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5.剣への冒涜許すまじ!

うゎあぅぉぁ!間に合ったヨォォォ!


先程上げたやつの続きです。

その後、2時間必須科目を受けて、現在、メリオラ達は剣術の授業を受けていた。


「凄い。筋がいいですね。これは私が教えて差し上げる事はほとんどないと思います。」


そう褒めてくれるのはアスカ先生。元ロイヤルナイトの先生は私の癖を的確に指摘してくれてとてもわかりやすい。女性の騎士はお母様しか会ったことがなかったのでとても新鮮だ。

選択授業は合同でやっているため、他のクラスか生徒達もいる。

みんな思い思いに剣を振るっていて、先生はその一人一人の所へ行ってはアドバイスをしている。

そんな姿を眺めていると、後ろから剣の授業に似つかわしくない声が聞こえた。


「きゃ!これすっごく重ぉ〜い。」


「わぁ!王子すぅっごぉい!こんな重い物持てるなんて力強いんですねぇ!」


うわぁ、剣への冒涜だ…。


「王子ぃ。アドバイスくれませんかぁ?」


「言葉だけじゃわかんないですぅ!手取り足取り教えてください。」


よくもまあこんなにも下品な言葉が次から次へと出るものだ。

流石に目に余るので注意することにした。


「マリアさん。先程から見ていてマリアさんはやる気が全く無いように思われます。他の方への迷惑になりますし、静かになさるか、別の授業を受けることをオススメします。」

「なぁにメリオラ?私は真面目に王子と愛を育んでいるの。それに、様をつけるように言ったはずです。あなたみたいな邪魔者、さっさと追放されればいいのよ。」


また追放か…マリアもステラ様と同じ転校生というものなのだろうか。


「……それは、不敬罪にあたる発言です。言葉を選びなさい。」

「不敬罪はあんたよ!未来の王妃に命令したり口答えしたりして。私は真面目に剣を教えてもらってるの。ただやり方がよくわからないだけよ。」


先程「愛を育んでいる」と、寝言を言っていたではないか…。


「では私がお教えしましょう。女性と男性では剣の振り方も違いますから。」

「弱いやつに教えてもらっても上達するわけないじゃない。男女のくせに調子にのって、」


弱い?誰が?…私が?今私のことを弱いとおっしゃったのか…?

少なくともこの中で先生の次に強い自信がある。その私が弱い?

騎士団の人と一騎打ちでならお父様以外には勝てますよ?


「そうですか。では、私とカインが勝負して勝った方がマリアさんに教える。というのはどうでしょうか?」


私の提案を聞いて顔を引きつらせたのはカインの方だった。

マリアは笑顔で「いいですわ」と言った。


メリオラとカインは向き合う。

使う剣は刃を潰しているため万が一の事にはならないし、重さも変わらない。


「リオ。私は彼女に教えるのは嫌です。ですが、あなたの婚約者として、あなたを守る者として、負けるわけにはいきません。」

「いいえ。守るのは私です。騎士として、負けるわけにはいきません。」


互いに言葉を交わした後、ジードが始めの合図をした。


「本気で行くよ。」

「当然。カインにはマリアさんの指一本触れさせたくありません!」

「え、」


カインが照れる。メリオラはその隙を逃す事なく剣を振った。

勝負は一瞬。もちろん勝ったのはメリオラだ。


元々メリオラとカインでは、実力も経験も上なのだ。なのに隙を見せるとは、負ける気だったのかとカインを疑ってしまう。

だが、カインを見るとすごく落ち込んでいた。なぜそこまで落ち込むのだろうか。

まぁいい。メリオラがマリアの方へ目を向けると、マリアは固まっていた。

カインが負けると思っていなかったのだろうか。

メリオラはマリアの方へ歩いていき、彼女と鼻が当たるのではないかと思うような距離へ自分の顔を近づけると、少し低めの声で言った。


「マリアさん。これからは“全て”私が教えて差し上げます。ですから、真面目に取り組んでくださいね。」


彼女の腰へと手を回し足の間に膝を入れる。


「必要なら、手取り足取り教えて差し上げますから。」

「は..い...。メリオラ様、私のことはマリアとお呼びください。今までの無礼をお許しください。」


マリアの声は震えていて、少しやり過ぎてしまったかと焦る。


「リオ。その体勢をやめろ。今すぐだ。」


やはりやり過ぎてしまったようだ。カインからも怒られてしまう。


「リオ…様……。わ、私も!そうお呼びしてもよろしいでしょうか?」


俯いていたマリアは顔を上げて私を見る。マリアの顔は真っ赤だ。


「ダメだ。リオをリオと呼んでいいのは私だけだ。」

「そんなっ、メリオラ様!私はダメなのですか!?」


う〜ん。そう言われてましても…。私は剣に集中したいだけなのに、うるさくしてしまっている。

怒った顔をしているカインと真っ赤な顔をしたマリアが私を睨む。なにこの状況。解せぬ…。


「じゃあ、私の事はリオラとお呼びください。」

「リオ!!」

「リオラ様!!」


2人の表情が正反対になる。


「リオ。後で私の部屋に来いよ。もちろん一人で。」


口調!口調が!それに黒いオーラが出てる!怖い!


「返事は?」

「…………はい。」


その会話を最後に授業が終わった。


カインめっちゃ怒ってたなぁ、怖いなぁ…。


昼休みに入ったため、私はカインの部屋へと向かった。

メリオラ「ハッ、結局剣殆ど振れなかったっ…」


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