーニャがくすねた肉』、『調査旅団晩餐セット』、『ニシンの缶詰』⋯⋯ニシンの缶詰って料理か?いや原作愛は感じるけど。あと、サーニャ関連が2個あるのは笑う。惨劇の超人で飯といえばサーニャだし分かるけど。
ドリンクは『ジョージの脊椎液入りワイン風ぶどうジュース』、『自由の翼ホワイトソーダ』、『憲兵団のビール(ノンアルコール)』、『兵長の紅茶』⋯⋯など。こっちは割と普通だな。いや、脊椎液入りワイン風ぶどうジュースってやっぱりちょっと変だよなぁ。
メニューを眺めながら二人の話を聞き流している間に、向こうも惨劇の超人へ話題を戻そうとしてくれたらしい。くよくよしてても仕方ないからね。
「さ!いつか来る時の話は来た時に考えよ!今はコラボメニューだよコラボメニュー!天城くんはどのキャラクターが一番好きなの?」
「えっ⋯⋯好きか、ですか?うーん⋯⋯やっぱりランナーっすかね」
「な、なんで好きなのかは聞かないでおくよ⋯⋯姫華は?って、知ってるんだけど」
「知ってるなら聞かないでくださいよぉ⋯⋯。私は、一期の頃から兵長一択です!」
俺の好きなキャラ『ランナー・オレンジ』は、主人公エレック・ヤーガーと同期の兵士だ。木崎の好きな兵長とは、『リヴァール』という主人公たちが所属する兵士のトップである。どっちも格好いいキャラクターで、俺も好きだ。
「ねえねえ天城くん、私の好きなキャラって誰だと思う?」
「え、ええ⋯⋯?何一つヒントが無いんで、分かりようが無いんすけど⋯⋯。魔殺の弦だと誰が好きなんですか?」
「善満くん!」
「あー、ならコビーっすか?」
「なんで!?ただの中の人繋がりじゃん!」
中の人、とは声優のことだと白澤から教わったな。魔殺の弦に出てくる善満というキャラと、惨劇の超人に出てくるコビーの声は似ていると前から思っていた。まさか、声優が同じだとは思わなかったぜ。声が似てるからと適当に選んだが、どうやら違うらしい。
「じゃあマルリン」
「おー、正解!やっぱ分かっちゃうか〜!」
「髪の色でしか判断してない、とは言えないよなぁ」
「出てる出てる!心の声、口から出てるよ!」
おっといけない、またモノローグが口に出てしまったようだ。気をつけないとな。
ちなみにマルリンは、善満と同じ金髪の可愛い感じのキャラクターだ。主人公のエレックとは幼なじみで、頭がキレる優秀なキャラでもある。
「ふふふ、あはは!も、もうやめてくださいよぉ⋯⋯!二人で漫才するの⋯⋯!」
どうやら木崎は俺たちのやり取りがツボのようだ。よく笑うの女の子って可愛いよね、一緒にいて幸せになるから。
それからも俺たちは他愛の無い話を続け、惨劇の超人コラボカフェを満喫したのであった。




