13.
また投稿日時設定ミスってましたァァァ(´;ω;`)
短いのを2話に分けて投稿する予定でしたが合わせました。
本当にすみません…
朝早くにマリアを連れて学園へ向かう。
メリオラにとって一ヶ月ぶりの学園だ。
公爵家から馬車を出してマリアだけ戻らせても良かったのだが、久々の挨拶をした方がいいと思い行くことにした。
謝罪がマリアだけだと不安なのも大きい。
学園長へ取り次いで頂くよう伝えると、客室へ通される。
中は2つのソファが向かい合うように並べられており、その間に低めのテーブルがあるシンプルな作りだ。
マリアが座ろうとしたが学園長が座るまで待つよう伝える。
しばらくして学園長が入ってきた。
マリアに目で合図を送ると、彼女は教えた通りに一歩前へ出て謝罪する。
「この度は私の身勝手な行動により、皆様へ御迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんでした。」
「学園長、私からも謝罪致します。申し訳ございませんでした。」
学園は、大丈夫だという事を言うと続ける。
「学園側の管理不足も原因だ。こちらこそ迷惑をかけてすまなかった。」
「いえ。私も学園に顔を出したいと思っていたので丁度良いきっかけでしたよ。」
「そうか」
学園長は笑う。とても優しい笑顔だ。
(貴族なのに平等でとても優しい。だから学園長を任されたのでしょうね)
「さて。そろそろ生徒が登校してくる頃でしょうか。
メリオラ様、よろしければマリア嬢を教室まで送って頂けませんか?」
「他の仲間にも会ってこい。」という意味だろう。
学園長の優しさに感謝する。
「是非。」
私はマリアを連れて退出した。
(カインは元気にしているでしょうか。久々にお会いするし喜んでくれるかしら?)
なんて事を考えていると自然と笑みが漏れてしまう。
マリアがこちらを見て笑ってくる。
恥ずかしい。
「私、リオラ様と仲良くできる気がする。」
小さい声でマリアが呟いたのでよく聞こえなかった。
「何かおっしゃいました?」
「いえ、リオラ様とお友達になりたいなぁ。と、思いまして...すみません。」
「何を謝っているのですか?マリアはもう私の友人だと思っていますよ。」
私は笑って答える。
マリアは正直すぎて突っ走る事があるが根は凄くいい子だ。常識をすっ飛ばした行動をするが憎めない。
私は裏表の無いマリアに好意を持てた。
「ありがとうございます!リオラ様」
「様付けもやめましょう?友人なのですから」
「え、でも、私は平民で…」
「学園内での身分差は関係ないでしょう?」
「っはい!リオラ!」
そして私達は笑い合いながら教室へと入る。
教室には既にカインがいた。
彼は下を向いていてまつ毛が長いのがよく分かる。横顔がとても綺麗だ。胸の奥がぎゅうっと熱くなるのがわかる。
(なんか緊張します…)
私は深呼吸すると話しかける。
「カイン。お久しぶりです。」
カインはこちらを向いて驚いた後、何故か悲しそうな顔をした。
(喜ぶ顔が見たかったのに…)
少し寂しく思う。
「リオ?どうしてここに?」
「マリアがこちらに来てしまったので連れてきたのです。」
「やはりマリア嬢はそちらに向かっていたのですね。」
マリアは前に出ると頭を下げる。
「すみませんでした。」
マリアは素直に謝った。
カインにマリアを責めるつもりは無さそうだ。
少しほっとする。
ふとカインの後ろを見るとステラがいた。
(何故カインとステラ嬢が一緒に…?)
少し疑問に思う。
「…リオ。少し話をしたいのだけど、いいかな?」
「??はい。大丈夫ですよ。」
普通に話せばいいのに改まってどうしたのだろうか。
少し戸惑いつつもカインについて行く。
来たのは学園の中庭。
中庭に来るのは初めてだ。
見たことの無い花が綺麗に咲き誇っている。
「それで、話って?」
カインが言いにくそうにしているので私から聞いてみる。
「リオは...僕の事が嫌いだったりするか?」
予想外の質問に驚く。
「いいえ。嫌いじゃないですよ。」
「それじゃあ…その、好き?」
私は戸惑ってしまう。
ジードにすら気持ちを明かすのが恥ずかしかったのだ。本人に言うのは無理だ。主に心臓が持たない。
「それは…」
私は口篭る。
「答えられない?」
カインの質問に頷いてしまう。
「そうか…。リオは僕の気持ちに困ったりしてる?」
「困るって言うか…戸惑ってはいます。」
(主に想われる事に喜びを覚えている自分の気持ちに)
心の中で付け足す。
「ごめんね」
思いもよらない言葉に動揺してしまう。
(どうして?なんで謝るの??)
「リオを困らせていた。迷惑だったよね。」
(私は迷惑だなんて思った事無い)
言葉に出そうとしても動揺していて声が出ない。
「リオ。リオが望むなら自由にしてもいいんだよ。
命令とか関係なく、したい事をすればいい。僕と無理にいる必要なんてないんだ。」
(何を言っているの?命令って何?)
カインは右手で私の右頬にそっと触れる。
「君は、君の望む人と婚約してもいいんだ」
(…え?婚約?どういうこと…?カインの言っていることが分からない。)
カインは私の頬から手を離して後ろを向くと言った。
「そろそろ時間だから僕は戻るよ。マリア嬢を連れてきてくれてありがとう。」
何が起きているのか、さっぱり分からなかった。
私は1度考えるのをやめてお父様の元へと戻ることにした。(現実逃避ではありませんよ?)
馬を飛ばすこと3日。
その間何度考えても私にはカインが何を言っていたのか分からなかった。
「お父様。ただいま戻りました。」
「ああ。おかえり。……どうした?メリオラ、なんかあったのか?」
顔に出ていたのだろうか、私は笑って答える。
「なんでもありません。ただ皆様と久々にお会いしたので余韻に浸っていただけです。」
「そうか。…無理しなくてもいいからな。戻りたければいつでも戻ればいい。」
お父様の優しさが胸を締め付ける。
「大丈夫です。私は騎士ですから。するべきことをします。
それにもうすぐ終わりでしょうから。あちらは被害が大きい。これ以上やっても無駄だと気づいてるはずだ」
「そうだな。あと少しで終わるだろう。いくら人が多くても無限では無い。人数でどうにかなるものでもないのだ。」
私達は頷き合うとそれぞれの持ち場へ移動した。
(本当に数が減ったな…)
戦いながらそんな事を考える事ができるほどに敵兵は減っていた。それに質も落ちた。
隣国は何をしたいのだろう。普通ここまで劣勢で続ける意味があるだろうか。
余裕があるというのは怖いもので、そんな事を考えていたらふとカインの言葉を思い出した。
『君は、君の望む人と婚約してもいいんだ』
(あれはどういう意味だろうか。なぜカインとステラ嬢が一緒にいたのだろう。)
胸がモヤモヤする。
ぼんやりとしながらも戦っているとジードが話しかけてきた。
「一週間ぶりだなメリオラ。何考えてるんだ?」
「ああ、久しぶり。いや、大した事ないよ。こんな無意味な事を続けてあちらは何をしたいのかと思ってさ。」
「あちらってカリオン王国の事か?あそこの考えはよく分からねぇな。どうせ神託とかなんかの理由だろ」
カリオン王国は宗教が中心の国だ。王の言葉よりも神託の方が優先度が高いのだと言う。
「神託で終わるように言われるまで引かねぇんじゃねぇか?」
「かもな。本当に迷惑な話だよ。」
「…変わったな。」
「何が?」
「いや、少し前なら『人の命を〜』とか言ってるんだろうと思ってな。」
「まあね。マリアの屁理屈に甘えることにしたんだよ。そういうジードはどうして平気なんだ?私は初め人を斬った罪悪感で潰れそうだったのに。」
「俺はそういう面倒な事考えるタチじゃないんだ。それにマリア嬢の話も聞いてたしそれで割り切れた所もあるかもな」
ジードもあの場にいたのか。
「マリアはすごいな。不思議と突き動かされる感じがする。」
「ああ。それはすごいわかる。」
気づくと周りに敵兵が増えていた。
他愛のない話をしている間に囲まれていたようだ。
「ま、油断すんなよ。」
そう言ってジードは敵兵に突っ込んでいく。
私も構えて対応する。
数分もかからないうちに周りの兵はいなくなった。
その時ふと一つの可能性が頭をよぎった。
(もしかしてカインは私の事が好きでは無くなったのではないだろうか。
望む人と婚約してもいいとはつまり婚約を破棄したいということで、だからあんな顔をしていたのだろうか)
だとするとステラ嬢と一緒にいた理由も何となくわかる気がする。
(カインはステラ嬢に惹かれているのだろうか)
メリオラは自身の視界が黒く染まった気がした。
途端、白いものが見えた気がした。
「メリオラ!避けろ!!」
ジードの声で視界の黒いものが無くなる気がした。
そしてメリオラの視界に入ったのは敵の打った魔法。
メリオラがそれを魔法だと気がついた時には避けられない距離まで近づいていた。
こちらに走ってくるジードが見える。
恐らく庇おうとしているのだろう。だがこのままだと私もジードも助からない。ガードできる魔法も間に合わない。
そう判断した私は一番簡単な風魔法をジードに放って突き飛ばす。
それとほぼ同時に敵の魔法がメリオラへ直撃する。
「メリオラ!」
ジードの叫び声が辺りに響いた。
メリオラ何回倒れてるんだ…
よろしければブックマーク、評価、感想などよろしくお願いします!励みになります!




