8.不安
投稿設定日間違えてました。ごめんなさいぃぃ…
1時間遅れての投稿です。
1日が長いよ……なぜ進まないっ………!!
「ただいま戻りました。お父様、今日はお時間をいただきありがとうございました。」
メリオラは改まってお礼を告げた。
父が心配そうな顔をして問う。
「もう大丈夫なのかい?今なら行かないと言う選択肢もある。お前は徴兵されてないのだから、学園生活を送る事だってできるんだぞ」
「それでも。一人の騎士として、国民を守るべき貴族として、そしてローゼル公爵家の一員として。私は戦争に参加したく思います。」
「…そうか。その言葉を聞けて安心したよ。」
一瞬優しい顔をしてすぐ真面目な顔になった父を見て、メリオラも真面目な顔になる。
「準備はしておいた。お前が使いやすいような武器や防具も揃えてある。荷物は全て部屋に送っておいたから、念のため確認する事。確認したら直ぐに寝なさい。明日の早朝に出る。」
「はい。ありがとうございます。」
お礼を言って部屋を退出しようと扉に手をかけた時、呼び止められる。
「メリオラ」
メリオラが振り向く。父の顔は、優しい家族の顔だった。
「おやすみ。」
「はい。お父様、おやすみなさい。」
返事をした時のメリオラの中にはもう、緊張で強張ったものはなかった。
****
翌日
「殿下、メリオラ様、ジード様がたった今城を発ったそうです。」
「そうか。そのまま見張りを継続するように。2人が危機に陥った場合は救出しろ。何が何でもだ。」
「仰せのままに。」
そう言って、黒い影…護衛役のシドが消えた。
程なくして扉を叩く音がした。
(これから学園へ向かう準備をしなくてはならないのだが…)
来客なら待たせるわけにはいかない。
仕方なく返事をして用件を問うと、扉の向こうから従者が答える。
「ステラ・ミラルク様が面会を希望されています。お通ししてもよろしいでしょうか」
「(ステラ嬢が…?)…良い、通せ。」
許可すると、すぐにステラ嬢が入ってくる。
「失礼します。先日は挨拶出来ず、申し訳ございませんでした。伯爵家の娘、ステラ・ミラルクと申します。」
「ああ。それで、用件はなんだ」
「メリオラ様よりお願いを受けて参りました。」
「リオの…?」
「はい。メリオラ様の代わりに殿下のお傍にいてほしい。殿下は交流が少なく、お一人になってしまわれるだろうから。と、」
「リオがそんな事を…?ステラ嬢はメリオラと親しかったのか?」
ステラ嬢には不審に思う点がある。
先日、私でも知り得なかった敵国を知っていた。それだけじゃない。今日、リオの命を受けて来た事もそうだ。リオがわざわざ人を付ける事は無い。あったとしても護衛として、リオが腕を認めた者を送るだろう。リオ自らが紹介して。でないと護衛への信頼度が落ちるし、騎士として有るまじき行動だ。
そして、ステラ嬢が戦闘に優れているとは思えない。他国の間者と言われても頷ける程に、ステラ嬢は怪しすぎるのだ。間者であれば、普通は考えもしない文通を無理にでも流行らせた行動も、その準備だと言われれば納得してしまうだろう。
「何度かお話しした事がございますよ。私は元々、直で人と交流する事が苦手で、特に初めての方となるとお声をかける事にすら抵抗してしまって。そのせいかクラスにも馴染めず、メリオラ様だけが私と話してくださったのです。」
確かに一昨日、リオはステラ嬢を呼び出していた。昨日もステラ嬢を待って話しをした。
だがそれだけでステラ嬢に頼むのだろうか
なんの懸念も無しにリオが頼むとも思えない。
(ステラ嬢は何を考えているんだ?)
「きっとメリオラ様は私の事も考えてくださった気がするのです。とてもお優しい方ですから。」
「(直接見極める方が早いか。)…そうか。準備をするから先に行っててくれ。わざわざこちらへ来させて悪いな。」
「いえ、当然の事ですから。私は外でお待ちしております。失礼しました。」
言ったことが聞けないのかわざとなのか…。
直ぐに支度をしてステラ嬢と合流すると、校舎へと向かった。
****
時を同じくして騎士団、魔術師団の移動中。
メリオラを心配した父が声を掛ける。
「メリオラ、無理はするなよ。カリオンは魔法を中心に戦う。警戒しつつ効率的に無力化するんだ。無理に殺すこともない。基本こちらは防衛メインだから攻めすぎるな。」
「はい。お父様。…ですが、殺さずとも多少なら身体部位の損傷は大丈夫でしょうか」
「防衛、又は無力化するという意味でか、それなら構わないだろうが。何か考えがあるのかい?」
「確実かは実行してみないとわかりませんが、おそらく一番効率的かと思いまして。」
「好きなようにするがいい。だが、何度も言うが無理はするな。」
「ありがとうございます」
少し残酷だが、これが上手くいけば確実に圧倒出来るようになる。
メリオラは再び思考に耽るのだった。
そして父は不安が増した。
戦争とは人が死ぬという事。又、自分が殺すという事。
(どうか心を壊さないでくれ)
父はそう祈る事しか出来なかった。
次の話はちょっとグロい表現入れるかもです…。
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