始まり
いやぁ~~~、無理、無理っすわ~~~。
・・・
ゲームは好き。RPG、シュミレーション、ストラテジーな箱庭ゲーム、格ゲーは苦手だがアクションも好き、作業ゲーと言われるゲームも苦ではない、そしてアイテムを収集するのも好き。
最近のハマりは乙女ゲームの『ナイト・ガーデン』
主人公がキャラと恋愛するゲームではあるが、ファンタジーで戦闘に冒険、拠点やレベルが存在しモンスターの育成もある。ゲームの種類的に恋愛シュミレーションRPGにストラテジー要素がある感じ。
そういう恋愛だけでないところが面白く好きだ、シナリオも面白く、キャラによって分岐点も多い。
シナリオも好きだからスチル収集、アイテム収集が捻るわ!
勿論キャラたちも好きだ、やはりイケメンだし…、まぁ色々凄いが…見てて楽しい!
主人公であるヒロインがあらゆる問題に立ち向かい攻略キャラたちと絆を育んでいくのだ。
一般的に乙女ゲーはイケメンとの甘い恋愛模様でときめくモノもあるが、この乙女ゲーシナリオはギャグが多い、勿論一部甘い部分もありエンディングも甘いが、全体的にギャグ時たまシリアスだ。
だが、自分に反映してキャラと恋愛とか無理、自分の性格上もあるが、キャラ達は好きだが、もし現実的にこいつ等と恋愛するとしたら、ぶっちゃけ無理だと思う。友達としては良いけどね。
これは、このヒロインだからこそ楽しく恋愛まで出来るのだ。
それをニヤニヤ見つめ、見守るのが楽しいのだ。第三者目線というかプレイヤー目線が一番楽しいのだ!
やっぱゲーム楽しい!
ハマって一週間ぶっとおしで、ほぼ徹夜で座り込んでゲームをプレイしている『一ノ瀬 由利』は乙女ゲームのエンディングに一息つく。
エンディングの曲が終わりクリアデーターを保存しゲーム情報を確認すると98%まで収集していた。
あとは一番最後のトゥルーエンドスチルと最後のクリアのアイテムをゲットで100%コンプリーーーーートォォォオ!ここまでキタァァァアァア!
1人で画面前で両腕をあげ、心の中でヒャッハーしている。
最近徹夜で寝不足のはずなのに全く眠気がこなく、テンションが振り切っていた。
隣に置いてあったペットボトルの飲み物をのみトイレに行こうと立ち上がると体がふらつく。
立ちくらみというか貧血気味…よくよく思うとそういえば固形物最近食べてなく、飲み物ばかりだということに思い至った。
そういえば一時お腹減った感覚があったが、ジュースで治めてたんだ。そのうち慣れて気にならなくなることを経験的に知ってる。
だけど限界を超えて、現在気持ち悪い。
(あー、コレちょっとヤバいな…。)
最後の追い上げが未練だが、ご飯食べてからプレイしようと外に出る支度をする。
ゲームの余韻という感想で顔がニヤけながら外にでる。
空腹と徹夜の限界で体が重く腹が痛いが良くあることだ、少し前かがみになりながら耐えファミレスに向かう。
ふと道中人が多く、そういえば近くで祭りをしている事を思いだした。
少し階段を上がるが、お祭りの屋台に惹かれ神社を目指す。
近所にある神社は大きく、祭りの屋台も多い。
階段の道中も着物や浴衣を着ている人も多く、大型連休中だからか人が賑わっていた。
長い階段を照らすように電球や提燈の明かりが多く寝不足の影響か明かりが少しチカチカして目に痛い。
もう少しで上に着きそうだと思うと狐のお面をつけた着物の男性が下りてきた。
(おぉ!リアルでは見ない狐のお面!欲しい!)
小説や漫画やゲームではある狐のお面、由利は今までお祭りに行っても見たことなく珍しいものを見たと、思わずガン見をした。
そして男性もガン見している由利と視線が合って視線が交差する。
お互い避けるのを忘れ男性と由利の体がぶつかり、由利の足元がフワッと浮いたのを感じた。
「え?」
「っ!!」
男性が慌てたように手を伸ばすが、由利は目を見開くだけで体が動かない。
スローモーションのように、ゆっくりと動くような、まるで夢のように現実感が無い。
ずっと狐のお面を見るように、視線を外せない。
ずっとやってたゲームが頭に流れる、走馬燈って、なんか違くない?
どこか遠くで悲鳴を聞こえたような気がする。
なんだか、体が重いような…気がする。
でもなんだか、あったかいような…きが…する。
視界はいつの間にか真っ暗で体が動かない
…あ…乙女ゲー!やだ!98%!!
もう一息!死ねない!まだ死ねない!!死にきれなぁぁぁい!!!
腹ごなししたら帰ってゲームの続きするんだ!!
でも体が動かない、目を開けようにも開かない。
でも考えることが出来る、生きてる!ワタシ生きてるよぉ!!
「いや、ごめん…死んだよ。」
「!!」
体が動かないはずなのに目の前からちょっと笑いを含んだような震える声が聞こえた。
いや、なにわろてんねん!
「ふっ…ご、ごめん、んんっ!」
笑いを誤魔化すように咳払いをする。
ところで、死んだってどういうこと?あなた誰?
「僕は君たちの言う神様?みたいなものかな、助けられなくてごめんね」
目の前に狐のお面の男性が現れる、狐の仮面を外すと黒い髪に赤い眼の青年が眉根を寄せ痛ましげに微笑んでいた。
ふぉぉ~、イッケメーン
「言っておくけど、君の声ダダ漏れだからね?」
痛ましげな微笑みから苦笑いに変わる。忠告なのだろうか、だけど多分声にも出す自信あるわ。
「君は、死んだ原因が僕にあるって解ってる?僕の肩が君の体にぶつかって階段から落ちたんだ。」
まるでフラッシュバックの様に思いだす。思いだす映像は真っ暗だった空間に反映され、まるで映画の上映スクリーンのようだ。
最期、ずっと狐のお面が映っている。ずっと目を離せなかったからだ。
そう、落ちている時もずっと近くで映っていた。
これって、一緒に落ちたんだよね?なら巻き込んだのは私だよね?手を伸ばして、助けてくれようとしたんだよね?
そして思わず惚れてしまいそうなシチュエーションよね。
これ、あなたは悪くないよ…私の方こそ、ごめんなさい。私の方こそ見ず知らずのあなたを巻き込んでしまった。
私がぼうっとしてたから。
「僕の方は気にしなくていいよ。僕がしたかったことだし」
気にするよ!でも、あなたも一緒に亡くなったの?神様なのに?
「まぁ、僕は一応神だけど、人に生まれてあそこの神社の跡取り息子だったんだよね。人として生きてる時は神としての意識も記憶もないけど、死んだ今僕としての記憶があるだけ。
そういえば、君未練あったよね?理として蘇らせることは出来ないけど転生は斡旋できるよ。君の好きな世界へね」
え?まぁ未練はあるけど、フルコンプ出来ない未練なんで蘇らなければ意味ないし、いいよ。
「よし『いいよ』って言ったね!了解と取ったよ!」
え?なにその詐欺の常套句みたいなの?!その前のセリフで断ってるのにそこの言葉だけとるの?!
「まぁまぁ、僕も次の逝き先どうしようか迷っててさ、ついでに君も転生させようかと…そしたら君のその記憶の世界、見たことあったからさ。
丁度いいかなって。一緒に死んだお詫びとして…その異世界に転生させてあげる。好きでしょ?そういうの」
記憶の先って『ナイト・ガーデン』のこと?あるの?まぁ、あと確かにこういう展開好きですけど…オタクなんで…。
「でしょでしょ!異世界の予言を振りまいて、それを知っている人を異世界に転生(斡旋)して世界を守ってもらうのも仕事みたいなものだし丁度いいしね。」
そういえば、『ナイト・ガーデン』ってバッドエンドで国崩壊してたね。あれって予言なんだー…ていうか
凄く生きずらそうな世界なんですが…。
「うん!頑張ってね!運が良ければ会おうね!」
え?!あっ!ちょっとまったぁぁぁぁぁぁ―――――――……。