20-②.
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ほとんどの女子がマリアをよく思っていないようだ。
それに、男子も怪しい者がいる。
「マリア、念の為令嬢には気をつけろ。一部の令息にも、だ。」
席へ移動するタイミングで、マリアにしか聞こえないように声をかける。マリアは目線だけこちらに向けると、1回瞬きをして目線を戻した。
他者に気づかれないように意識したのか。マリアの成長に内心関心する。
指定された席へ着くと、隣に座る男子生徒から声をかけられる。
「隣国の御令嬢ですよね。最近戦争をした国の。」
とても礼儀がなっているとは思えない話し方。それともわざとなのか。
解釈によっては[捕虜になってどんな気持ち?]とも取れるのがとても腹立たしい。
私が無言でいると、慌てて相手が釈明する。
「ご、ごめん。今のは別に深い意味はないんだ。ただ、君自身に話しかけたくて、その、内容が思い浮かばなくて…ですね。気に障ったのであれば申し訳ない。」
「いえ、お気になさらず。事実ですし、気をかけてくださってありがとうございます。」
少し棘は付けたが、当たり障りのない言葉を返して微笑む。
この令嬢の微笑みが一番難しかった。騎士の時にやっていた笑い方の方が楽だったのだが、ウェルニアの学園と違い、カリオン王国の学園は社交がメインだったりするのだからとても面倒である。
「っ…。私はカリオン王国第二皇子のベルダ·ルク·カリオンだ。分からないことがあれば私に聞くといい。」
「私はメリオラ·ロゼールと申します。皇子殿下とは知らず、御無礼をお許しください。」
(え、うっそ。この人皇子だったの?!私めっちゃ素っ気なかったんですけど?!登校初日に隣国の皇子に喧嘩売っちゃった系??私初日からやらかした!?!?)
私の内心はこんなところである。
あははっ、やらかした。
その焦りを悟ったのか、皇子殿下の返事は優しかった。
「いえ。顔を合わせたのは初めてだし、私の言葉も良くなかった。それにここは社交の場とされているが、一応表向きは平等なので、そう堅くならないでください。」
「あ、ありがとう存じます。」
「そうだ。もし良ければ、昼を御一緒しても構わないだろうか?」
昼はマリアはラニス様に呼ばれていたし、私は何か予定がある訳ではない。ただ少しだけ警戒してしまう現状だ。
まあ皇族の誘いを断るわけにはいかないんだけどね。
「ぜひ、お願い致しますわ。」
「わ」なんて言葉使ったのいつ以来だろ。
午前の授業が終わり、各自昼食を取りに行ったり御友人と会話を楽しんだりしている。
授業の内容は王宮でレイダに叩き込まれたので、全部分かった。
いいような良くないような不思議な気分である。
「メリオラ嬢、行こうか。」
皇子殿下が手を差し出す。
エスコートを受けるのもいつぶりだろう
私は、丁寧に差し出された手に自分の手を重ねた。
「はい」
外へ出ると空の光が当たり、茶色に近い金髪である皇子殿下の髪が綺麗な金髪に見える。髪はさらさらで、エンジェルリングが皇子殿下の髪に浮かぶ。
並んで分かったことだが、皇子殿下は私と背がほぼ変わらない。少し私が低いくらいで、幼さの残る黄色い瞳の印象に違和感をあまり与えない。
最初に案内されたのは学園の中庭。
丁寧に花壇が手入れされていて、見ていて落ち着く。
「気に入って頂けましたか?」
「はい、とても素敵な所ですね。特にこの花が気に入りました。何故か懐かしい感じがして、落ち着くんです。」
私が指したのは、複数の花で一輪になっているもの。色は赤や白、黄色などがある。
「それはリコリスって言うんだ。花言葉は『独立』『情熱』『再開』とかがあるね。別名『彼岸花』。俺はこの黄色いのが一番気に入ってる。」
そう話す皇子殿下は嬉しそうだ。
その雰囲気に、落ち着いて、思わず笑みが零れる。
「皇子殿下は花とか詳しいんですか?」
「いや、知っているのはこの花だけ。俺にとって思い出の花なんだ。」
懐かしそうに。でも、少し悲しそうに答えた。
「それから、メリオラ嬢。俺の事は皇子殿下ではなくてルクって呼んでくれない?身分を気にされるとやりにくいし壁を感じる」
「あっ、すみません。ルク殿下」
ルクは、少し不満そうな顔をした後、「まあ今はそれでいいか。」と呟いた。
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