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11.戦場のメリオラ

ちょっと出血シーンが入ってます。

苦手な方は後書きにあらすじを書きますのでそちらをお読みください<(_ _)>


戦場の中心で、返り血を浴びて赤黒く染まった鎧を纏った銀髪の騎士が立っていた。

いっそ雨でも降って血を洗い流してくれればいいのに、それを許さんと言わんばかりに空は快晴だった。


周りには多くの騎士が倒れている。

もうどれだけの人を斬ったのかわからない。

千をとうに越して万に達するくらいだろうか、

彼女の瞳は光を受け付けず虚ろだった。


戦争が始まって一ヶ月程が経過した。

隣国のカリオンは大国だ。

国民が多く、それに比例してか騎士も多い。

どれだけ倒してもきりがない。

それでも劣勢に持ち込まれていないのは、ひとえに彼女の活躍だと言えるだろう。


最初は父の言いつけを守り、殺さなかった。

騎士も、魔術師も、無力化する方法は腕を落とす事。

そう考えたメリオラは腕だけを狙って攻撃していた。

メリオラの思惑通り、騎士は剣を持てず、魔術師は魔法が使えなくなった。魔法とは、魔力を手のひらに集め発動するもの。手を失った魔術師は何も出来なくなっていた。

だが、それが上手くいくのも初めだけ。

メリオラを警戒した隣国の騎士達は、より多い人数で彼女を囲んだ。腕だけを狙う事が出来ない状況になったのだ。手を抜くことは命取りになる。

勝つため、生きるために殺すことを選んだのだ。

メリオラの心は壊れる寸前まで来ていた。


~~~


ステラは慌てて走っていた。

カインを見つけるとすぐ


「カイン様大変です。マリアさんがいなくなってしまいました。」


と、叫ぶ。


「学園のどこにもいないのです。寮も同様に。」

「いつからだ。」


カインの問にステラは答える。


「彼女は1週間程前から風邪で休んでおりました。おそらくその時からいなかったと思われます。

メリオラ様がいなくなってからずっと、彼女の行動は変でしたから。」


それを聞き、カインは急いで自室へと戻ると、シドを呼んだ。

シドはカインの命を聞くと、頷いて消える。


「1週間でどこまで進んでいるか…」


カインはぽつりと呟いた。


~~~


その頃、マリアは目的地にたどり着こうとしていた。

道中、荷馬車に何度か乗せてもらい、乗り継いで近くまで来たのだ。

戦場に着いたマリアはメリオラを探す。


マリアは転生者だ。そして乙女ゲームの事も、もちろん知っている。


(ゲームでマリアがメリオラを見つけた場所は…)


初めて人を殺した罪悪感と、何千人も殺した事による馴れで、メリオラの心は壊れてしまう。

立ち竦むメリオラの元へ駆け付けたのがマリアだ。

マリアはメリオラの両腕を掴んで、必死に声を掛ける。マリアの言葉で、メリオラに心が戻るのだ。一人の人間としての心では無く、国を守る騎士としての心が。

そのシーンには一枚絵があった。


マリアは絵との景色を照らし合わせ、とうとうメリオラを見つけた。

メリオラは赤に染まっていた。ゲームで見たよりもかなりリアル感があり、鎧についた赤黒い血は太陽の光を取り込んでいて、先程浴びたばかりだとわかる。

マリアは一瞬怯んでしまった。が、意を決してメリオラの方へと右足を踏み出し、彼女の名前を呼ぶ。


「リオラさ「マリア嬢っ!危ない!!」

「え…」


マリアは驚き、足を止めて声のした方へ振り向こうとする。

『キン』という高い音が僅かに聞こえた。

その瞬間、顔に生暖かいドロドロした何かがかかる。

目の前には知らない人がこちらを向いて立っていて、その人の喉仏辺りが切れて血が噴き出していた。

何も考えていないのに、自分にかかったものがその血なのだと理解する。

マリアは呆然としつつ、目の前の人の横、マリアの名を呼んだ声がした方へと顔を向ける。

そこにはジードが立っていた。

ジードが焦ったように問う。


「マリア嬢。なぜここにいる?」


ジードの言葉でマリアは我に返った。


「そうだっ、ジード様。リオラ様が、このままではメリオラ様の心が壊れてしまうのです」

「メリオラが?」


マリアの声は焦っていた。

ジードがマリアの目線を追いメリオラを見ると、そこには、目の光を失ったメリオラが立っていた。

ステラ、ジード、ラニス先生の見た目について書くのを忘れていました。

追加しましたのでよろしければ確認お願い致します<(_ _)>

ステラは第2話、ジードとラニス先生については第4話の話の中に追加してあります。


よろしければブックマーク、評価、感想などお願いします!励みになります!



あらすじの最後の一文は本編の最後の一文とお腹です。どうしても書きたくて(´p`)

本編を読んだ方は読んでも読まなくてもどちらでも!


↓ここからあらすじ↓

戦場の真ん中に銀髪の騎士____メリオラが立っていた。

メリオラはこの戦争に大きく貢献していた。が、多くの人を殺した罪悪感と馴れによりメリオラの心は壊れる寸前まで来ていた。


その頃、学園では1週間程前からマリアが失踪している事が発覚する。

そして、そのマリアはメリオラの元へと向かっていた。荷馬車を乗り継ぎ戦場にたどり着いたマリアは、前世の記憶___乙女ゲームの記憶を駆使し、メリオラを見つける。

メリオラに気を取られていたマリアは、自分を狙う敵兵に気づかなかった。が、間一髪でジードが助ける。

ジードがマリアになぜここにいるのかと問う。

それにより我に返ったマリアは、このままではメリオラの心が壊れてしまうと訴えた。

ジードがマリアの目線を追いメリオラを見ると、そこには目の光を失ったメリオラが立っていた。

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