モンスター
虫グロ注意出すの忘れてました。すみません。
リンダと手を繋いて人差し指でしーっと合図を送って蜂に近づく。
蜂は別の花に移動して、また一心不乱に花の中に入ろうとケツを振っていた。
近くに来ても、こっちに見向きもしない。
「あ、やっぱコレ蜜蜂だ。」10倍はデカイけど。
「ミツバチ?」
「うん、蜂蜜を集める蜂だよ。」
「ハチミツ?」
知らないのか、ゲームだとハニービーっていうモンスターいるけど…これモンスターなのかな?
巨大な蜜蜂にしか見えないな…飼えないかな?
うーんと、蜜蜂を凝視してると後ろから「何してるの?」と呆れを含んだリュートの声が聞こえた。
「あ、リュート!今ね、メルちゃんにお花畑見せてたの」
リュートが近づいて来て花に気をつけながら来る。
美少年のバックに花畑とか美味しいですね。
「うん、いつの間にか居ないからそうだと思ったよ。でも心配するから一声かけてよね、姉さん。」
「うん、リュートごめんね。」
「無事だからいいけど、んで二人して何を見てるの?」
リュートが視線を送るとデカイ蜂が花粉を集め終わって飛ぶところだった。
やはりデカイから羽音もかなり大きい。
ブゥゥウンと背中がゾクっとする音にリュートが思わず「わ!」と大きい声をだす。
飛んだ蜂はそのままリュートに向かって飛び、リュートが咄嗟に手でガードするとリンダが同時に立ち上がりムンズと蜂の尻を掴んでリュートの反対側にその流れのままポーイと投げた。
「「………。」」
呆気にとられる私とリュートはそのまま蜂を見てるとフラつきながら蜂は何事も無いように雑木林の方にに飛んでいった。時が止まったように固まるリュートにリンダが心配するようにリュートの手を掴む。
「リュート、大丈夫?」
「う、うん…大丈夫…。」
リンダの女の子らしい見た目に反して虫を手掴みしたり動体視力が良かったり意外な一面が多かった。というかリュートもびっくりしてる。
「…戻ろうか。」
二人同時に頷くけど、表情が対照的だ。
私は水が入ってたバケツを手に取り、花に向かって手ですくいながら適当に撒く。
空になったら三人で畑のある裏側に着いた。
「ねぇねぇメルちゃん。さっきの虫って『えきちゅう』とか『ミツバチ』っていう名前の虫なの?」
「違うよ姉さん。あれ『ハニービー』だよ。さっきの危なかったんだからね!姉さんに襲ってこなかったから良かったものの毒が強いんだから!」
「ハニービー?えきちゅうじゃないの?」
頭がこんがらがってきたリンダが眉根をよせ首を傾げる。意味が解らないと言った感じだ。
「えっとね、全体的に役に立つ虫を『益虫』っていうんだよ。(人の)利益のある虫って意味でね。さっきの…ハニービーは花から花に移って、花の種を増やすのに役に立つんだよ。」
「?良くわからないけどお花を増やす偉い虫なんだね。ハチミツは?」
「さっきのハニービーが集めてるご飯みたいなのだよ。とっても甘いの。」
「甘いの!メルちゃんってとても物知りなのね!」
リンダの目が輝いた。やっぱ甘いの美味しいよね。でもリュートが険しい顔で私とリンダの間を手で遮る。
「姉さんを危ない事に誘惑しないでくれる?」
「まだしようとしてないけど、どうして?」
「まだって…君ね。まぁさっきのハニービーは毒性の強い虫で確かに少しのハチミツが取れるけど、とても危険なんだ。」
「やっぱり蜂蜜とれるんだ。でも少しって?」
養蜂とかないの?確かにデカかったけど。
リュートは溜息吐いて説明する。
「ハニービーはモンスターでは弱小だけど、ハニービーのハチミツはとても高価なんだ、ハニービーは尻尾の部分に蜜を集めるから尻尾を切り落として採取するんだけど、採れるのは少量の蜜だけ。
しかも攻撃すると群れで襲ってくるから割に合わないし危険なんだ。ハニービーに刺されると毒にマーキング効果があって、毒に苦しむ間逃げ切れることも出来ない。ずっと襲われることになる。しかも一発で死ぬほどでは無いから意識がある間痛い目みてトラウマになる人が多いらしいよ。」
あの蜜蜂やっぱモンスターなんだ、でも採取方法が凄いな、そりゃ襲われるわ。
前世の養蜂の方法がとれるか解らないけど俄然興味湧いてきたな。あの蜜蜂…ハニービーの生態観察してイケるかどうか試してみよう。
リュートが折角怖がらせようとしてるのに私は内心ワクワクが止まらない。
リュートがまた苦虫を噛み潰したような顔を更にその虫を吟味してるような歪んだ表情になった。
「解った。大丈夫!リンダは巻き込まないよ。」
「…全く解ってないよね…。」
そして鐘の音が4回鳴り響いた。
「あ!朝の鐘の音!シスターのお勉強の時間がなくなっちゃう!」
急がなきゃ!と慌てるリンダの手にはあの畑で獲った幼虫(その他)が入ったバケツ。
「リンダ…それ、どうするの?」
思わずバケツを指差しながら問う。
リンダは手に持ったバケツを目線まで上げて「これ?」と不思議そうな顔をしてた。
「大丈夫だよ、燃やすから」
もやす?燃やすの?
ここで待ってて、と外で待つとキッチンの竈から持ってきた種火を外に持ってきた。
見てるとテキパキと元から深めに掘ってある穴に細い薪と木屑を入れて種火を投げると穴の中で火が広がるその中にバラバラとバケツをひっくり返して中に入れた。
おおぅ、無慈悲…。
「じゃ!いこ!」
穴の中で火が爆ぜる音が聞こえる、毎回大変だな、火の恩恵欲しいなぁ。
教会の中に入るとシスターが礼拝に来た人と話をしてる。椅子ではうたた寝してる人や隅で談笑してる人がいた。
中々フリーダム。
教会ってお喋り禁止とか静かにしなきゃいけない雰囲気な印象あるけど、ここはどこかアットホームな雰囲気だ。
生前もゲーム内でも内部知らんし、教会行ったことないけど実際こんなものなのかも知れない。
教会の大きな両開きの扉がキィっと軋む音と共にまた人が入る。
入って来たのは身なりの良いカイゼル髭に片眼鏡をかけているにこやかなダンディな男性で、短い前髪に紺色の髪を後ろに撫でつけオールバックにしていた。
あぁ!シルクハットに杖持ってたら完璧‼
仕込み杖だったらなお最高!オジサマと呼ばせて!思わず目を輝かせる。
観てくれ的に貴族なのだろうか?
上品に仕立てた黒のフロックコート、胸元にはレースが施されたクラヴァット。そしてそのクラヴァットの纏めに深い海の様な青い宝石が目についた。
「やぁ、おはよう。シスター・ローザ。相変わらず御美しい。」
紡がれる声は穏やかな渋い声。見た目がジェントルなオジサマは声もジェントルでした。
オジサマはこちらをチラリと見ると軽く会釈をする。
するとリュートがリンダは何時もの事だけど私の手もギュッと握る。
何故か判らずリュートを見ると眉間に皺を寄せて警戒を滲ませた顔をしていた。その視線の先はジェントルなオジサマだ。
ローザはさっき話していた人と会話を終え、オジサマに向き直る。
「あら、エルビンス男爵様。おはようございます。お早い朝ですね。」
穏やかに微笑むローザ。
「ええ、シスターはいつもお忙しく時間が取れませんからな。今日は時間に余裕を持って来ました。
何より新しい子供を迎えたとお聞きになりましたのでね。是非挨拶をしたいと参ったのですよ。」
「まぁ、お耳が早いですね。」
穏やかに微笑む紳士とシスター。
髪と同じ深い海のような双眸をこっちに向けてにこりと笑う。
「こんにちは始めましてお嬢さん。そして久しぶりだね。リンダさん、リュート君、元気にしてたかな?」
目線を合わせるようにしゃがみ挨拶をしてくるエルビンス男爵。
リュートの掴んできた手の力が入った気がした。
朝の鐘の時間(音が高い)
一回目→6時、二回目→7時、三回目→8時、四回目→9時、五回目→10時、六回目→11時。朝の六が昼時間で休憩に入り、飲食店が賑わいます。
夜の鐘の時間(音が低い)
一回目→13時、二回目→14時、三回目→15時、四回目→16時、五回目→17時、六回目→18時。大抵夜の三回目で明るいうちの仕事終了。その後暗くなるまで夜の店が混むようになる。
そして最後に一回だけ深夜に告げる鐘(22時)がなり一日の終了をお知らせします。




