襲撃
遅くなってすみません。
収穫について話を聞きながらボーっと考え事をしているとファインが何かに気付いた。
「!」
表情を険しくして見た先は赤く染まった空だった。
そこだけ、やけに赤く明るい…。
ファインはダッと走り出す。
「ファイン!」
リュートが大声で叫ぶとファインが「お前たちは来るな!」と大声で返しそのあと振り向く事なく走り去って行った。
あの方向は貧民街の孤児院じゃないか?
あの明るい赤い空は火事ではないか?
あれは、全てを奪っていった時と同じではないか…。
全身の血が全て地面に流れていくように体から血が下がっていったのを感じて身体が動かない。
それなのにバクバクと心臓だけは早くて、息が上手くできなくて苦しい。
「…っ!―っルディ!…メルディ‼」
「メルちゃん!」
腕に衝撃が走った。
赤い光を見て固まる私の腕をリュートが揺さぶっているけど、身体が…動かないんだ。
頭は、考えれるのに胸が苦しくて堪らないんだ。
視界にリュートの綺麗な顔が映る。
その瞬間、頬に衝撃が走って視界が強制的に動いた。
視界に赤いあの光が映らなくなったからか、ビンタを食らった衝撃のせいか判らないけど身体が動くようになった。
「…いたい…。」
さっきまで全身の血が下がっていたのに、頬が熱くてそこを中心に身体が熱を持ち始めた。身体が冷え切ったのに気付いて身体が震える。
「そら痛いだろうね!固まってる暇なんてないよ、目を冷まして!」
「リュートやりすぎ!」
リュートが私に言った瞬間今度はリンダがリュートにビンタした。
「いた!姉さん何すんの!」
「女の子叩くなんて最低だよ!」
「だってこの子が!」
「もんどうむようよ!」
ケンカと言うかリンダが一方的なケンカの仲裁に入る。
「リンダ!リンダ大丈夫だよ!心配かけてごめんね、私の為にありがとう…。
…リュート、ありがと目が覚めた。」
「ふん」
リンダに抱きついたままリュートにお礼を言うと頬を抑えたままそっぽを向いた。
その目の先は赤く染まった空だ。
馬鹿だ、私は。
孤児院に行きたいのは皆同じなのに、住処が奪われる恐怖は同じなのに。
リュートは私達を置いてかないように我慢している。子供に我慢させるなんて、私は成長していない。
「もう大丈夫だよ!ごめんね、行こう!」
もう私に引っ張られない。私は私だ!自分でも両頬を打って気合をいれる。
「次固まったら今度こそ置いて行くからね!」
「メルちゃん、無理しちゃだめだよ!」
「うん!」
頷いて走り出す。
貧民街に行くと多くの人が火事の消化を手伝ったり野次馬で見ていたりした。
幸いと言ったら変だけど、教会と孤児院の周りと家まで距離があるから広がってない。
でも火の粉が飛んだら解らない。
消火を急がなくては…!
教会の周りでは水の恩恵を持ってる人たちが雨のように水を振らせているのが見えた。
それでも火は弱まる気配は無い。
中の方にも水を撒いていたが火の方が強そうだった。
「…おかしい。」
ぼそっとリュートの顔が険しくなる。
「え?」
多い人を抜けてリュートが教会から方向転換して裏の森に向かう。
それだと大回りになるが雑木林を突っ切って行けば花畑の方に出ることが出来る。
呼吸が乱れながら走って林を駆け抜ける。
林は少し小高い丘になっており孤児院の裏が少し見えた。
見えた光景は剣を持った大勢の男がローザに剣を持って襲っている所だった。
ぱっと見十人以上いるんじゃないか?!
「―っ!シス―ンン!!」
思わず叫ぶと両側からリュートとリンダが私を咄嗟に口に手を当て止めた。
「しっ!」
「メルちゃん大丈夫だよ。」
背を木に隠しローザの無事を確かめる。
すると、ローザは細身の剣を持っておりいつの間にか男達が転がっている。
残りの人達は腰が引けていた。
シスターつよい!マジか!
少し目を離してたら生死判らないけど半分の人達が倒れてる。
見てると裏口からファインとラルとダリルが、何か言い合いながらそれぞれの武器を片手に入ってきて襲ってた人達はじりじりと追い込まれていた。もう時間の問題だろう。




