猫と書いて『ぬこ』と読む!
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ミミット親子のお家にご招待されました!
寝藁を敷いた地面に豪華な生きた毛皮の座椅子、お腹には温かい生きた湯たんぽに私の腕を立つ支えにして匂いを嗅いでくる柔らかい生きたヌイグルミのような毛玉!
出入り口からは明かりが差し込み他に光源は無いけど、とても自然と調和してるというか自然そのもののご自宅です!
そして熱い。
何で皆私の周りに集まるわけ?何か出してんの?
そういえばヒロインとかまぁ、主人公って動物に良く好かれるよね?なに?そういう事?
シャツの中のお腹に乗っている猫は、さっきの暴れようが嘘のように静かになっている。
起きたら人間の服の中にいて一時的にパニクったのかな?
そしてお腹がジクジクすると言うか…あ、そうか。猫にめちゃくちゃ暴れられたんだよね。
肌着を着ているとはいえ血まみれになってたらどうしよう…この世界の回復って傷を一瞬で塞ぐとかあるんだろうか。猫の引っかき傷ってなかなか治らないからね、特に野良は。
シャツのボタンを上から外す。シャツの膨らみに沿って猫の体が露わになった。
白い毛並みに額にだけ菱形っぽい黒い模様が付いている。今は濡れていた上にシャツの中にいたから毛並みがぐちゃぐちゃだけど。大人しく起きていたのだろう。
ボタンを外して頭が出るとこっちを見た。
半眼でじっとこっちを見ている。
痩せた体に長い尻尾は先だけ上下に揺れていた。
何となく、同じ世界だからか『ナイト・ガーデン』の攻略対象の猫獣人のレビンに似ている気がする。
―と、言ってもスチルで見ただけなのと、レビンは額に黒い菱形模様と三角耳の下のから首に黒い線が左右対称に入っていたし、眼の色も金色だから違うんだけど、何となく思い出しただけだ。
それにレビンと会うのはウィリント王国だしこんな所に居るわけ無い。
もしかしたらこの世界の猫は白黒柄が多いのかもしれないし。
猫は細い顔にビー玉のような眼が夏の空を映したように真っ青な瞳をしていた。まるで吸い込まれそうな程の綺麗な青い瞳に思わず目を奪われる。
「あなたとっても綺麗な眼をしてるね」
美猫やーん、綺麗だわ〜
頭を撫でようかと手を伸ばしたらビクっと体が震えて私の腹を蹴ってピョンっと逃げた。
いてぇ!
ジんジン痛むお腹に悶絶して我慢する。
一定の痛みが過ぎていって恐る恐る自分の腹を見ると肌着に薄く血が滲んでいた。
ぺろっと肌着を捲ると白い肌に血が出ているミミズ腫れが何筋も走っている。思わず苦い顔になる。これは痛いはずだ。
そんな事しているとミミットが近寄って来てミミズ腫れを「ぴ、ぴ」と鳴きながらふすふす嗅ぎ始めた。ヒゲが当たって痛いからヤメレ!
ミミットの頭を手で遮って肌着を下ろすと猫が少し離れてこっちを見ている。綺麗な透き通るような青い双眸には警戒が宿っている様だ。
「シャツの中に入れててゴメンね。安全な場所に移動しようと思ったんだけど色々あってね、こんな所にきちゃった。」
言葉が解るとは思わないけど話しかけてしまう。
痩せているから屋敷に帰ったらご飯作ってもらおうかと思っていたけど、こんな状況じゃあ猫の安全も守れないかもしれない。
つか連れて帰れる?自分も帰れるかわからないのに…?て言うか現在自分の安全も守れないのでは?
別れ際のファインの顔を思い出す。
呆気に取られたような、目を見開いて驚いた顔をしてたよ。…心配してるだろうな…。
はぁ~~…ファイン達の所に帰らなくちゃ…。
でもどうしようか、取りあえず外を見てみたい。
立ち上がると猫が三角の耳をこっちに向けて警戒を表す。表情が硬いというか、すぐに逃げられるようにしている。
「大丈夫だよ。怖くないよって解らないよなー。大丈夫、大丈夫だよ〜。」
出来るだけ優しく言いながら手を振る。
少しずつ後ろに下がっているが、ダッシュでどっかに走り去ったりはしなかった。
洞窟の中に居てほしかったからちょっと、ホッ。
出来るだけ、壁沿いに距離を取りながら出入り口の隙間を目指すとミミットが「ぴ」と駆け寄って足元を歩くのを邪魔するようにうろつく。
これは私が猫に思った事と同じように、逃げると思われてるのかな?
ミミットの首元を掻くように擦りながら撫でると手にグイグイと頭を押し付けてくる。
かわい〜甘えてるよ〜。癒やされる。
「ちょっと外に行くだけだよ〜」
洞穴は崖の亀裂の中にあるようで三角形の亀裂から外に出る。
朝に朝食食べてから外にでて、太陽が上にあるからお昼辺りかな?て事は三、四時間ほど経っているんだろうか。…お腹減ったかも。
猫のご飯もどうしよう。何か食べさせたくて連れてきたのに、逆に自分のご飯が危うくなるなんて考えもしなかったわ。
外は開けた場所で岩が出している以外は短い草しか生えていなかった。
きょろっと周囲を眺めると木が繁ってる森が見え、逆の方向には丘と草原が見える。
森の方から来たのは確かだからそっち行けば帰れるかな?
ふらふらと歩いていると崖の亀裂から視線を感じて見ると、猫がこっちを見ていた。
手を振るとふいっと視線をそらされる。
前世の野良猫思い出すわ。
ふと草原の方をみるとキラっと光った気がしたが。近付いてみると川が流れている。川は森の方からつながってくる川のようだった。
もしかして!この川って精霊と会った川なのでは!?この川を逆上れば帰れる?!
光明を見出すと一気に安心したようにどっと疲れが来て膝から地面に崩れる。そして一気に腹の痛さが増した。
体の中心だから動く度にひりつくんだよね。
血は出ているが殆どはミミズ腫れで裂かれたような傷はないけど、地味に痛い。
目の前に川がサラサラと流れている。
そんなに深くはなさそうだけど川魚が川の流れを逆らって泳いでいるのが見える。
……美味しそう…捕るか…
ぼーっと魚を見つめながら考える。
釣り道具は当たり前だけど無い。一応編みカゴの知識はある。蔓で作れる自信もある。
何せ前世でよくチラシを細く丸めてゴミ箱とか小物入れとかを作ってたからだ。職場で『お婆ちゃんか?!』とか言われた。でも体良くそんな使える蔓や蔦などあるわけ無い。つーかナイフも無いわー。
手掴みいくぅ?川凍らせちゃう?流れを塞き止めると大変な事になりそう。
氷で網張っても川の流れで溶けそうだしなー。
ゲームでヒロインって何の魔法使えたっけ?
確か、初期は…『アイスエッジ』『ライトニング』あとは最初に選んだ精霊の属性魔法だったはず。
今は精霊居ないから無理だとして『ライトニング』くらい撃てるんじゃね?そういえばシスターに水晶で見せてもらったとき紫が紺に次いで目立ってたよね。新しい魔法開拓してみるか。
目を閉じて、自分の中を集中して見る。
私の恩恵の紺色の気配。その中にあるはず。
ファインに恩恵を送ってもらった感覚を思い出す。それと同じ事を今度は私の恩恵で探ると、何処からか紫色が滲み出てくるような感覚がした。
紫色の気配を掴むと内から腕へ伸ばすように、引きずるように手先まで持ってくる。
イケるかな?
目を開けて手に集中してみると、人差し指と親指の間に紫電がはしって反射的に体がビクッとした。
でも顔がニヤけてくる、やった!成功!
「おしゃあああぁぁぁあ!」
両手を上げて何も可愛くない雄叫びを上げると、いつの間に居たのかミミットがビックリして後ろにいたミミットベアに避難した。
「あ、あ、居たの?!ごめんね!いきなりでびっくりしたね!」
こっちこっちと手招きしながら謝ると「ぷ~」と鼻を鳴らしながらこっちを見ている。
ごめんて!
何度か謝ってると警戒を解いて近付いてきてくれた。…良かった。
………、何が良かった?連れて帰れないのに…。
いや、でも一緒にいる間くらいは仲良くしたいじゃないか。
頭を振って気分を変える。今はご飯だ!
「ちょっと危ないから離れてて、バッークバッーク!」
ミミットのお尻を押しながらミミットベアの元に行かせ、私だけ川に戻る。よし!
川に右手を腕まで入れると川魚はスイっと泳いで行ってしまうが…。
「ライトニング!」
多分技名要らないけど気合を入れて放つと電気が恐らく走った場所がボボボボボと気泡が出た。
そして一拍遅れて5匹くらいの大小の魚がお腹を上にぷかぁと浮かぶ。
やった!成功!
書き終わった後に思う。どこに行ってるんだろう、と。




