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18.

だんだんタイピングに慣れてきました。


ありきたりな展開を入れたくて止まらない

カインがメリオラを連れ戻す相談をするために父のいる王宮へ戻ったのは数日後の事だった。

本当はすぐにでも動きたかったのだが王族の立場上許されなかった。どんな状況でも立場を優先させなければならない自分を歯がゆく思う。

応接室で父を待つ。どうやら緊急の会議で少し遅れるらしかった。

しばらくして父が来たので早速カインは話を切り出す。挨拶をする余裕はカインにはなかった。


「陛下。リ..婚約者のことでご相談があって来ました。」

「ああ。分かっている。連れ戻したいのだろう?」


父の言葉に少し安どの息を吐く。

本来、貴族令嬢一人を連れ戻すために行動を起こすのは、あまりいい判断だと言えない。その令嬢がたとえ公爵令嬢であっても戦争になりかねない行動は控えるべき。ましてや終わったばかりの戦争を再開するのはもってのほかだ。それがこの世界の常識だった。

わかっていながら怒らないということは、怒る案件ではないと判断したのだろう。


「はい。ですから、、」

「だが、認められない。」

「!!」


自分の声にかぶせられた言葉にカインはうなだれる。だが、すぐに顔を引き締め理由を問う。


「なぜですか父上。終戦のためならリオはどうだっていいって言うのですか」

「終戦したのはメリオラ嬢が捕らえられたからだ。引き分けという条件をのむことで彼女の安全が保障されている。再び戦争を仕掛ければ彼女が危ないかもしれないのだぞ」


カインは一瞬黙るが、それでもと説得を続けた。


「戦争をせずに連れ戻すのもいけないのですか?」


カインの言葉に父は、その話が本題だと言わんばかりの顔をした。


「実はカリオンから書状が届いていてね、緊急会議もそれについてだ。そしてその中に、本人の希望によりカリオンに留学として残すことになったとも書いてあったんだ。つまり話し合いも意味をなさないという事だ。これはメリオラ嬢自身がお前に渡してほしいと預かったそうだ。」


そう言って差し出される手紙を受け取る。

その紙にはたった一言


『お言葉に甘えさせていただきます。』


と書いてあった。その字はカインの見慣れたメリオラの字で間違いない。

これはメリオラの思いやりであった。婚約を解消できないと困るであろうカインを思って[あなたに従います]と伝えたのだ。本人がいなくとも話を進めることができるようにと。

だが、それはすれ違っているだけであって破棄をするつもりなど無かったカインにはその意味は伝わらなかった。

言葉を失っているカインを見て、父は話を変える。


「それと、これから話すことは最も重要な案件だ」

「はい…。」


俯いたカインは力なく返事をする。


「カリオンには予言者がいる。というのは知っているな」

「はい」

「予言者によって伝えられた内容がこの国に関係する事だからと伝えられたのだ。最も近い新月の夜、つまり今夜、聖なる導きによって一人の少女が転生者"カイン·ウォールズ"のもとへと舞い降りるだろう。とな。」


カインは肩を震わせて顔を上げた。

父の鋭い視線と交差する。


「少女とは、聖女なのだろうな。なぁ、カイン。お前は私が何を言いたいのかわかるな?」


父の威圧感に圧倒される。それは今まで一度も見たことの無い顔だった。

カインは覚悟を決めて話す事にした。カインでは無い自分の人生を


「はい。すべてお話します___」



「___これが私の持っている記憶です。黙っていた事は謝ります。ですが他意はありません。」


カインは全ての人生を包み隠さず打ち明けた。

救いだったのは父が何も言わずに聞いてくれていたことだ。今まで隠してきた事を打ち明け、どこかほっとする。


「そうか。」


父から出た言葉は否定でも肯定でもなかった。それがカインを更に安心させた。

無条件に信じると言われても疑ってしまうのが性だ。だからこそ、ただ受け入れてくれた事がカインには嬉しかった。


「メリオラ嬢はその少女で間違いないのか?だから婚約したがった」

「はい。」


先程までの表情とは打って変わって笑顔で答える。


「そうか。」


父は優しく包むような声だった。

父は続ける。


「"転生者"のお前のもとへと舞い降りるということは何の関係があるのかもしれんな。今のうちに準備をさせる。今夜呼び出すから部屋で待つように。」

「わかりました。」

「私からの話はこれだけだ。他に用がないなら戻れ」

「はい。」


カインは立ち上がり背を向ける。


「そうだ、カイン。私の色は何色だ?」


その問いに、カインは笑顔で振り返ると答えた。


「朱色ですよ。まるで太陽のように光る、とても温かみのある色です。」

「そうか。」

「失礼します。」


返事を聞いた父の顔が綻ぶのを見て、カインは退出した。


そして予言通り、その夜聖女は舞い降りた。

少女は真っ黒な髪に黒に寄りの深緑の瞳を持つ____この世界に存在しない獣人の少女だった。

少女が何者なのか、なぜカインのもとへと現れたのかはまだ先の話である。

実はこの話、別で書き始めてる小説(投稿は未定)の内容と繋がりを持たせてあるんです(*^^*)まあまだ先になるんですがね?


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