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16-②.

タイピング苦手だ…

いつもより3倍も時間がかかったorz...

「私は魔力が高くて王都の学園に編入したのはご存知ですよね?」


マリアの言葉に私は頷く。


「私の魔力は特殊なんです。私には予言する力がある。そこの青い髪の方…セラ様(?)と同じですね」

「それは、おとめげーむの設定として?」


マリアが転生者だから持っているのか、それともげーむのきゃらが元々持っていたものなのかが気になった。

マリアは私の疑問を肯定する。


「はい。と言っても乙女ゲームではセラ様はいませんでした。ラニス先生と婚約してヒロインがこの国の予言者となりましたから。でないと貴族様と平民が婚約できません、」


マリアは俯いた。


「ゲームでは予言者様、セラ様はいませんでしたからヒロインは歓迎されましたしね。今はセラ様がいるため歓迎されるかどうかはわかりません。

でも、私が予言者となることも出来るはずです。」


そう言うと、マリアは顔を上げてセラを見た。


「ですよね?セルア・ドルイラ様」


セルア・ドルイア?セラの本名だろうか

セラは苦笑いして答えた。


「そうだね。君にも予言の力があるようだからなれるよ。いや、なって欲しいが正解かな。」


セラの言葉を聞き、マリアは確信を得て笑う。


(なんだろう。私だけ会話についていけない)


「私にも分かるように説明いただけますか?もうお互い確信を得ているようですし確認もいらないでしょう?」

「っ!!すいません!能力を使って話をしてしまっていました。つまりですね_____」


話をまとめよう。

予言者とは、本人又は同じ能力がある者しか予言者であることはわからない。そのため予言の力があることを証明するには実際に予言して見せるしか方法はないのだという。しかし、実際に予言してみせて、それが当たり予言者と認められたとしても、疑いの目はある。だからこそ、セラはラニスにすべてを話しマリアを引き入れるように言った。二人の予言者が集えば信憑性は上がるし少しは疑いも無くなる。そして実際に予言して二人の予言の内容が一致した場合それが確たる証拠となる。それでも信用できないと思う者もいるはずだ。口裏を合わせたのでは、と。だが表立っては言えなくなる。セラはそれが狙いだ。

話しをつけたとはつまり、セラに命を受けたラニス先生と私にいる場所にいたいと言うマリア、お互いの利害が一致したということ。

私が残ればマリアはセラやラニス先生の権限で残れるし、私が戻ればマリアも戻ることができる。

セラやラニス先生としては引き止めたいだろうが、無理に引き止めればマリアによって二人の意図せぬ方向に進められてしまう。例えば、マリアが「セラは予言者でない」と言ってしまえばセラを疑う者はマリアを支持し動くだろう。たとえ嘘でもその者たちには関係ないのだから。


セラはため息をつく。


「だからラニスにはマリア嬢を落としてこいと言ったのに。これでは私達に選択肢がない。」

「仕方ないでしょう。マリア嬢はメリオラ様ルート一直線でしたし、ほぼ不可能だったんですよ。交渉してここに連れてきただけでも良しとして大目に見てください。」


ラニス先生は疲れているような素振りをして立ち上がった。


「少し休ませてください。」


そう言うと先生は部屋を出ていってしまった。


「それで、リオラはどうするか決めましたか?」

「それは…」


聞かれるとどうしても困ってしまう。

セラは一緒にいて落ち着くし悪くないと思う。でも、それでもカインの事が気になって仕方ないのだ。

マリアの話で、私ルートである事は理解した。カインとステラ嬢が一緒にいたのもそれが理由だろう。マリア曰くげーむのきょうせいりょくらしい。

でも、未来が変わっていると言われれば少し期待してしまうのだ。カインとステラの間には何も無いのではと。だが婚約は破棄されたようなもの。何も無い可能性は低い。

ならやはりこちらに残ろうか?だがそれでも悩んでしまう。


「マリアは、もし私が残ると言ったら先生と婚約するのだと言ったよね」

「はい、そうなりますね。預言者としてこの国に残る以上は、信頼できる人をそばに置かなければ利用されてしまう可能性がありますし。」

「マリアはそれでいいの?好きでもない人と婚約ってあまりいいものでは無いんじゃない?マリアは平民なんだし、平民だからこそできることがあるんだよ?」


そう。私が悩むのはマリアの事だ。私に付き合わせてマリアの幸せまで奪いたくはない。


「リオラは優しいですね。」

「え?」

「私の事は気にしないでください。私はリオラと一緒にいたいのだと何度も言っているでしょ?そのための婚約なら願ったり叶ったりです。

それに、ラニス様はメリオラ様の次に好きだったキャラですから。」


マリアは笑顔で答えた。

私は純粋にその気持ちが嬉しかった。


「ありがとう。マリア、ありがとう。」


涙が出てしまう。


「聞きたいのだけれど、二人は予言者なのでしょう?それならわかるのではなくて?」

「聞くと思った。予言と言っても確定の未来ではないんだ。じゃなきゃ予言したって対策の意味をなさないしここまで必要とされることはないよ。だからマリア嬢は()()してるんだ。」

「そっか...そう..だよね。]


私の中でもう答えは出ている。だけど確定にすることへのためらいがある。

だから難しい。


「まだ確定とは言えない。」


少しの可能性に期待してしまう


「戻りたくなってしまうかもしれない。だけど、今はここにいたいと思ってる。それじゃ、駄目?」


不安な気持ちが押し寄せ、目を瞑る。

だが、そんな私の不安とは正反対の声で


「言ったでしょ!私はリオラと一緒がいいんです。」


マリアは笑う。


「駄目じゃない。メリオラは好きなだけここにいればいい。それに、少しでも私を見ようとしてくれたんだろ?今はそれが一番嬉しい。」


そう言うと、セラは私の頬に触れて微笑んだ。

反射的にドキッとしてしまう。


「私の気持ちはどうでもいいのですか?」

「!」


声がした方を見るとラニス先生が立っていた。

そうだ。忘れていた。マリアがラニス先生と婚約するという事はラニス先生も私の我儘に付き合わされる事になるのだ。


「あ、えぇと、」


私が困っているとセラが


「何言ってるんだ?この話に一番乗り気だったのはラニスじゃないか。」


驚いて先生の方を見ると先生は困ったような顔をしていた。


「はじめは命令だから仕方なくとかってあったけど、マリアを見た後の報告書に、人形のように綺麗なのに明るい性格で可愛らしい。とか、命令がなくとも手に入れたい。とか書いてただろ?自分の理想のタイプだから落としてみせるって息巻いてたのに」


意外すぎる先生の一面に疑わしく思ったが、先生は恥ずかしそうにしている。


(あ、これがマリアの言っていたつんでれと言うやつなのか。)


と納豆する。

そしてマリアはと言うと動揺していて顔も真っ赤だ。利害の一致であってそういう感情が全く無いと思っていたのだろう。


「そういう問題では無い。手に入れたと言ってもマリアの気持ちがなければ意味が無いだろう。」


先生は顔を背ける。


「それなら大丈夫だろう」


そう言うセラの視線を追う。

そこには真っ赤なマリアがいる。それを見た先生は黙って部屋を出ていった。

マリアも先生の後を追って部屋を出る。

これで不安は無くなった。


安心してかメリオラはセラの事を見つめていることに自分で気づいていなかった。

ラニス先生の登場が少なくてツンデレなのかが危うい…


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