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子供達

起きたら外は暗くなっていた。

部屋の中に蝋燭の燭台が灯っており、そこには背中を向いて半裸になったファインが布で頭をガシガシ()いていた。


背中しか見えないが、鍛えられた筋肉の筋が見えるたくましい背中。そこには色の変わった複数の打撲の後に、古い傷なのか裂傷の後が付いていた。

寝起きの寝ぼけた頭でなんとなく眺めていると気付いたのかファインがこっちを向いた。

視線でも感じたのだろうか?


「起きたのか、メルディ?よく眠れたか?」

半袖のラフな服を着ると肩に布をかけこっちにくる。


太く逞しい喉仏が浮いた首、開いた首もとから見える鎖骨。

…鎖骨っていいよね…。


とろんとした意識にでゅふふふふと変な笑いが漏れた。

「メルディ~?メルディー起きろぉ~?」


肩をポンポン軽く叩かれ意識が覚醒する。

見覚えの無い暗い部屋に一瞬ビクッと体が揺れたがすぐに孤児院であることを思い出した。


「あ、…お兄さま」

「そろそろ夕飯の時間だから起きような。」

「う、うん、起こしてくれてありがとう。」


私は少し恥ずかしながらベッドから下りて借りた長袖のワンピースがシワを伸ばすため服を整えるように払った。

靴を履き、準備が出来たとファインに付いていく。

ファインを先頭に真っ暗な廊下を歩く。

光源はファインが持っている燭台だけで、転けると危ないからとファインと手を繋ぐ。


完全にお兄ちゃんだなーと、なんだかくすぐったくて嬉しかった。ファインに会ってから良く手を繋ぐようになったけど、前世でこんなふうに手を引かれて歩くのは何年ぶりなんだろ…。

ファインに引かれながら後ろでニマニマ笑っていると明るい部屋が見え、そこから男女の高い子供特有の笑い声と騒がしい声が聞こえる。

もう食堂に皆集まっているようだ。


「もう!これこら新しい子の歓迎会するんだから真面目にやってよ!ダリル!」

「いつも通りで良いだろババア!どんな背伸びしたっていつもとそんな変わんねえしよ!」

「ババア!?二つしか違わないじゃない!いいわよ!あんたのだけ少なくして新しい子に盛るから!!」

「あーあー悪かったでございますねぇ?バル様ぁ?」

「あんたわざとでしょ…決行」

「冗談だよ!すみませんでした!」

「ラル様」

「すみませんでしたラル様!」


…すっごく前世の弟かと思う既視感を感じた。

ファインを見るといつもの事なのかそのまま扉を開けて入る。

「ラル、ダリル。相変わらずだなぁ、連れてきたぞ。

メルディだ宜しくな。」


ファインに背中を押され前に出る。

背の高い、まだ成長途中のスレンダーなラルと呼ばれた女の子。

茶色い髪をポニーテールに結び、パッチリとしたオリーブの奥二重の眼は少しつり目で将来美人さん間違いなしだ。


もう一人の男の子ダリルはラルより背が少し低く、あどけなさが残ってる。でもグレーの五分刈りでボサボサの髪と褐色の肌が野性的で一重の明るいオレンジの目が印象的で好戦的な目をしていた。

半袖短パンから覗く褐色の手足は筋肉質だがまだまだ細い。


「メルディです、宜しくお願いします!」

ぺこっと明るい感じの声を出し、笑顔で頭を下げて挨拶をする。第一印象は大切だよね!

「よろしく!解らないことがあったらなんでも相談して。」

「よろしく」


挨拶をすると奥のキッチンの方からシスターと小さい自分と同い年くらいの子供が二人こっちに来た。

「あらあら、メルディちゃん来てたのですね。いらっしゃい。

ほら挨拶。」

優しい目のシスターが子供二人の背中を押し前に出す。二人は警戒した様にシスターのスカートを握っまま頷くように頭を下げて。

「…リンダです…。」

「…リュート…です。」

と交互に挨拶をした。


思わずじっと二人を観察してしまい、不安そうに三編みの女の子は更にシスターのスカートを手繰り寄せてしまいシスターが苦笑する。


ハッと焦らないよう笑い、「メルディです宜しくね!」と両手を出して握手を求める。


リンダとリュートは二人でアイコンタクトするよう眉根を寄せて見つめ合い片手はシスターのスカートを握りながら、おずおず私の手の先を握った。不安に揺れる眼が可愛い。


「「…よろしく…」」

声を揃えて言う二人にズキューンと心臓が撃ち抜かれる。か、かわいいぃぃ!


そう、この二人。外見的特徴が同じ男女の双子でっす。(名前的に恐らく)

同じ白に近い薄い金髪の髪に、青に近い碧の瞳。

昔みた珊瑚礁の海のような色の瞳だ。

リュートの方は少し眠たげだが、大きい少し目尻の下がった垂れ目は共通で、リンダは前髪は真ん中で別れ、背中まである髪を三つ編みし、リュートも前髪は真ん中で別れ、サイドの髪を輪郭を覆うように伸ばし、後ろ髪はショートになっている。


何だよこの世界!将来有望な子供多すぎんだろ!最高かよ!!心の中神を仰ぐ。

決してロリでもショタでもないです。可愛い子を愛でるのは当たり前です。例え現在の歳が近くてもメンタル(享年)28歳には目の前の子達が天使にしか見えないです。意味解らない?私も意味解んない!


決して表には出さないようニコニコ笑いながら自己紹介を終えて食事に移った。


皆席に座っても、まだ食事には手を出さず大人しく待つ。

シスターが片手を胸に手を当て「精霊の恵みに感謝を。頂きます。」と唱え、皆も胸に手を当て声を揃えて「頂きます」と唱える。


私も見よう見まねで胸に手を置き、一拍遅れで唱えた。

その後は賑やかな食事になった。

食事の内容は薄い塩味で野菜と少しの肉が入った素材の味のスープに昼と同じ黒いパン、それと果実が切られ小皿に入っている。


硬い黒パンをスープに浸けながらシスターとお喋りしたり、ダリルが入ってる肉が少ないとラルと口喧嘩し、リンダとリュートは黙々と食べているが、リンダがたまにチラっと視線が合うと慌てて反らすを繰り返す。うん、可愛くて癒される。


ファインは昔此処に居たからダリルとラルとも仲が良いようで呼び捨てで呼びあっていた。

ダリルに「出戻り早すぎんだろ、離縁された嫁かよ」と揶揄され「うっせぇ」と返していた。


いつもより口調が乱暴で何か新鮮だ。


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