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兄妹として

朝食はクロワッサンにスクランブルエッグとベーコン、綺麗に盛り付けられたコーンと何かのハーブのサラダ。

まるで日本でも食べられるようなご飯が出てきて思わず泣きそうになりながら舌鼓を打つ。


美味しい!おいしぃぃぃい〜〜!

孤児院ではパンはパンでも固くて味に癖のある黒パンだったからクロワッサンのサクサクとした生地に柔らかい食感はまさに感動物だ。


ヤバイ、ご飯だけは孤児院生活に戻れなさそう。


朝食に全力で集中し、デザートも食べ終える。

デザートはプリンで大変美味しゅうございました!


「皆様の食べっぷりはとても見てて気持ちが良いですね。美味しかったですか?」


マルコさんがこっちを見て話しかけてくるから、満足だと自然と満面の笑みになって答える。


「はい!とても美味しかったです!こんな美味しいもの(今世で)初めて食べました!」


「はは、ここに居てくださる限りは毎日毎食お出しできますよ。ゆっくりとお過ごしください。」


私は返事出来ずにニッコリと微笑む。

笑顔の仮面を付けたままシスターを見ると『判りました』とコクっと頷いた。


「ジーブ様、本日は私までお世話になって、誠に有難う御座います。

昨日メルディとお話をし心決まったようなので、お時間頂くことは可能でしょうか?

勿論いい時間で構いません。」


マルコさんがにこやかに片手を上げると、さっきのお爺ちゃん執事がマルコさんの後ろに付く。

どうやら漏れ聞く声を聞くとスケジュールの確認みたいだ。

「本日は商談が入ってまして…。

申し訳ありませんが夕飯後の夜でも構いませんか?

勿論シスター殿も本日は泊まっていかれて結構です。」


「畏まりましたわ。では本日もお世話になります。」


「ははは、私の都合ですからそう固くならないでください。

皆様はごゆるりとお過ごしください。

家の者には伝えてあります故。」


「有難うございます。」


マルコさんは席を立ち、優雅に頭を下げる。

私も釣られて頭を下げ感謝を伝えた。


というか、この中でタダでお世話になってるのは私とファインとシスターか。

リンダとリュートとリビはこの家を手伝って貢献してるものね。


そんな話をした後解散になった。

リンダはメイリーナさんに仕事教えてもらいに行って、リュートとリビはお爺ちゃん執事に付いていった。


そして私は現在ファインに手を引かれ連行されている。

ひ、ひえ!怒ってる!

後ろを見るとシスターがにこやかに付いてきてるけど、これは尋問の流れか!


自分の部屋とは違う別の部屋に入るとすぐに扉を閉められ扉を背にファインの両腕に閉じ込められる。

つまり壁ドンってやつですね。

身長差のせいでファインが屈んで上から覆いかぶさるようにされているせいか、威圧感が凄い。

いつもの優しい笑顔じゃなくて、何ていうかシスターみたいにニコリと笑いながら威圧してくる。



知らなかった、ある一定キレるとファインって笑顔になるんだなー。めっちゃシスターの影響受けてるね!大発見☆


すみません現実逃避です。

というか今背中の扉向こうにシスター閉め出されてる状態なんだけど良いんだ?後が怖くない?


色々逡巡していると「メルディ?」と低音ボイスが上から降ってきて何故か背中が粟立ってギクっと体が固まる。

「さっきのシスターとのアイコンタクトと心決まった事とは、なんの事だ?

シスターにも後で聞くが、まずお前から兄は聞きたいな。」


声音は優しいのに凄みがある。器用ッスね!


「あの、その。」

心の中は饒舌に言葉が流れていくのに声にすると思考が萎んでいく。


「お兄ちゃんの言葉とは裏腹になるんだけど、私…シスターの元で学びたいと思うの。」


言えた!ファインを下から窺うように見る。

ファインの眉が顰められ少し離れた。


「それはシスターに脅されたのか?弱味でも握られたとか?

シスターの元に自分から学ぶなど魔と契約するようなものだぞ!」


え?そこまで言う?

そういう考えになるまでシスターに何されたの?

逆に興味湧くわ。


「お兄ちゃん、私は強くなりたいの。

自分で、自分を守れるようになりたいし出来るようになりたいの。」

そしてあわよくば魔法剣習得して、国から追われても逃げれるように強くなりたい。ロマン砲ぶっぱでもいい。撃てるようになりたい。


ファインを見上げ、目を合わせて訴える。

ファインは眉間にシワを寄せて口を引き結んだ。

少し考えたようで間を開けたあと私に視線を戻す。

「……、それなら俺が教える。俺が師匠になってメルディに色々教えるから―」「信用出来ない」


頭より先に口に出た。

少し前から思っていたけど、ゲーム上ヒロインがレベル1だったの、ファインが何もかもから守っていたせいじゃね?

おかげとも言うかもしれないけど、ファインは絶対甘い。断言出来る。


目の前のファインが「なっ!」とかショック受けているけど私の思考は冷ややかだ。


「だって、お兄ちゃん私に甘いもの。

お兄ちゃんに守られている様では意味無いの。運命さえ薙ぎ倒せるくらい、強くなりたいの。」


「メルディの事は俺が、俺がずっと守る!

メルディが強くならなくても…。


……俺では、頼りないか?」


ファインは辛そうに顔をくしゃりと歪ませる。

何故か夢の弟の悲痛に叫ぶ顔と今のファインがかさなって胸が苦しくなる。

夢の弟にしたように、泣きそうなファインの腰に抱き着いた。

子供の体ではこれが精一杯だ。


「違うの、お兄ちゃんを頼りにしているからこそ…お兄ちゃんが私を大事にしているから私も守りたいし大事にしたいの。

お兄ちゃんにだけ背負わせたりしない。」


「メルディ?」

腰にしがみつく私の顔がファインに見えないよう、私からもファインの顔は見えない。

だけど声からは戸惑っているのが解った。


これはシスターに言ったような事をファインにも行った方が良いだろうか…。

でもソレを話して関係性が変わっても嫌だ。

ファインの前では無邪気な子供―…は語弊があるな。妹として甘えたい。

距離が変わるのは嫌だ。


悩みながらファインの腰をギューと締め、グリグリとドリルの様に頭でファインの腹を抉った。


勿論鍛えた腹は堅くダメージはあたえられてないしビクともしない。むしろ私の頭部にダメージがきてた。

そっと、無言で背中に大きな手のひらを感じるた後、

「はぁぁ」と溜息を吐かれた。

上を見上げると何時もの優しい顔と諦めに似た表情をしているファインと目があった。


「解ったよ。メルディの考えた通りにすると良い。

ただ、俺は必ずどんな所でもお前に付いていくからな。それだけは拒否してくれるなよ。」


「うん!お兄ちゃん大好き!」

怒りを溶いてくれたのが嬉しくてニヤけてしまう。

ファインはフッと笑うと覆いかぶさるように抱き締め返してくれた。兄妹の絆を確かめあってる気持ちだ。


「ところでさ、お兄ちゃん。」

「うん。」

「シスター締め出したままだけど、いいの?」

「…。」

抱き締めあったまま数拍。

腕の力を解いたファインが立ち上がりカチャッと控えめに扉のノブをまわして開けた。


扉は廊下側に開くようになっており直ぐにシスターが笑顔で控えていた。とっても眩しい。痛いくらいに。


「話はおわりましたか?」

「…はい。大変おまたせして申し訳御座いませんでした。」

いつも以上に丁寧な言葉に緊張感が窺える。

シスターは変わらず笑顔なのにファインの顔色だけ青く変化していた。


「ええ、突然閉め出されてしまってとても驚きました。いつになく感情を乱して冷静を欠くなど修行不足ですね。

メルディの基礎もありますし、このまま庭に移動しましょうか。」


「…。」

沈黙するファインにふふっと口元に手をあて笑うシスター。

「どうせ私がメルディを呼び捨てにした事で全て察して頭に血が昇ったあと説得に失敗したのでしょう?


悪足掻きは格好悪いですよ?

メルディ、こっちにいらっしゃい。」


沈黙するファインの後ろにいた私は矛先を向けられて戸惑ったけど、そろそろとファインの横に立つ。


ドンマイ、という気持ちを乗せてファインの手をキュッと握ったあと心配そうに見るファインに大丈夫だよと笑ってシスターの隣に移動した。


「ではファイン、準備出来次第裏の出口で待っててくださいね。」


そう言うとシスターは私を連れてファインから離れた。


連れて来られた場所はシスターの部屋らしい。

シスターは今の着ているドレスを脱いで動きやすい服に着替える。

デザインは、見た感じ修道服に似ているが腰上から前後に別れるようスリットが入っており、下はズボンにブーツを履いていた。

ズボンの腰にはベルトに剣帯をしスリットから柄が出ている。

姿勢が良く堂々とした出で立ちが格好いい。

騎士は違うし僧兵?というのか…でもシスターだしどう言えば良いのか解らんけど、戦いに行く格好が様になっている。


…修行なんだけどね。


そして私もシスターにぐちゃぐちゃになった髪を梳いてもらい、ポニーテールに結んでもらった。

そしてメイリーナさんを呼んで、動きやすいズボンとシャツを借りて裏の出入り口に向かった。


外に出ると、ラフな冒険者のような格好のファインが待っている。

服装は孤児院にいた頃から着ている服だ。


「お待たせしました。ではメルディは一人で軽くウォーミングアップしててください。

軽い柔軟体操のあと腕立て伏せ、腹筋背筋20回ずつしておいてくださいね。」


「はい!」

実は孤児院にいた時から毎日ファインに手伝ってもらって毎夜10回ずつしてたから大丈夫!

私は早速関節を(ほぐ)す為体を伸ばす。


シスターとファインは私から少し離れ対峙した。


「ファイン、ちゃんと毎日鍛錬をこなしてますか?」

「はい。勿論です。」

「では真剣のままいらっしゃい。勝負はいつもの通り、私から一本とるまで終わりませんよ。」

「はい。胸をお借りします。」


私はイチ、ニ…イチ、ニと柔軟体操しながら試合の行方を見守る。ちゃんと戦いをまともに見るの初めてだわ。


ファインはもう抜き身で構え、シスターはただ自然に立ってファインが動くのを待っている。


剣使うのファインだけ?

思わず目が離せなく柔軟体操しながらじっと見た。


何を合図にしたか、ファインが動いた。

剣を薙ぐとシスターはいつの間にか消えていて、ファインが吹き飛ばされる。

何が起こったか全く解らなかった。


次回ファイン目線で話を進めます。



ここまで盛り上がりが無くて申し訳ないです。

もう少し進んだら事件に突っ込んでいくのでもうしばらくお付き合いお願いします。


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評価は最新話の一番下にあります。

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