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洗礼

ご飯を食べ終わって、仕事組みは出かけて行った。片付けを残り組みで片付けローザに連れられて先日の応接室みたいなところで『洗礼』することにした。


ぶっちゃけ洗礼だから、もっと神の膝元とか〜、教会の祭壇〜とか禊とか儀式的な何かをするかと思ったけど、何もなかった。

シスターにそのこと聞いたら、貴族とか王族とかは大々的にするかもね。と笑っていた。


そんなものかー。


応接室でちょっと待っててと待つこと数分。シスターが掌大の水晶玉を持ってきた。

シスターは私の対面に座り柔らかく笑う。


「じゃあ、始めましょうか。楽にしてくださいね。」

「はい。」


シスターは両の掌を合わせて軽く握るとそこから光が漏れている。

柔らかい光の光球はシスターの手から生まれ、私に見せてくれた。


「これはね、私の恩恵だけの部分。属性が入ってない言わば元みたいなものですよ。これを純度の高い水晶に込めるの。」


水晶の中央の部分が淡く光が灯りとても綺麗で見入ってしまう。

まるで生き物のように、ゆらゆら形を変えて、たまに光の帯のようなものが形作る。


「さあ、その水晶に触れてみてください。それは真っ白い紙みたいなもので、触った人の色を水晶に映してくれるの。」


初めて触れる魔法に心臓が鳴り響いて緊張する。

ダチョウの卵くらいありそうな水晶にそって指先を触れると、光が私の指に触れるように伸ばしてくる。

そこからジワリと、光だけだった帯の色が変わった。


紺色から濃い目の青紫がグラデーションになって滲むように、ジワリジワリと光を侵食するよう中央の光を飲む込む。

ほかにも色が別れて流れて、中央に固まった色は色々混ざった結果、黒に近い紺を濃くしたような色に落ち着いた。


「あら~、あらあら。珍し…初めてみたわ。」


ローザはいつもの余裕が薄れ、綺麗なエメラルドのような翠緑の瞳を見開いている。

あらあら言いながらも口許に手を当ててるのがとても上品だ。


ヒロインの闇の恩恵、解っていたけどやっぱり珍しいんだな。

「そんなに珍しいのですか?」

「ええ、普通は一色、稀に二色になるくらいですね、その濃淡でどんな恩恵か見るのよ。


でもね、本当に稀に色の判別が出来ない時があるの、珍しい属性の恩恵だったり、他の恩恵が強くて隠れてしまったり…。

私の知識不足で申し訳ないのですけど、こういうのを『闇』の恩恵って言われるわ、逆に白く混ざって解らなくなるのが『光』の恩恵、つまりどっちも判別不可ってことですね。」


成る程…色が混ざりすぎて解らなくなることを『闇』で例えてるのか。

…これって色の三原色と同じ原理かな?

ってことは『光』の恩恵は光の三原色?


なんだっけなー…光の三原色は覚えてるけど、色はイエロー、シアン…あと一個…うーんと、まぁいいや、色が解っても属性が解らないし。


ゲームだとヒロインは攻撃魔法が主体だったなぁ…回復も使えたけど、そこは王子のブルーノが得意だった。ブルーノの恩恵が『光』だったしね。

流石メインキャラのセンターです。


考えこんでいるとローザが再び謝ってくる。

「ごめんなさいね、『闇』と『光』は解ってない事が多いの。でも色の過程で紺色と紫が見えましたわ。紫は解らないけど紺色は青系統だから水系が使えるかも…あと、これだけ濃いと上級の氷も出来るかもしれないですね。


一緒に学んでメルディちゃんの魔法を探してみましょう?」


「シスターは悪くないです!あと宝探しみたいで楽しそうですね、よろしくお願いします!」


満面の笑みで答えるとローザはいつものように、「そうね、楽しそうですね」と少女のような無邪気な笑顔で笑った。

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