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14.

今回は説明回みたいなものですが、私が物語を作る中での中心的なものなので読んでくださると嬉しいです!

メリオラの放った魔法で突き飛ばされる。


(間に合わない)


そうジードは悟った。

敵の打った魔法がメリオラに直撃する。

死ぬほどの威力の魔法では無いがメリオラの意識を刈り取った。


「メリオラ!」


魔法が上手くたって使い道の判断が出来なければ意味が無い。メリオラのようにジードがメリオラに魔法を当てていれば間に合ったのだ。

だが気づいた時にはもう遅かった。

ジードは自分を責めた。


その時、メリオラに近寄る影が二つあった。

先にたどり着いた影がメリオラを抱え敵側に走っていく。もう一つの影が追いかけようとするがメリオラを抱えた影が消えて残ったのは一つの影__シドだった。

ジードはシドを知っている。カインに付いている護衛だ。

ジードは走って近づく。


「おい!何があったんだ!?」

「……………れた」

「は?」


声が小さすぎて聞こえない。


お嬢(メリオラ)様が連れていかれた」

「!!!」


***


「っ!!」


頬に何かが触れる感覚に反射的に起き上がる。

ここはどこだろうか。


(私は…戦争に参加していて、それで…)


メリオラは必死に自分の記憶を辿るが魔法を当たった事まで思い出しても、自分のいる場所がどこなのかわからない。

知らないベッドに知らない部屋。


「気がついた?」


知らない声が話しかける。

私に触れた人だろう。なぜ気がついたのかすら忘れてしまっていた


(これでは人に警戒を怠るな。なんて言えないな)


なんてことを考えてしまう。

初めて見る場所なのに不思議と安心するのだ。


(それにしても、この人は誰だろうか、)


「私は預言者のセラ。ここカリオン王国の最高権力者だよ。」


私の疑問を汲み取ってなのか、セラが言う。

透き通るようなパステルブルーの髪に見通すようなアイスブルーの瞳。誰が見ても美しいと言うだろう顔立ちのセラを男だと判断できたのは彼の発した響くような低い声を聞いたからだろう。

私はその美しさに思わず見とれてしまった。

だがすぐに我に返った。いや、返されたと言うべきだろうか。

突然セラがメリオラを抱きしめたのだ。


「久しぶり。会いたかったよ、()()。あ、今はメリオラだったかな?」


メリオラは混乱して言葉が出なかった。


(何?どう言う事?)


「混乱するよね、当たり前だ。君は多分私を覚えていないから。

でも私は君を知っている。この世界で会うのは初めてだけど、私はこの世界に来る前のメリオラ____()()()()()と会ってるんだ。」


前世の私?訳がわからない。

メリオラは声の出し方を思いだしたかのように疑問を口にした。


「前世の私って何?どう言う事?何がどうなっているの?」

「そうだね。全て話そうか。君の前世の事も、今の状況も。」


そう言うと、セラは私から離れてソファに座るよう促す。

私が座るとセラは私の隣に座った。



「まず、この世界と他の世界についての説明をしようか____


そう言って彼は話始めた。



世界はこの世界以外に数百と存在する。それは別次元であり同じ次元である。同じ場所に違う次元が重なっているだけで、でも、違う次元の世界は見えないようになっている。

世界で死んだ者は別の世界で転生して、他の世界で生きた記憶を持つ者を転生者と呼ぶ。だが記憶を持つ者は稀で希少だ。そして転生した世界で死んだ者はまだ別の世界へと転生する。数百と存在する世界の全てを重なることなく回り終えるとまた初めの世界に戻ってくる。


___別の世界での記憶を持つ者がいても、同じ世界の記憶を持って転生して来るものがいないのはそれが理由。数百もの世界を記憶したまま転生する事なんてほぼ不可能だからね。記憶を持ったまま転生しようなんて思ってもできる訳では無いし、転生者がまた転生者になれるとも限らないからね。

私は別の世界で生きた記憶を二つ持っているんだ。

その二つの世界で君と会っている。前世の君とだけどね。

って言っても信じて貰えるとは思えないけどね。

普通なら頭がおかしいって思って当然だ。

でも、私はずっと君に会いたかった。

だから君をあの国から連れてくる手はずを整えていたんだ。まあ、戦争になったのは驚いたけどね。」


荒唐無稽な話だ。信じる人はほとんどいないだろう。

でも、


「私は信じるよ。」


セラは驚く。信じてもらえるとは思わなかったのだろう。


「まず、あなたは嘘をついていなかった。それに恐らくだけど、私は二人の転生者と既に会っているの。あなたが三人目かな、だから転生者なんて荒唐無稽だって否定するとその二人を否定する事になる。だから信じるよ。

でも、戦争になったのが驚いたって言うのはよく分からない。私はカリオン王国が戦争を仕掛けたと聞いているから。」


セラは真剣に聞いてくれた。


「ありがとう。信じてくれて。

戦争は仕掛けたのはこちらではないよ。まあ、君の国だとも言えないけどね。戦争をしようとする話は何回か上がっていたが私が全て止めていたから。

…乙女ゲームの話は知っているかな?なんだそれはって思うかもしれないんだけど……」

「おとめげーむは私の会った転生者の一人から聞いた。私の会った二人とも知っているようだったけど…」

「そうか。それなら話は早いね。私も乙女ゲームを知っていてね。と言っても聞いた程度だけど、その乙女ゲームのシナリオでは君は追放される。だから私は追放された君を連れて来れるように準備をさせていた。恐らくその準備を戦争の準備と勘違いされてしまったんだと思うよ。それで戦争の準備を始めたのを見てこちらも準備をせざるを得なかった。」

「…つまり勘違いで戦争になったって事?」

「うん。そういうこと。それで、戦争に君が参加していると聞いて急遽連れ出すように命令した。予定よりも早く会えてよかった。」


セラは微笑み再び私を抱きしめると、耳元で言った。


「私の姫になってくれないかな?私は君を傷つけたりしない。メリオラが好きなんだよ、こんなに近くにいるのに離したくない。」


プロポーズなのだろうか、私は突然の事に言葉に困った。

当たり前だ。この数日で色々な事が起こりすぎてパニックになっているのだから。


「返事は今すぐじゃなくてもいいよ。私は君を見ていて知っていても君は私を知らないからね。でも、少しずつでいいから私の事を見て欲しい。」


優しい声に思わず頷いてしまう。

なぜか分からないが初めて会う気がしなくて、それにとても落ち着くのだ。


「あの、ええと…」


私はセラの事をなんと呼べば良いのか悩む。

セラはまた私の意図を汲み取って答えてくれる。


「セラって呼んで。」

「セラ。私はまだ国を追放されてない。だから、その、」

「婚約者がいる?」


私は頷く。


「でも、婚約を破棄されたんじゃないの?」

「っ!」


セラの指摘で思い出す。


(そうだ。望む人と婚約すればいいって言われたんだ…)


少し胸が痛くなる。


「ごめんね、姫。思い出したくなかった事だったね。でも、気にする事はもうないと思う。」


セラが私の頬を撫でる。

その時、部屋をノックする音が聞こえる。


「どうした?」


セラが返事をする。


「預言者様、侵入者です。」

私別に物語を書き始めているんですがちょっと繋がりをもたせてる話でした。


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