リュート目線
孤児院に新しい子が来た。
急に決まったことだったけどシスターが特に反対していないことで、僕からも特に異論はない。
皆もそんな感じだった。
来た子はファインの妹と紹介され『メルディ』と名乗った。ファインが孤児で妹自体が存在しないことは皆知ってる。一体何に巻き込まれてることやら…。
その女の子は胸上まで伸ばした青味がかった綺麗な銀髪に、淡い紫に星を散らした様な瞳。何故そんな印象を受けたのかジッと観察したら瞳孔の色が金色に光っているように見えた。
…髪もそうだけど不思議な色を持った子…が第一印象。
そして見た目の静謐な色合いに反して活発な性格らしく気後れせず握手を求めてきた。
年が三つしか違わないからか姉さんが頻りに気にしているようだ。
それに気付いたメルディって子もそんな姉さんを見て相好を崩してる。あれは『可愛い』か『癒やされる』と思ってるだろうな。悪い人では無さそうだ。
それに、ちょうど孤児院のメンバーは卒業したりシスターのお眼鏡に適った人に引き取られたりして部屋も空いていたから一人一部屋の個室をもらってた。でも部屋がもう一か所空いてるはずなのに何故かその子はファインと相部屋…。
ラルも来年卒業だから、姉さんがとても寂しがってた。あの子の存在は有り難いかもしれないけど、ファインってお節介なところがあるから嫌な予感がする。…まぁ姉さんを巻き込まなければいいけど。
シスターは何も言わないけど、実は僕達にも引取の話が来ていた事は知っている。
というか、その貴族の……なんちゃらエビ?エが付いたような気がする名前の男が僕と姉さんにお菓子を持ってきながら話しかけてくる事が何度かあった。
うちには沢山お金があるから不自由な暮らししないよ?働かなくてもいい。
綺麗な服も格好良い服も沢山誂えてあげるよ、宝石だっていくらでも用意してあげる。
貴族になることが出来るよ、こんな栄誉はない。
と何日かおきに孤児院にきて、シスターが見てないのを見計らって僕達に切々と語りかけてくる。
妻に先立たれて独り身は寂しい、子供が欲しい。君たちが良いなら我が子として迎える。
と同情を引きながら話しかけてく。
姉さんがお菓子を貰いながら同情するような目をしてるが、あの男は僕達をコレクションを見るような目で見てきていた。
ずっとこの男に合うときは姉さんを一人にしない。手を繋ぎ、安易な事は言わないように言った。
安易に行くって言ったら「シスターが悲しむよ」と。
姉さんがお菓子を喜ぶから警戒だけにしてたけど、そろそろ潮時かな…ウザくなってきた。
シスターに言ったら笑顔のまま怒っていたから「僕だけで良ければ行くよ?」と伝えたらやんわり断られた。
…まぁもし「それなら」と言ったら姉さん連れて逃げるけどね。でもその考えもシスターに読まれてるみたい。
姉さんに不便な思いをあまりさせたくないから、ここから逃げるのは最終手段だけど、僕からしてもシスターは信用出来る人だと思うから暫くお世話になりたいと思う。
因みにその日からその男は来なくなった。
姉さんが残念がっていたけど目当てはお菓子だけだから問題ない。
そしてその日以降、念の為あまり表に出ない事を言われ裏側に魔法の練習として畑を作ることになって現在に至る。
シスターから洗礼してもらったら、僕だけ水と土の恩恵を授かっていた。まるで…姉さんから奪ってしまったみたいだ。と僕は思うけど、姉さんは無邪気にすごいすごいと喜ぶ。
シスターから魔法の基礎を教えてもらってるときも恩恵を持ってないのに一緒に教えてもらった。あとは畑で四苦八苦してるけど、姉さんも一緒に考えてくれるから苦ではない。
シスターいわく、水の青と土の黄色で新芽の黄緑の恩恵を僕は持ってるらしい。
土の恩恵で土を耕したり、水の恩恵で水やりしたけど作物に特に何も影響は出ない。
でも収穫すると皆が立派な作物だと喜んでくれるから今や趣味になってる。因みに姉さんは野菜と花を植えてる。
そんな今日からメルディって子も一緒に畑の世話をすることになった。
姉さんは大歓迎で喜んでるけど、面倒なことにならないかが心配だ。
一応シスターからの前置きでメルディって子も恩恵を持ってるけど、なんの恩恵を持っているか謎らしい。
なんだそれ?そんなことあるの?
メルディって子は本当に謎が多いようだ。




