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火の恩恵

「ほかの家も同じようなものよ、うちは敷地内に井戸があるから恵まれてる方だよ

しかも体ごと入れるくらい大きい桶もあるしね。」


ですよね…。


「でもね、火の恩恵を持ってるとね。燃料無くてもお湯作れるよ。」

「へぇ~便利だね!」


やっぱり魔法ってすげぇやと羨ましく思う。

明日から魔法の使い方教えてもらう予定だけど、生活が便利になるものを優先的に覚えたいと思う。


「でも火の恩恵持ってる人ってこの国だと珍しいらしいよ。」

「そういうのあるんだ?」

国の特徴みたいな?

「ほら、周辺の自然って森と川と山でしょ?だから恩恵くれる精霊が偏るんだって。

火の精霊が少なくて、平民だとたまにパン屋とか鍛冶屋の子供が火の恩恵を貰えるみたいよ。火の精霊を信仰してるし。」


へぇ~と雑談しながらお湯の確認をする。

大きなヘラでドラム缶の中のお湯をかき混ぜて、手を入れて温度を測る。

お、適温かな?


「メル大丈夫?熱くない?」

「大丈夫だよ、ちょうどいいくらいかなー。」


片手でOKと手でジェスチャーする。通じるか解らんけど。

特に突っ込まれることもなくリンダが火の調整して、灰をかけて火を小さくする。


「じゃあ、お湯使おうか!」

私とリンダは仲良く手を上げて返事をした。お湯を用意した人が一番にお湯を使える特権だ。


「私、シスター呼んでくる!」

シスターがいると風呂上りに髪を乾かしてくれるという打算もあるけど、純粋にワイワイと皆でおしゃべりしながら湯浴みをしたい気持ちが強い。それはラルとリンダも同じようで笑顔で行ってらしゃーいと返事が返ってきた。


夕食あと、シスターは個人の部屋で帳簿をつけている事が多い。

シスターの部屋の前に行くとファインの声が聞こえた。


『……に会って……もらいました。』

微かに聞こえる会話、洋服を貰った報告をしているんだろうか?

『…そう…』


報告終わったかな?と戸をノックすると、中で衣擦れの音がする。

「あ、すいませんメルディです。」


『あ、あぁメルディちゃん?どうぞ、入って?』

許可をもらったから扉をあけて入る。


「おじゃましまーす」


中に入ると思った通りファインも居た。

……?でもいつもの笑顔が引きつってるような?


「あ、ごめんお兄さま。話終わったかと思って入っちゃった。まだ終わってなかった?」

「え?!あ、メ、メルディ?いつから扉の前に?」


ファインは引きつった表情のまま驚いて聞いてくる。なんだろ?

「え、貰ったってとこから?」


ファインがピキっと固まった。あ、なんかコレ最近みたな。予想外の事言われると固まるんだよな。

何かおかしな事言ったかな?


良く分からず首を傾げていると、いつものようにおっとりとしているローザから助け船を出された。

「ところでメルディちゃん、どうしました?」

「シスターも一緒にお湯をどうかと思って来ました!よかったら一緒に湯浴みしませんか!」


本来の目的である会話だ。ローザは嬉しそうにあらあらと微笑んで椅子から立ち上がった。

「ではご一緒させてもらおうかしら。ではファイン先にお湯頂きますね?」


「はい、メルディ体冷やさないようにな。部屋にいるから終わったら呼びに来てくれ。」

「わかったー」

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