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その人も

作者: タマネギ

ある面接をした。

自分と同じ学校で、

家が近所の人だった。

縁を大事にしたかった。


どんなことを

されてましたか。

どんなことなら、

貢献できそうてすか。


過去から未来へと、

話してもらおうと。

話をしてもらえば、

質問も生まれてくると。


そうして、人柄を

感じようとしてみた。

とにかく大事なのは、

一緒に働きたいかどうか。


その人は、終始、

専門用語を並べていた。

わかろうとしてみたが、

よくわからなかった。


意味がわからないんじゃ、

なかった。

何を感じてきたのかが、

わからなかった。


話を変えて、

一番苦労したことは

なんですかと尋ねた。

得て不得手は何かと。


少し、黙り込んでから、

海外との文化の違いに、

戸惑いましてと言われた。

……うーん、そうか。


海外なら、誰だって

戸惑うし、苦労もすると。

そう思いながら聞いたので、

次の質問を考えられなかった。


そうですねと、相づちを打ち、

部屋に沈黙が流れた。

具体的な苦労話を

聞いあげればよかった。


やはり、無理だと感じた。

話がわかりにくいことと、

決め手になったのは、

やりとりの間のこと。


ほとんど、目を見ようと

しないことだった。

苦労と、そこそこの経験も

あったのだろうが。


心が破壊されたまま、

就活される人が多い。

その人も、ふだんは

違うのかもしれないが。


どうにかならないものかと、

モヤモヤを飲み込みながら、

エレベーターの前で、

静かに見送った。


面接をする側もされる側も、

あれこれ、心が覚束ない。

頭を下げて何を思うのか。

頭を上げて何を見ているのか。


優秀という言葉は、

どんな人に使われるべきか、

年々、わからなくなっている。

わかりやすさが欲しい。

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