長い一日
ブックマークありがとう御座います!
ラルの部屋でついつい長話をしてしまってる間に、全部の雑用を男性陣がしてくれてたようだ。申し訳ない。
ファインとダリルがなんか疲れた表情をしていて首を傾げると、ファインに頭を撫でられた。
「…俺ら先にお湯もらったから、あとはお前らの好きに使え、メルディ先に部屋に戻ってるな。」
「うん。」
返事をすると、ファインがリンダに手を招き合図を送るとリンダがファインの近くによる。
「リンダ、悪いんだけどメルディに着替え貸してやってくれ。あとラル、メルディの服のサイズ図っといてくれないか?今度服屋行くからさ。」
「いーよ」
「んー、了解。行こ、メル!」
「うん!」
早速友達が出来たようでファインはホッとして三人を見送って部屋に入った。
昼に使った風呂場の外に横広いドラム缶のような鉄製のタライが置いてあって下に火が焚かれてた。そのお湯を桶ですくい布を浸して体を拭いたり適温に調整して頭から被ったり三人で洗いっこした。
途中シスターも混ざって女子で体の汚れを落とす。
そこで解った事は、シスターの白髪の髪は地毛だと言うことが解った。
修道服のベールを取ると編み込まれた髪が解かれ腰まで緩く波打った美しい髪。まるで雲に太陽を透かしたような明るい白髪だ。
それに合わせて弛んだところがなく引き締まったナイスバディーなフェロモン漂う色気の凄さ。最初髪の色と口元のシワで年齢を計ったけど、ますます年齢不詳になった。
そして修道服を着ている時は神に仕える貞淑な感じだが、よくよく思うと体の線が出ないよう覆う修道服の上からでも判る双弓の持ち主であったのを今更気付いた。一枚の布で体のiラインを隠す姿はまるで国宝級絵画の女神のようだ。
思わず呆然と見惚れた。女神のおかげで鼻血を出さない奇跡を味わいました。ありがとうございます。
部屋に戻ると敷いた布団の上でファインが剣の手入れをしていた。
「メルディおかえり、湯はどうだった?使い方解ったか?」
剣を鞘にいれ布団のすぐ脇に置くと私と向かい合う。
「うん!ただいま、大丈夫だよ。ラルとリンダとシスターと一緒に教えてもらった!」
「そうか、良かったな。」
自分のことのように嬉しそうに笑うファインの顔はとても眩しい。ファインは立ち上がって私の手をとりベッドに誘導する。
シーツの布団をめくり「ほら入って」と言われるままに入ると布団をかけてくれた。
なんかちょっと、くすぐったい気持ちと嬉しい気持ちが混ざって笑いながらファインを見ると、ファインも照れるように笑った。
「じゃ、明かり消すな…おやすみ」
唯一の部屋の明かりであった燭台の火がフッと消えると夜の闇に閉ざされた。
ファインが布団に潜った衣擦れの音だけが響く。
「おやすみなさい」
夢を見た。ヒロインの夢だ。
優しくメルディを呼ぶ低く優しい声。父の声だとすぐに解った。
日に当たるサロンはとても眩しく、父と母が一緒に座って紅茶を飲んでいた。
眩し過ぎて逆光で両親の顔は見えなかったけど、二人とも慈しむような表情だと何故か解った。
私はサロンに続く部屋に入り二人に駆け寄ろうとしたら…私の手を、誰かが掴む。
え?
咄嗟に引かれた手の先は黒い人で…黒い影のようなモノで…怖くなった私はサロンにいる両親に助けを求めようと両親がいるはずのサロンを見た。
パパ!ママ!たすけ……
言葉が消えた…日に当たって、平和だったサロンは赤い色に支配されていた。
あの夜の炎が燃え盛る音、何処からか聞こえる悲鳴、支配していたのは血の赤と火の赤、黒ずんでいく形の解らない両親らしきモノは燃えた人形のように崩れていく。
手を取られているのも忘れて私は両親の元に駆け寄ろうと必死に走ろうとした、けれどどんなに行こうとしても手の力には敵わなかった。
キッと睨むように手の先をみたら…心配そうなファインの顔と目があった。
夢とは違う真っ暗な部屋の中、至近距離にファインがいた。
心臓の音は頭に響くほど早く鳴り響いて、部屋に響いているような錯覚さえする。
じっとりとした背中に荒い呼吸。まるで全力で疾走したような息の荒らさで全身が重かった。
「ふぁ、いん…にい、さま」
過呼吸気味な呼吸の合間に名前を呼ぶ。
「…メルディ」
少しずつ、現実に戻ってきて呼吸が落ち着いてくる。その間、ファインはずっと手を握りながら体を労るよう一定のリズムで宥めてくれた。
深呼吸をひとつして落ち着いたことを伝える。でも、この状態で一人で寝るのは怖かった。
「兄さま、一緒に寝て、いい?」
「ああ」
我ながら大胆だと思う。でも私今子供、許されるはずだ。
手を繋いだまま奥にずれて、ファインも布団の中に入る。
ファインの胸に頭を当て、シャツを握った。人の暖かさと心音に安心して、今度こそ寝れるような気がした。
テンポというか話が進まなく申し訳ありません。




